ヘレナキシタアゲハ♂ (ボルネオ) Troides helena mosychlus AppendixIIアイコン
Common Birdwing (Borneo)
種分布:北インド、インドシナ、マレー半島、スマトラ、ボルネオ、ジャワ、スラウェシ

記録:2017/2/28
場所:ラナウ、ボルネオ、マレーシア (Ranau, Borneo, Malaysia)

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ヘレナキシタアゲハ♂ 表面 (ボルネオ)

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ヘレナキシタアゲハ♂ 裏面 (ボルネオ)


♂♀異斑。♀の後翅は外中央と外縁に黒帯が配置し、黄斑は中央から基部側に限定される。

表示亜種 mosychlus ♂ (ボルネオ)
亜種mosychlusの分布:ボルネオ、ナツナ

標高1,000m以下の低山地に生息地が多く、標高が高くなると見かけなくなる。村落近辺の2次林や自然林内の山道などを飛翔したり、吸蜜に現われたりする。キシタアゲハ類の吸水は少ないが、本種の♂は乾季に水辺で吸水する姿がしばしば見られる。また、動物性ベイトに誘引される。
飛翔は速くなく、飛翔中は後翅の黄斑がよく目立つ。キシタアゲハ属としては数が多い種類で、低山地に普通に見られる。
ボルネオのサバでは1,000m前後の低山地で多く見かける。所によりアンフリサスキシタアゲハと混生するが、アンフリサスキシタアゲハはより低地性で標高300m程度でも見かけるが、本種は低地側では少ない。混生地では、アンフリサスキシタアゲハの方が黄色斑の輝きが強く、飛翔中でも区別できることが多い。

♂♀共に地理的な変異を示す。特に後翅亜外縁の黒斑の変化が大きい。
♂前翅表面の地色は黒色で、中室から外側の翅脈上下に不鮮明な灰色線条が伴う。後翅表面は外縁に黒色山型斑が配列し、それ以外は鮮やかな黄斑が広がる。黄色斑内の翅脈は黒色になる。また、黄色斑の亜外縁に、個体によって黒点が現れるが強弱は個体差が大きい。
♂翅裏の斑紋構成は羽表と殆ど同じであるが、前翅裏面の翅脈上下の灰色線条は翅表より明瞭に現われる。
キシタアゲハと類似する。区別点はキシタアゲハの項を参照。