【比較/考察】正体不明のローズマリーの品種を考える
我が家にローズマリーが来てから何年も経ちますが、確かに『ローズマリーを育てよう!!』と思ったきっかけとなったのが、職場から持ち帰った一本の枝。
単にローズマリーとしかわからなかったのですが、我が家に来てから順調に育ち、良い感じに花を咲かせるようになりました。
こちらがそのローズマリー。
このときは良く咲く株だな、葉の香りも良いな、くらいにしか思っていませんでした。
その後、ローズマリーには多くの品種があると知り、このローズマリーの品種が何か知りたくもなりました。
当時、一般的なローズマリー、なおかつ、葉の香りが良いというと真っ先に浮かんだのがトスカナブルーです。
しかし、育てているうちにトスカナブルーではなさそうな雰囲気も出てきて、次の候補として考えたのがマリンブルー。
マリンブルーを入手して育ててみたところ……。
花の色が違います。ちょっと青み寄り。
葉の香りももう少しスパイシー。
品種不明のローズマリーの花をよく見てみます。
当時、一般的なローズマリーとして挙げられていたのが、トスカナブルー、マリンブルーのほか、セイレム、レックス、アープ、ゴリジア、ハイセイ。
この頃は品種名のタグなどほとんどなく、単にローズマリーとしか書かれていなかったことが多かったです。
ごっちゃに販売されていたようです。
とりあえずハイセイは這性だろうということで、我が家のは立性なので除外。
この後、色々なローズマリーの品種を集めていき、最近になってようやくトスカナブルーが咲いたので、花で比較検討できるようになりました。
それぞれの特徴を見ていきます。
まずは左がトスカナブルー、右がマリンブルー。
夕方の撮影で色の差がわかりにくいですが、トスカナは薄紫、マリンは青み寄りの薄紫です。
特徴として、花の下花弁の縁でしょうか。
トスカナは丸っこくてのっぺり気味、マリンブルーは細かなギザギザとフリル気味、真ん中で割れています。
他の特徴としては、マリンブルーの方が花の下花弁の真ん中の白い帯がはっきりしています。
こちらも一般的なローズマリーから、左がセイレム、右がアープ。
セイレムははっきりと青み寄りの青紫、アープはかなり淡い色です。
花の下花弁ですがセイレムは真ん中の割れ目が見て取れ、少しギザギザでフリル気味。
アープはギザギザがはっきりせず、丸みを帯びています。真ん中で割れていますが浅いというか、角度が広いです。
また、アープは葉も含めて全体的に色が淡い、柔らかい印象なのも特徴です。
他の一般的な品種の花ですが、ゴリジア(ゴリツィア/ゴリジアン)は薄紫でもピンク寄りの色、ギルティッシュゴールド(ギルテッドゴールド)は標準的な薄紫の花ですが葉が斑入りなのですぐわかります。
レックスはまだ花が咲いていないので花での検討ができませんので保留。
もう一度、品種不明の花を見てみます。
ごくノーマルな薄紫、花の下花弁が丸っこくギザギザやフリルみがない、真ん中の割れ目もほとんどない。
どうやら、この品種はトスカナブルーと言うことになりそうです。
他の特徴も見てみます。
まず、香りが良いというのは大きな特徴で、葉をこすったときの香りが違います。
トスカナブルーは他の品種よりも華やかさと甘みを感じる香りがします。
マリンブルーやプロストラタス(ハイセイか?)はごくありふれたスパイシーで青っぽいローズマリーの香りです。
香りに華やかさを感じる品種は他にもレックスがありますが、レックスの方がトスカナよりも爽やか系。
正体不明のローズマリーは他の品種よりも華やかさと甘みを感じる香りなので、やはりトスカナブルーの可能性が高そうです。
そして最後に、葉っぱを確認します。
左からマリンブルー、真ん中が正体不明、右がレックス(推定)。
トスカナブルーは標準よりも幅広めの葉、レックスは明らかに幅広の葉でツヤがある品種として知られます。
マリンブルーは成長期に十分な水分と肥料があると幅広傾向になりますが、葉は大きいものの、幅は標準的に収まることが多いのでノーマルとします。
正体不明のローズマリーはマリンブルーよりも幅広で、レックス(推定)よりは狭い。
やはりトスカナブルーと言うことで良さそうです。
そんなこんなで、我が家のもっとも古いローズマリーはトスカナブルーという結果になりました。
もう一つ。
実は我が家には品種不明のローズマリーがいくつかあり、最後の比較で使った推定レックスもその一つでした。
この推定レックスをトスカナブルーかと思っていたのですが、今回本物のトスカナブルーが手元にそろったことにより、どうやらトスカナブルーではないことに気づきました。
幅広の葉と香りが良いと言うことでトスカナかと思っていたのですが、葉の幅が圧倒的に幅広、ツヤも良く、何しろ極端な立ち性。
レックスの特徴はとにかくまっすぐ上にだけ伸び、脇枝が広がらず細身の株立ちになるのが特徴と言うことで、そっくりそのまま当てはまりました。
今回の比較のおかげでどうやらレックスらしいと判明したところです。
で、このレックスですが、恐らく相当数がトスカナブルーとして出回っていそうです。
というのも、レックスは耐寒性が低いんですね。
一方のトスカナブルーですが、耐寒性が低いと謳われているのですが、実際の所、耐寒性はかなり高いです。
トスカナブルーと知らないうちに山の自宅に地植え、屋外で冬越し成功しました。
山の自宅は耐寒性ゾーン7bに該当する寒冷地です(寒気の時など瞬間的に6a辺りまで下がることもある)。
だいたい、トスカナ地方自体がイタリアでは中部に位置する丘陵地帯で、山岳地帯も含まれる涼しい場所です。
ローマが大体東京くらいの位置感覚とすれば、トスカーナ地方・フィレンツェが仙台くらいの感覚でしょうか。
仙台~奥羽山脈あたりの気候地域で作出された品種ということになりますから、寒さに弱いと言うことはなさそうです。
一般的にトスカナブルーというと、あるいはイタリア系品種のローズマリーというと、とにかく寒さに弱いと連呼されるのですが、トスカナブルーに限って言えば寒さに強いので、『幅広の葉で香りの良い品種、なおかつ寒さに弱い』となるとどうもレックス辺りの可能性が高いのではと思います。
ただしレックスもローズマリーに慣れて寒さに慣らす育て方をしていれば、-8度前後までは屋外の鉢植えで生育できます(初めて寒さに当たったときのみ葉が黒銅色に変化する)。
話が戻りますが、我が家にはこのほかにも品種不明のローズマリーがありまして、一つはベネンデンブルーとしてやってきた、どうもパイン(パインセインテッド)らしき謎品種。枝がうねりまくる上に葉が極端に細く、全く咲きません。
ベネンデンブルー(現行種)は立ち性で淡い色の多花性、先代のベネンデンブルーはウッドパープル、先々代はコルシカンなので、どれとも違います。
そして、長らく謎でいた、花が真っ青で葉っぱが厚めのセバンシーは、恐らくですが……出荷元でコリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)とタグを取り違えたか、もしくは最初から親株が間違っているのどちらかっぽいです。
どう見てもこの2つの品種が一緒(出荷元も一緒)。
他のハーブ専門店のセバンシーは薄紫ですし、葉も標準的な色なので、明らかに別品種。
さらに、コリンガムイングラムって英語で検索しても国内のこれしか出てこないんですよねぇ……。
ついでに言うと、プログマンズアップライトも謎。
これ……ベネンデンブルーの名前で売られている濃いめの青花の立性品種では?
明らかな立性で、特徴的な細葉です。
さらにこちらも英語で検索しても出てこない。国内のこれだけです。
プログマンズという有名なナーセリーが昔ニュージーランドにあったそうですが(今はない様子)、仮にそちらの作出となると、もっと各国で栽培されて英語で検索ヒットしてもよさそうな気がします。
単にローズマリーとしかわからなかったのですが、我が家に来てから順調に育ち、良い感じに花を咲かせるようになりました。
こちらがそのローズマリー。
このときは良く咲く株だな、葉の香りも良いな、くらいにしか思っていませんでした。
その後、ローズマリーには多くの品種があると知り、このローズマリーの品種が何か知りたくもなりました。
当時、一般的なローズマリー、なおかつ、葉の香りが良いというと真っ先に浮かんだのがトスカナブルーです。
しかし、育てているうちにトスカナブルーではなさそうな雰囲気も出てきて、次の候補として考えたのがマリンブルー。
マリンブルーを入手して育ててみたところ……。
花の色が違います。ちょっと青み寄り。
葉の香りももう少しスパイシー。
品種不明のローズマリーの花をよく見てみます。
当時、一般的なローズマリーとして挙げられていたのが、トスカナブルー、マリンブルーのほか、セイレム、レックス、アープ、ゴリジア、ハイセイ。
この頃は品種名のタグなどほとんどなく、単にローズマリーとしか書かれていなかったことが多かったです。
ごっちゃに販売されていたようです。
とりあえずハイセイは這性だろうということで、我が家のは立性なので除外。
この後、色々なローズマリーの品種を集めていき、最近になってようやくトスカナブルーが咲いたので、花で比較検討できるようになりました。
それぞれの特徴を見ていきます。
まずは左がトスカナブルー、右がマリンブルー。
夕方の撮影で色の差がわかりにくいですが、トスカナは薄紫、マリンは青み寄りの薄紫です。
特徴として、花の下花弁の縁でしょうか。
トスカナは丸っこくてのっぺり気味、マリンブルーは細かなギザギザとフリル気味、真ん中で割れています。
他の特徴としては、マリンブルーの方が花の下花弁の真ん中の白い帯がはっきりしています。
こちらも一般的なローズマリーから、左がセイレム、右がアープ。
セイレムははっきりと青み寄りの青紫、アープはかなり淡い色です。
花の下花弁ですがセイレムは真ん中の割れ目が見て取れ、少しギザギザでフリル気味。
アープはギザギザがはっきりせず、丸みを帯びています。真ん中で割れていますが浅いというか、角度が広いです。
また、アープは葉も含めて全体的に色が淡い、柔らかい印象なのも特徴です。
他の一般的な品種の花ですが、ゴリジア(ゴリツィア/ゴリジアン)は薄紫でもピンク寄りの色、ギルティッシュゴールド(ギルテッドゴールド)は標準的な薄紫の花ですが葉が斑入りなのですぐわかります。
レックスはまだ花が咲いていないので花での検討ができませんので保留。
もう一度、品種不明の花を見てみます。
ごくノーマルな薄紫、花の下花弁が丸っこくギザギザやフリルみがない、真ん中の割れ目もほとんどない。
どうやら、この品種はトスカナブルーと言うことになりそうです。
他の特徴も見てみます。
まず、香りが良いというのは大きな特徴で、葉をこすったときの香りが違います。
トスカナブルーは他の品種よりも華やかさと甘みを感じる香りがします。
マリンブルーやプロストラタス(ハイセイか?)はごくありふれたスパイシーで青っぽいローズマリーの香りです。
香りに華やかさを感じる品種は他にもレックスがありますが、レックスの方がトスカナよりも爽やか系。
正体不明のローズマリーは他の品種よりも華やかさと甘みを感じる香りなので、やはりトスカナブルーの可能性が高そうです。
そして最後に、葉っぱを確認します。
左からマリンブルー、真ん中が正体不明、右がレックス(推定)。
トスカナブルーは標準よりも幅広めの葉、レックスは明らかに幅広の葉でツヤがある品種として知られます。
マリンブルーは成長期に十分な水分と肥料があると幅広傾向になりますが、葉は大きいものの、幅は標準的に収まることが多いのでノーマルとします。
正体不明のローズマリーはマリンブルーよりも幅広で、レックス(推定)よりは狭い。
やはりトスカナブルーと言うことで良さそうです。
そんなこんなで、我が家のもっとも古いローズマリーはトスカナブルーという結果になりました。
もう一つ。
実は我が家には品種不明のローズマリーがいくつかあり、最後の比較で使った推定レックスもその一つでした。
この推定レックスをトスカナブルーかと思っていたのですが、今回本物のトスカナブルーが手元にそろったことにより、どうやらトスカナブルーではないことに気づきました。
幅広の葉と香りが良いと言うことでトスカナかと思っていたのですが、葉の幅が圧倒的に幅広、ツヤも良く、何しろ極端な立ち性。
レックスの特徴はとにかくまっすぐ上にだけ伸び、脇枝が広がらず細身の株立ちになるのが特徴と言うことで、そっくりそのまま当てはまりました。
今回の比較のおかげでどうやらレックスらしいと判明したところです。
で、このレックスですが、恐らく相当数がトスカナブルーとして出回っていそうです。
というのも、レックスは耐寒性が低いんですね。
一方のトスカナブルーですが、耐寒性が低いと謳われているのですが、実際の所、耐寒性はかなり高いです。
トスカナブルーと知らないうちに山の自宅に地植え、屋外で冬越し成功しました。
山の自宅は耐寒性ゾーン7bに該当する寒冷地です(寒気の時など瞬間的に6a辺りまで下がることもある)。
だいたい、トスカナ地方自体がイタリアでは中部に位置する丘陵地帯で、山岳地帯も含まれる涼しい場所です。
ローマが大体東京くらいの位置感覚とすれば、トスカーナ地方・フィレンツェが仙台くらいの感覚でしょうか。
仙台~奥羽山脈あたりの気候地域で作出された品種ということになりますから、寒さに弱いと言うことはなさそうです。
一般的にトスカナブルーというと、あるいはイタリア系品種のローズマリーというと、とにかく寒さに弱いと連呼されるのですが、トスカナブルーに限って言えば寒さに強いので、『幅広の葉で香りの良い品種、なおかつ寒さに弱い』となるとどうもレックス辺りの可能性が高いのではと思います。
ただしレックスもローズマリーに慣れて寒さに慣らす育て方をしていれば、-8度前後までは屋外の鉢植えで生育できます(初めて寒さに当たったときのみ葉が黒銅色に変化する)。
話が戻りますが、我が家にはこのほかにも品種不明のローズマリーがありまして、一つはベネンデンブルーとしてやってきた、どうもパイン(パインセインテッド)らしき謎品種。枝がうねりまくる上に葉が極端に細く、全く咲きません。
ベネンデンブルー(現行種)は立ち性で淡い色の多花性、先代のベネンデンブルーはウッドパープル、先々代はコルシカンなので、どれとも違います。
そして、長らく謎でいた、花が真っ青で葉っぱが厚めのセバンシーは、恐らくですが……出荷元でコリンガムイングラム(コーリンハムイングラム)とタグを取り違えたか、もしくは最初から親株が間違っているのどちらかっぽいです。
どう見てもこの2つの品種が一緒(出荷元も一緒)。
他のハーブ専門店のセバンシーは薄紫ですし、葉も標準的な色なので、明らかに別品種。
さらに、コリンガムイングラムって英語で検索しても国内のこれしか出てこないんですよねぇ……。
ついでに言うと、プログマンズアップライトも謎。
これ……ベネンデンブルーの名前で売られている濃いめの青花の立性品種では?
明らかな立性で、特徴的な細葉です。
さらにこちらも英語で検索しても出てこない。国内のこれだけです。
プログマンズという有名なナーセリーが昔ニュージーランドにあったそうですが(今はない様子)、仮にそちらの作出となると、もっと各国で栽培されて英語で検索ヒットしてもよさそうな気がします。