『赤い靴』

 

           

 

アンデルセンの童話「赤い靴」をベースにバレエダンサーの愛憎と悲劇を描いた名作

 

青春時代に片っ端から映画を見ている中で
アラン.ドロンの≪悪魔のようなあなた≫という作品に
行き当たったことがある。

ドロンさんの映画のパンフレットを観ていた時に
 

撮影  ジャック.カーデイフというのが眼に入ってきた。


わたしが生まれたちょっと後ぐらいに作られた
≪赤い靴≫の撮影を担当した人であったからだ。

 

ジャック・カーデイフというカメラマンのことは

以前から父に聞いて知っていた。

どんな画面、カラーなんだろうと思ったものだ。
そして先日取り上げました『黒水仙』もジャック・カーデイフの撮影であることを知ります。

赤い靴・・・

これはバレー映画である。
アンデルセンの童話に題材をとり、夢のようなお話が
バレー映画に上手くマッチしてすてきな作品に仕上がっていた。

初めて見たときに、ストーリーよりもとにかくそのカラー撮影の美しさに

度肝を抜かれた。

 

官能的ともいえる色彩効果。

 

後にも先にもない美しさを持った色彩バレエ映画として

 

長く記憶されるべき作品だと思います。


劇中で、 リュドミラ・チェリーナという英国の最高のバレーリーナーが
素晴らしいバレーを披露してくれた。

主演のモイラ.シアラーも元々バレーリーナで、素敵なバレーを披露してくれたが
前述のバレーリーナーに比べれば助演級だと言うから驚き.
英国バレー界の層の厚さを感じた。

 

十五分近いバレーシーンが最大の見どころ。

 

シアラー嬢は踊りに踊る。

 

 

第21回アカデミー賞にて、カラー美術監督・装置賞、

喜劇映画音楽賞を受賞



  

    ~~ストーリー~~

英国ロンドン..。
 

レルモントバレー団に、ある日若く美しい踊り子ヴイッキー
(モイラ.シアラー)と
 

青年作曲家ジュリアン(マリスス.ゴーリング)が
入団した.



 

団長レルモントフ(アントン.ウオルブリュック)は
 

ヴイッキィーの才能を発見して、一生をバレーに捧げなさいと
 

毎日猛レッスンを課したのです。



 

パリ公演ではあるプリマドンナが、婚約を発表すると
 

愛とバレーを二股かけることは許さない!と解雇してしまう。

そういうことで次ぎのモンテカルロ公演ではアンデルセンの
 

童話に基づく新作≪赤い靴≫を企画し、ジュリアンに作曲を
 

ヴイッキーに主役を演じさせることにし、またもや
 

猛レッスンを課した。



 

いよいよ初日の幕が開く。
 

がその頃にはジュリアンとヴイッキーは
 

愛し合うようになっていた。

ーーーー舞台上の赤い靴のストーリーーーー
 

靴屋の場面で靴屋が赤い靴を持ってくる。
 

美少女は羨ましげにその靴に見入っている。
 

そして堪り兼ねた彼女はその靴に足を入れてしまう。



 

その靴を履いてダンスに行くと、全ては思いのまま、
 

彼女は自分の思い以上に足が動いて楽しくてしようがない.

しかし、やがてダンスが終わり、疲れ果てて家に帰ったが、
 

赤い靴を履いた彼女の脚は踊りを止めない。



 

いっときの休みもなく踊り続け、街へ踊り出、山に上り、
 

谷に踊り、ずっとずっと踊り続けるのである。
 

昼も夜も踊りは続き、全てが夢かうつつかわからなくなって
 

倒れた時に、神父様が彼女の足から赤い靴を脱がせてくれた。

やっと少女は踊りから開放されるのである。
 

しかし、その時は彼女の息の絶えるときであった。

 

ーーーーーーー舞台は大成功であった。---
 

これによってヴイッキーとジュリアンは大スターとなる.
 

しかし二人が愛し合っていることを知った団長はジュリアンを
 

解雇してしまう。


団長はバレーへの思いをヴイッキーにかけている。
 

しかし彼女はバレーを捨てて、いとしいジュリアンを追って、
 

二人は結婚する。

 

 



しかし、日に日に捨てた筈のバレーへの思いがつのるヴイッキー。
 

おりしも団長も彼女のことをプリマとしあきらめきれない.
 

次ぎの公演に際し、団長は彼女を説得し、ついに承諾させた。

すでに舞台衣裳を着けたヴイッキーに
 

ジュリアンは踊りを止めるよう説得するが
 

赤い靴に魅せられたヴイッキーは再び靴に足を....
 

怒ったジュリアンはひとり駅へと向かう。


ヴイッキーとて悩んで苦しんで出した答えだったのだ。


 

 

 


 

靴を履いた彼女は駅へ向かうジュリアンを思うとやはり
 

自分が間違っていたと彼を追おうとすると靴が踊りだし
 

気が狂ったように舞う足はどんどん進み、
 

ついにバルコニーから跳躍してしまう。

 



 

ジュリアンが乗るはずだった列車に轢かれたヴィッキーの姿に
 

ジュリアンはそっと赤い靴を脱がせてあげるのだった。


その時ヴイッキーも息が絶えたのである。
 

ーーーーーーーーーーーーー


まあーそのバレーシーンの美しいこと!

 

最初に見たときは感激でしたが、


夢のような踊りとはこういうのを指すのでしょうね。
 

噂に違わずすばらしいカメラというか、色 でした.

モイラ.シアラーも美しいが、その衣裳も踊りも
 

素晴らしかったのを覚えています。

バレー映画の金字塔。


この作品によってジャック.カーデイフは撮影マンとして
 

世界にその名を轟かせたのである。

 

 

本作品を尊敬していたマーテイン・スコセッシがオリジナル・ネガ修復作業に着手し、

 

2年の歳月をかけて完成された<デジタルリマスター・エディション>が、

 

2009年カンヌ国際映画祭で初公開され観客はその美しさに息を呑んだそうである。

 

その修復版はまだ見ていない。

制作  英  1948年度
監督  マイケル.パウエル
撮影  ジャック.カーデイフ
出演  モイラ.シアラー
日本公開は1950年だったか・・・

補足...封切当時は劇場前、長蛇の列で
 

何時間も行列させられたそうです.

 

そして銀座の靴屋さんには赤い靴がたくさん並んだそうです。

 

 

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