まだしつこく去年の話をする。
馬券が当たらない。
有馬記念ではずっと買い続けてきたレガレイラをついに買い目から外し、「皆さんはレガレイラから買ってください」と宣言した途端に突き抜けられてみっともないことになった。
高知までやってきて観戦した大晦日のグランプリ高知県知事賞では、ガルボマンボとユメノホノオの2強から「消えるならユメノホノオ」の見立てでガルボマンボがこけた。
こういうことは今に始まった流れではないけれど、俺をうまく活用すれば大金持ちになる人も出てくるように思う。
そんな俺もガルボマンボがこけた高知の夜、会えないはずの友人が出てきてくれて忘年会をした。
わざわざ忘れなくても、もう数時間で一年が終わるタイミングだったけど。
家庭の事情で大晦日は外に出られない(無理もない)と聞いていたが、当日になると何とかひとり外に出られるとのことで来てくれた。
夫婦の旦那のほうが来ると決めつけていたら、奥様のほうでビックリした。
「カツオは土佐巻きで喰え」と俺に教えたのは旦那だったが、もともとは奥様の主張だったらしい。
「こっちで働くとね、給料が安いよ」と奥様が笑う。
「東京で働いてるけど安いよ」と俺も笑わざるを得ない。
「だったらどこで働いても同じでしょう。こっちに来ればいいのに」と高知の女は強い。
「いつかはそうしたいんだけど、そう思ってるうちに寿命が来ちゃいそうだよ」と答える。
そしてつい最近までどうしてか感覚的に思い込んでいた、自分の25年先は60歳だと思っていたのに実際は70歳である話をした。
「足し算もできないのに博士になるんだ」と笑われた。
明日は高知で初詣をしようと思っていると話すと、「何が祀られてるかも知らないくせに頭を下げても仕方がないよ」とまた笑われた。
2024年最後の夜は、笑われてばかりだった。
計算もできない男には任せられないと、お会計を済ませてもらってしまって、あいつはつくづくいい奥様をもらったもんだと思った。
帯屋町のアーケード街の、高知らしさに溢れているとは言い難いチェーン系の居酒屋だったが、こんなに年が押し迫っているのに開けてくれているだけでありがたかった。
締めは戸隠の年越しそばだった。
以上