2024年の共通テスト数学Ⅰ・数学Aの問題3の場合の数と確率の解説です。
【問題文】2024年共通テスト数学IA(=画像の出典元)
割とくだけた文章で書いていくので、最低限の解説で理解できる人は予備校の解説(個人的には東●が一番スマート)を見てくださいね。それではいきます!
【目標点】数学が苦手な人:12点、数学が得意な人:18点
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【(1)の解説】カードをn回取り出したときにA・Bがそろう確率
ここはサービス問題。誘導に乗っかるもよしですが、頭の中で、排反事象を思い浮かべることができた人は、楽勝だと思います。
(i)カードが2枚あるときに、2回の試行でA,Bがそろう確率
まずは書き出してみましょう。
{1回目, 2回目}={A, A}、{A, B}、{B, A}、{B, B}
そしたら4回の試行のうち、{A, B}、{B, A}の2つがA, Bがそろう事象なので、求める確率は
2/4=1/2
(ii)カードが2枚あるときに、3回の試行でA,Bがそろう確率
排反事象でやってもいいし、誘導に乗ってもいいです。
1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|
A | B | B |
B | A | B |
B | B | A |
これで、うっかり3/2^3ってやったらダメですよ!下記のようにAが2つのパターンもお忘れなく。
1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|
A | A | B |
A | B | A |
B | A | A |
なので、A, Bがそろう確率は6/2^3です。
これを見ると、誘導は少し不親切かなと思ったり・・・
もちろん、誘導を無視して下記のように考えてもOK。
1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|
A | A | A |
B | B | B |
求める場合の数は、3回の試行について、3回の試行すべてAの場合と3回の試行すべてBの場合の合計2通りの排反事象だから、2^3-2=6通り。
求める確率は、すべてAの場合とすべてBの場合の2通りの排反事象だから、(2^3-2)/2^3=6/2^3。
場合の数と確率が同じ答えではありますが
分母が2^3(2の3乗)なので、約分しないように要注意!
(iii)カードが2枚あるときに、4回の試行でA,Bがそろう確率
なぜか突然、誘導がなくなるので排反事象でやっちゃいましょう(こういうの謎だよね)。
※当然、地道に書き出してもいいけど表が3つ(Aが1つ、2つ、3つの場合が必要)になるので、面倒。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
---|---|---|---|
A | A | A | A |
B | B | B | B |
カードを取り出す4回の試行の総数は、2^4=16通り。
求める場合の数は、4回の試行について、4回の試行すべてAの場合と4回の試行すべてBの場合の合計2通りの排反事象だから、16-2=14通り。
求める確率は、14/16=7/8。
【(2)の解説】カードをn回取り出したときにA・B・Cがそろう確率
カードがA,B,Cの3枚に、最低試行回数(n回目)が3回にパワーアップしてますが、やるべきことは同じ。悪くても(ii)までは、手堅く得点したいところです。
(i)3回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方
3回目の試行で初めてA,B,Cがそろうということは、3回でA,B,Cが出る、さらに言い換えると3回ともABCバラバラのアルファベットが出るというのに等しいです。
取り出し方は、「3回ともA,B,Cをバラバラに取り出す=A,B,Cを並び替えるのに等しい」と考えて、3!=6としてもよし。
「これくらいなら、書き出して確かめてやる!」と、図にしてもOKです。
1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|
A | B | C |
A | C | B |
B | A | C |
B | C | A |
C | A | B |
C | B | A |
いずれにしても、6通りが答えです。
(ii)4回目の試行で初めてA,B,Cがそろう確率
4回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方について、まさかでびっくりしちゃいますが、3×ウ=3×6=18通りと教えてくれています。
何か裏があるんじゃないか?って言いたくなりますが、何もない!
A,B,Cの3枚のカードを4回取り出すとき、総数は3^4=81通り。
したがって、求める確率は、18/81=2/9
【おまけ】4回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方の総数
4回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方の総数、つまりは”18通り”自体が、問になっていても何ら不思議ではないので、ついでに解説しておきます。
(1)(ii)で表を書かされた誘導の意味がわかります。
勘のいい人なら、「3回目までに2つアルファベットが出る。4回目に3つのうち、出なかった1つのアルファベットが出る」というのに気付くはず。
一例としては、A→A→B→C(3回目までにA,Bが出て、4回目に出なかったCが出る)が当てはまりますね。
すると、(1)(ii)で書いた表がもろに使えます。3回目までにA, Bが出る必要があるので、その後ろに”C”をつけてあげるだけで完成です。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
---|---|---|---|
A | B | B | C |
B | A | B | C |
B | B | A | C |
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
---|---|---|---|
A | A | B | C |
A | B | A | C |
B | A | A | C |
4回目はA,B,CどれになってもOKなので、当てはまる取り出し方は、「3つのアルファベット×上の表(回答欄のウ)=3×6=18通りなんだよ」と、2024年は懇切丁寧に教えてくれています(なんてやさしい・・・)。
(iii)5回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方の総数と確率
5回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方の総数と確率。これも少し頭をひねればOKです。
(1)(iii)で、4回目の試行で初めてA,Bがそろう場合の数を出しています。
(1)はCが出ていない世界線で、(2)とは別じゃないか!
と思う人もいるかもですが・・・。
(2)(iii)も結局のところは、5回目まではCは出てこない、4回目にアルファベット2つが初めてそろうのと同じ考え方が使えます。5回目に残り1つが出ればOKというわけ。
4回目までに3つがそろうとNGなので、「アルファベット2つがそろうのと同じように考える」ことに気付けるかがポイント!
なので、5回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方の総数は、
(4回目の試行で初めて2つのアルファベットがそろう取り出し方)×(5回目はA,B,Cの3つのいずれか)=14×3=42通り
5回目の試行で初めてA,B,Cがそろう確率は
(5回目の試行で初めてA,B,Cがそろう取り出し方の総数)/(5回の取り出し方の総数)=42/3^5
【(3)の解説】カードを6回取り出したときにA・B・C・Dがそろう確率(太郎さんと花子さんの登場)
まず怒りたいですが・・・。
正直、この導入部分、あってもなくても変わりありません( `ー´)ノ。
「3以上5以下の自然数n」うんぬんと書いてあるわりには、結局、6回目にA, B, C, Dが初めてそろう確率を誘導に沿って求めるだけでOKという何とも言えない気分。
さらに、たぶん受験生が全員嫌いな、共通テストおなじみの「太郎さんと花子さん」が話し合っているようです。今回は、わりと素直なので許してあげて。
3回目までにA, B, Cがそろって、6回目にDがそろう取り出し方の総数
やりたいことは、3回目までにA・B・Cがそろうのは(2)(i)で求めている。だから、4~6回目の取り出し方を求めれば、OKというもの。
つまりは、(3回目までにA, B, Cがそろう総数)×(4~6回目の取り出し方の総数)とすればよし。
この場合は、「かつ」なのでかけざん!
3回目までにA, B, Cがそろっている前提としたとき、4回目と5回目は、D以外のA, B, Cから取り出すので、3^2=9通り。6回目はDで固定ですね。
3回目までにA, B, Cがそろう取り出し方は(2)(i)より6通り、4回目と5回目の取り出し方は9通り、6回目にDを取り出すので、6×9×1=54通りが答えです。
4回目までにA, B, Cがそろって、5回目にDがそろう取り出し方の総数
1つ前と同じ要領です。
4回目までにA・B・Cがそろうのは(2)(ii)で求めている。だから、5回目の取り出し方を求めれば、OKですね。
つまりは、(4回目までにA, B, Cがそろう総数)×(5~6回目の取り出し方の総数)とすればよし。
4回目までにA, B, Cがそろっている前提としたとき、5回目は、D以外のA, B, Cから取り出すので、3通り。6回目は相変わらず、Dで固定ですね。
4回目までにA, B, Cがそろう取り出し方は(2)(ii)より18通り、5回目の取り出し方は3通り、6回目にDを取り出すので、6×9×1=54通りが答えです。
1つ前と答えが同じなので、不安になるやつ・・・
6回目にA, B, C, Dが初めてそろう確率
この調子で、5回目までにA, B, Cがそろい、かつ6回目に初めてDが取り出される場合の数も求めます。
5回目までにA, B, Cがそろう総数は、(2)(iii)より42通り。6回目は固定でDなので、求める場合の数も42通りです。
- 3回目までにA, B, Cがそろうパターン:54通り
- 4回目までにA, B, Cがそろうパターン:54通り
- 5回目までにA, B, Cがそろうパターン:42通り
を考えたのでこれでコンプリート。それぞれ独立事象なので足してあげると、54+54+42=150通りです。
そもそも論に戻りますが、6回目のアルファベットは、A, B, C, Dの4通りどれでもいい(さっきまでは、6回目にDを取り出すのを考えていた)ので、6回目にA, B, C, Dが初めてそろう取り出し方の総数は、150×4=600通り。
A, B, C, D 4枚のカードを6回の取り出とき、その取り出し方の総数は、4^6通りですね。
よって、6回目にA, B, C, Dが初めてそろう確率は、
600/4^6=(4×15×10)/(4×4×4×4×4×4)=(15×5)/(2×4×4×4×4)=75/512となります。
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