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こてるNGHの再生-21 主翼 カンザシまわりの強化

 こてるNGH再生シリーズの21回目です。⑳までは丸付き数字が書けましたが21からは丸付き数字に変換できません。しょうがないですね。


 さて、本来頑丈でなければならないけれど現状では弱々しいカンザシパイプ回りの構造をカーボン、グラス、エポキシで強化します。ほかのモデラーとは違ったやり方だと思うので(独りよがりともいう)詳し目に書きます
 なお、お断りですがエポキシ作業は写真が少ないので文字の部分が多くなります。


 ところで「カンザシパイプ」ではパイプ状のカンザシなのかカンザシを差し込む主翼側・胴体側のパイプなのか分かりにくくありませんか?混乱しているのは僕だけでしょうか。
 今後はカンザシを差し込むパイプを「カンザシソケット」又は「ソケット」と表記します


 作業に入りますがその前に下準備があります。

 なんの写真かといえば3×3のヒノキ棒の端材を使って「ダミー主桁」を作っているところです。ダミー主桁は表側の前縁プランク材を貼るときにはがしますからセロテープで離型処理します。

 ダミー主桁を主翼にセットしたところです。ダミー主桁はエポキシ作業で本物の主桁がはまるスペースが埋まってしまうことを避けるためのものです。ダミー主桁がはまっていた溝に前縁プランク材に接着された本物の主桁が入る仕組みになっています。

補助ウェブ

 まず上下の主桁とカンザシソケットの空間を埋めます。


 主桁の太さが3mmですから3mmバルサで補助ウェブを作ってソケットと主桁の間にくっつけます。

 図面に基いて切り出しても良いのですが目の前に現物があるので現物から寸法を取って部材を切り出します。

 こういう小さな部品を切り出すときはスクラップから材料を見つくろいます。スクラップだけあって寸法が足りないので継ぎ足さなければなりません。
 こういうみみっちいことをしているので時間が掛かります。

 追加ウェブの断面はカンザシソケットになじむように斜めに削っています。見えないところだしここまでしなくてもなあ、という感はあります。

 補助ウェブを取り付けたところです。上側の前縁プランク材をはめ込んでウェブと主桁が干渉しないことを確認しました。
 ご覧のとおり隙間だらけです。隙間なく密着させても強度はそれほど上がらないでしょう。補助ウェブはカーボンやガラスクロスがずっこけないようにするための貼りしろの役目を果たします。

エポキシ処理

 エポキシ処理によって翼根の第1リブから第3リブの間の2つの区画でカンザシソケットと上下の主桁を一体構造にします。
 その前にちょっと細工をします。

 プランク材を主桁の後ろに足します。エポキシ樹脂が翼の外側に垂れると非常に困るのでそれを防ぎます。このプランク材はエルロンサーボを取り付ける部材の一部にもなります。


 カーボンロービング(繊維が一方向に並んだUDシートを切り取ったものも使います)とグラスクロスを用意します。これで片翼分です。ご存じのとおり樹脂を混ぜてから資材を切り出すと失敗のリスクが高くなります。


 資材がそろったらエポキシ処理です。作業中は翼をジグから外して向きを変えたり裏返したりして作業せざるを得ないのですが、作業が終わって硬化を待つ間は翼をジグの上に据えておきます翼がゆがんだ状態でエポキシが固まったら非常にまずいことになります


 まず、カンザシソケットの端っこが来る区画(第2区画)にカーボンロービングを貼ります。僕は左右分割式の翼を2回バンザイさせた経験がありますが、いずれの場合もこの区画で主翼が壊れました。

 カンザシソケットの外側の部分で縦方向(上下方向)にロービングを貼って上下の主桁をつなぎます。また、主桁に掛かる力をカンザシに伝えるためにカンザシがない区画からカンザシが入っている区画にまたがって横方向にロービングを貼ります。
 ここは平面ですからロービングが跳ね上がるという心配はないので一回の作業でロービングに樹脂を含浸させます。
 翼根リブと第2リブの間(第1区画)はこの段階では樹脂だけを塗った状態です。


 残念ながらエポキシ処理の作業中の写真はありません。そんな余裕はないしスマホがエポキシでベタベタになります。


 次はカンザシソケットが通っているところでカンザシソケットと主桁をガラスクロスでつなぐのですが丸い物と平らなものが組み合わさっているところにクロスを貼り付けると跳ね上がります。


 いつもは荷造りテープを貼ったスタイロフォームの切れ端を突っ込んで跳ね上がりを押さえるのですが、今回はRPP製品の雌型を作った時にうまくいったやり方を試しました。
 樹脂をある程度硬化させてクロスはくっつくがクロスに樹脂は浸み込まない状態にしてからクロスを貼りつける算段です。樹脂を糊の代わりにするわけです。
 1回目に塗った樹脂が糊として使える程度に硬化するまで待ちます。温度によって硬化時間が変わるので何時間待てばよいというわけにはいかないので1時間ごとに点検しました。
 1時間後では水飴状態、2時間後でもちょっと緩いなという感じ、3時間経って竹串でつついて跡が付くが樹脂が竹串にくっつかないくらいになったのでクロスを貼りました。

 うまくいきました。ウェブとカンザシがつながる凹面にもしっかりくっついています。しばらく経ってから見ても跳ね上がっていませんでした。


 貼ってすぐ次の樹脂を含浸させるとクロスがはがれるかもしれませんから(はがれないかもしれないが恐ろしいので試していない)完全に近い所まで硬化させます。


 約16時間後に次の樹脂を塗りこみました。

 雑な仕上がりですが樹脂は隅々まで浸み込んだようです。主桁、ウェブ、カンザシパイプの間の隙間も樹脂で埋まりました。


 一旦クロスを貼り付けてから樹脂を含浸させるというイレギュラーなやり方では前に塗った樹脂が中途半端に繊維に浸み込んで新しい樹脂が浸み込まない「ス」のようなものができるのではないかと心配しましたが今回は大丈夫でした。


 このやり方だと跳ね上がるクロスとの格闘というイライラする作業がなくなるのでFRP製品を作るときを利用してもっと練習したいと思います。
 ただしこういうやり方はエポキシ樹脂に限った話でしょう。ポリエステル樹脂ではゲル化したら硬化があっという間に進みむし、表面にパラフィンが析出するので無理でしょう。


 用心のため、2回目に塗った樹脂が完全に硬化するまでジグの上で丸一日静置しておきます。ジグが占領されているのでその間はもう片方の翼のエポキシ処理はできません。


 このように片方の主翼で2回、両翼で合計4回エポキシ作業をすることになるのですが素人は手間と時間を惜しんではいけないと思います。

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