ホッする午後のひととき
昼休みのベルが鳴ると、事務所にふんわりとした安堵の空気が漂い始める。
そんな中、デスクで書類をまとめていた私の横に、マユミがふわっと現れた。
「ねぇ、ちょっと郵便局まで付き合ってくれる?」
マユミは少しだけ控えめな声で、けれど瞳はキラリと輝いている。
マユミの手には、他社宛の封筒がぎっしり詰まったクリアファイル。郵便物を毎日出すのはマユミの大切な仕事の一部らしいが、どうやらその「ついで」にボクを連れ出すのが最近の楽しみらしい。
「気分転換になるでしょ?」と微笑むマユミに、断る理由なんてない。
マユミの荷物運びでもしよう。
外に出ると、空は鮮やかな青。冬の終わりが近づいているのか、少しずつ春の柔らかさを感じさせる風が頬を撫でた。近所の並木道を歩くと、落ち葉がカサカサと足元で奏でる音が楽しいリズムを刻む。
「最近ね、郵便局の窓口の人、私のこと覚えてくれたみたい。『また来てくれたんですね』って言われるの」
マユミがくすりと笑う。その笑顔は、午後のひとときにささやかな暖かさを灯してくれるようだった。
郵便局までの道のりは、ゆっくり歩いて10分ほど。いつもはただ通り過ぎる道なのに、今日はマユミのおしゃべりが彩りを添えてくれる。彼女の声に耳を傾けながらふと見上げると、道端の花壇に黄色い水仙が顔を出しているのが目に入った。
「ほら、あの水仙。咲き始めたんだね」
私が言うと、マユミも立ち止まってその方向を見た。
「本当だ、春が近いのかもね。でも、咲くの早すぎて風邪引かないかな」
そんな冗談を言う彼女に、思わず笑ってしまう。
郵便局に着くと、マユミは慣れた手つきで封筒を差し出し、窓口のスタッフと短い挨拶を交わした。その間、ボクはぼんやりと小さなロビーのポスターを眺めたり、近くのスタンプ台をいじったりしていたけれど、どこか気分が軽くなっている自分に気づいた。
用事を済ませて外に出ると、マユミがぽつりと言った。
「やっぱり、外に出ると気持ちいいね。ありがとう、一緒に来てくれて。」
ボクたちはまた並木道を通り、落ち葉の音を楽しみながら事務所に戻った。わずか30分ほどの散歩だけれど、この午後のひとときは、仕事の疲れをそっと和らげてくれる魔法のような時間だった。
柔らかな春風と、マユミの笑顔を思い出しながら、ボクはまた明日の昼休みが少し楽しみになっていた。
コメント
- スーザン:相思相愛やんかぁ〜
- ボク:スーザンさん 今が、人生の中でも公私共に、一番充実した日々だね。
- ビスト:いいね〜♪幸せだね〜♪ 私は 身も心もボッロボロ。。。
- ボク:ビストさんへ。 幸せだよ。公私共にね。 ビストは会社から好かれてるじゃん。
- ビスト:寛さん: ( ̄へ ̄|||) ウーム 会社から好かれるより、 大事にされたいわ。。。
- ボク:ビストさん。 ビストのために仕事、死ぬほど取ってくるって大事にしてるさ。