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スカラ座の夜

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このマガジンでは、主にミラノ、たまにパリや東京の街の情報と歴史、文化について書いていきます。 現地のカフェや美術館、食文化などなど、私が見た・食べたものに写真を添えてお届けします。
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記事一覧

老舗カフェ クッキ(Pasticceria Cucchi):1936年創業、ミラネーゼお気に入りのミラノの名店

今回のnoteでは、ミラノの人に「あなたのお気に入りのバールやカフェは?」と聞くと、ここを答えにあげる人も多いミラノ老舗カフェ クッキ(Cucchi)について書いていきたい。 1936年創業のクッキについては、以前にもミラノの老舗カフェ特集で取り上げたのだが、お店の歴史をここではじっくり語ることにしよう。 参考: ちなみにこのクッキの最寄駅は、2025年1月時点でできたてほやほやのメトロの青線の駅デ・アミチス(De Amicis)である。 ちょっとミラノの地下鉄事情に

アスティエ・ド・ヴィラット(Astier de Villatte):白の釉薬が美しい陶器のパリ発のブランド、ミラノ店と購入品を紹介

インテリア用品や雑貨が好きな方ならば、一度はアスティエ・ド・ヴィラット(Astier de Villatte)の名を聞いたことがあるのではないであろうか。 アスティエ・ド・ヴィラットは、食器や雑貨などを展開するパリ発のブランドである。 独特の白い色合いの陶器は、プレートや小物入れ、お香立てなどバリエーションも豊富で、デザインも洗練されている。 パリ市内に二つの店舗を構えるアスティエ・ド・ヴィラットであるが、これまでミラノには一部のセレクトショップに扱いがあるだけで直営店

アルティジャーノ・イン・フィエラ(Artigiano in Fiera 2024):ミラノで毎年開催、食の大規模マーケット

ミラノ中心部から少し離れたロー(Rho)という街にあるイベント会場のフィエラ・ミラノ(Fiera Milano)。 ここでは家具の見本市であるサローネ・デル・モービレ(Salone del Mobile)や、眼鏡の見本市であるMIDOなど、世界中から人が集まる国際的なイベントが定期的に開催されている。 参考: そしてこのフィエラ・ミラノでは、毎年11月末から12月上旬にかけて、世界中の食品や工芸品が集まるイベント、アルティジャーノ・イン・フィエラ(Artigiano i

ミラノのカフェ・パスティチェリア5選 vol.22:イタリアのお菓子を食べるならここ、朝食からランチ、アペリティーボまで

このシリーズも第22回目になったが、今回も美味しいお店を紹介していきたい。 なお、今回はクリスマスと年末年始だけの期間限定のカフェ兼ブティックも登場するので、ミラノのクリスマスの雰囲気を味わっていただけたらと思っている。 1. ラ・メディナ(La Medina)こちらはセンピオーネ公園のエリアにあるモロッコ風カフェ。 朝から19時まで開いており、朝食からアペリティーボまで楽しむことができる。 モロッコのお菓子が色々、写真付きでわかりやすい。 ミントティーなどの本格的

いつものご飯、全てはカフェを楽しむために

1.  全てはカフェのために、いつものご飯 これまでにイタリアのミラノ、フランスのパリ、イギリスのロンドン、そして日本の東京、京都、福井と各地のカフェの情報を多数書いてきたが、今回のnoteでは普段の自炊について簡単にまとめていきたい。 というのもカフェのnoteだけを見ていると、常に甘いものばかり食べている人のように思われるかもしれないが、日々の自炊の割合は95パーセント以上になると自負している。 結論から言うと、カフェではお菓子と珈琲(お茶)を楽しむために、家では

旧森田銀行本店:福井・三国港の繁栄を語る近世復興(ルネサンス)様式の洋館

福井県を流れる九頭竜川の河口に位置する坂井市三国町。 三国港は、越前国の玄関口として様々な人やモノが行き交う、古くから栄えた港町であった。 特に江戸時代には北前船による廻船業を営む豪商たちが、この三国港に拠点を構えており、今でも三国には港町の繁栄を物語る建物や街並みがいくつも残されている。 今回紹介するのは、その中でも珍しい洋館、旧森田銀行本店である。 18世紀中頃から明治30年代まで、大阪から北海道まで積荷を売り、新たに仕入れをしながら日本海周りで往復した北前船。

ジョヴァンニ・コヴァ&C(Giovanni Cova & C):1930年創業、パネットーネが有名なミラノの老舗カフェ

このnoteでも何度も特集しているように、ミラノには無数のバール(エスプレッソスタンド)やパスティチェリア(菓子店)があるが、中には、元は街に昔からあるお店が人気となり、中心部に新しい店舗をオープンするというケースもある。 今回紹介するジョヴァンニ・コヴァ&C(Giovanni Cova & C)もそのように事業を展開していった1930年創業ジョヴァンニミラノの老舗菓子店である。 1930年創業の由緒ある本店はまだ町に残っている一方で、モダンな、お洒落なジョヴァンニ・コヴ

【後編】ヴィラ・ファルネジーナ(Villa Farnesina):ルネサンスの宝石、ラファエロのフレスコ画を楽しめるローマの邸宅

【前編】に引き続き、【後編】でも美しい装飾を紹介していきたい。 1. 遠近法の間(The Hall of Perspectives)ラファエロがまだ助手たちと「キューピッドとプシュケのロッジア」のフレスコ画を描いていた頃、2階(the first floor)では、新婚である邸宅の主人アゴスティーノ・キージ夫妻を迎えるための改装作業が進められていた。 2階に続く階段を上がると、1519年8月28日に邸宅の主人である銀行家アゴスティーノ・キージが結婚披露宴を開いた「遠近法の

【前編】ヴィラ・ファルネジーナ(Villa Farnesina):ルネサンスの宝石、ラファエロのフレスコ画を楽しめるローマの邸宅

1. ルネサンスの宝石、ヴィラ・ファルネジーナ ヴィラ・ファルネジーナ、まるで宝石箱のようなフレスコ画に彩られた邸宅がローマのトラステヴェレ地区にある。 フレスコ画をデザインしたのは、ルネサンス期を代表する芸術家ラファエロ・サンティ。 シエナ出身の銀行家アゴスティーノ・キージ(Agostino Chigi;1466-1520)の命を受けた建築家バルダッサーレ・ペルッツィ(Baldassarre Peruzzi;1481-1536)にによって設計され、1506年に着工さ

ミラノのカフェ・パスティチェリア5選 vol.21:イタリアのお菓子を食べるならここ、朝食からランチ、アペリティーボまで

お馴染みのミラノのカフェ特集、今回も美味しいお店を紹介していきたい。 1. フィオルディラッテ・ジェラテリエ(Fiordilatte Gelaterie)こちらは地下鉄リマ駅(Lima)の近くにあるジェラート屋さん。 ジェラート屋とはいっても、ジェラートだけではなく、お菓子や軽食など、色々なものがある。 店名にもなっている「ミルクの花」(Fior di Latte)とは、イタリアのジェラートのフレーバーの一つで、いわゆるミルク味のジェラートである。 バニラなど香料も入

福井のおすすめカフェ・レストラン 5選 vol. 7

今回のnoteでは、筆者の故郷である福井県内にあるカフェ・レストランについて紹介していきたい。 このシリーズも帰国の際に訪れたお店をまとめていくシリーズとしてこれからものんびり続けていけたらと思っているところである。 参考: 1. 竹内菓子舗 花堂本店(福井市)こちらは福井駅から少し南に行った花堂という地区にある明治7年(1874年)創業の老舗和菓子店 竹内菓子舗。 現在福井県内ではこの花堂本店を含め二店舗展開しており、花堂本店ではテイクアウトがメイン、二ノ宮の方の店

東京のおすすめカフェ・レストラン5選 vol. 4

東京のホテルの値段もかなり上がっている2024年現在、一時帰国中に東京に滞在できる期間も限られてきているのだが、東京滞在中に訪れたカフェやレストランについて、前回の特集に続きまとめていきたい。 一部2023年の夏に訪問したお店もあり、価格などの情報が古くなっているものもあるかもしれないので、各自、お店のウェブサイトやSNSなどで最新の情報を参照されたい。 1. 古城(上野)上野駅周辺には老舗喫茶がわりと多い印象であるが、ここ古城も上野の有名な老舗喫茶である。 地下に続く

ミラノのカフェ・パスティチェリア5選 vol.20:イタリアのお菓子を食べるならここ、朝食からランチ、アペリティーボまで

とうとうこのシリーズも20回目を迎えたが、今回もミラノの美味しいお店を紹介していきたい。 1. ナエヴェ(Naëve)こちらはモスコヴァ駅の近くに新しくオープンした日本風のケーキも取り扱うカフェ。 こじんまりとした店内に対して、イートインスペースの席数はわりと多い印象。 くすみピンクが基調のインテリアが可愛らしい。 日本風ケーキのラインナップは、ミルクレープやチーズケーキなどなど、日本だと普通のものに思われるかもしれないが、意外にもイタリアにはこのようなケーキがなかっ

オリべッティ・ショールーム(Negozio Olivetti):ヴェネツィアのサン・マルコ広場をのぞむ、カルロ・スカルパの代表作品

ヴェネツィアのサン・マルコ広場の一角に、1908年創業にイタリア・ピエモンテ州で創業したタイプライターの製造・販売会社オリベッティ(Olivetti)の店舗兼ショールームがある。 この洗練されたデザインのオフィスは、2011年以降、イタリアの文化財を保護する団体FAIが管理する施設となっているとのこと。 今回のnoteでは、ヴェネツィアの建築家カルロ・スカルパの傑作として名高いオリヴェッティ・オフィスについて書いていきたい。 1957年、アドリアーノ・オリヴェッティ(A

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