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sports_marathon_man 親父は11年前まで7年間マラソンランナーであった。
 フルマラソンをワンシーズンに2・3回、ハーフマラソンも同等の回数走っていた。

 その頃は「RUN is myLife」であった。
 こブログのタイトルは、箱根駅伝に参加する大学を描いた三浦しをん著『風が強く吹いている』に触発されて名付けたものだ。

 当初は走る親父のブログであった。

 その思い出のひとつに2025年1月19日(日)に行われる『第3回西尾マラソン』の前身『一色マラソン』で出会った思い出が有る。

 その『一色マラソン』は西尾市一色町(旧幡豆郡一色町)で行われたハーフマラソン大会であった。
 今の西尾マラソンのコースにもある三河湾に面した風の強い堤防を走った。

 その一色マラソンには、全盲の女性と彼女を導く男性伴走者が走っていた。
 初めて彼らが参加した回の大会で、敢えて彼らの後ろを走った。
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 何故そんなことをしたかと言うと、親父もいつかは視覚障がい者のランナーの伴走者を勤めたいと考えていたからだ。

 同世代くらいのその伴走者は素晴らしいかった。
 全盲ランナーの左側を走り、彼女の左手と男性伴走者の右手は、白い編みロープで結ばれていた。

 伴走者は全盲ランナーを引っ張ることは無くいつも同じ歩幅で走っている。

 そして常に全盲ランナーに話しかけていた。
 「200m先に道路に穴が有りますから少し左に寄りましょう。」
 「今から堤防に上がる坂を上がります。 体の右側から海風が当たりますから気を付けましょう。」
 「今堤防を走ってます。
 右側遠くに大きな船が進んでます。
 多分トヨタの自動車を運ぶ船ですかね。」

 その伴走者の話に合わせて全盲ランナーは目しいだ顔を船の方に向けたのである。

 伴走者は時計を見て、
 「スタートから〇分〇〇秒です。
 このままなら目標の〇時間〇分でゴール出来そうですね。」
と全盲ランナーに伝えるのである。


 当時はもっと細かく案内していた。
 その様子を見た親父は、「こんな丁寧な伴走は無理だ。」と思った。
 その後親父は伴走者を勤める事は無かった。
 機会に恵まれ無かったのではなく、自分に素質が無い事を知ったからである。


 親父は二人を追い抜きゴールを目指した。
 胸はその伴走者の仕業に感動して震えていたのを思い出す。


風が強く吹いている(新潮文庫)
三浦しをん
新潮社
2022-07-29










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