問題 – Question
次の歌の【 ① 】に入る言葉は何?
〈目のやうな魚のやうな木のやうな【 ① 】に視られてゐたり〉 (小島熱子)
A. 入道雲
B. 象形文字
C. コーヒー豆
D. 樹木化石
答えを表示する
解答 – Answer
B. 象形文字
解説
目のやうな魚のやうな木のやうな象形文字に視られてゐたり
掲出歌は、小島熱子の第三歌集『りんご1/2個』の一連「りんご1/2個」に収められた一首です。
ヒエログリフとは、古代エジプトで使われていた象形文字で墓や石碑などに記されていました。
主体はどこかでこのヒエログリフを見ることがあったのでしょう。そのときに、ヒエログリフを「目」「魚」「木」のようなものと感じています。それはヒエログリフの中のたったひとつの文字が「目」や「魚」や「木」のように見えたのかもしれませんし、複数の文字がそれぞれ「目」「魚」「木」のように見えたということかもしれません。
象形文字はそれ自体、あるもののかたちを象って書かれた文字であるので、その文字の元になったかたちが何かしらあるわけですが、その文字をまた別のもの(目、魚、木)に喩えて見るというところに、面白さが生まれているでしょう。
主体がヒエログリフを見つめることは、同時にヒエログリフに視られるということでもあるのでしょう。特にもののかたちを象った象形文字であるがゆえに、視られるという意識が生まれてきたのかもしれません。
「象形文字」がぐっと活きた一首だと感じます。
ポチップ