「本当に寒い場所での服装とは:ハーフコートとロングコートの差は非常に大きい」
これから書く事は極地探検とか冬山登山などのアウトドア活動の世界ではなく、
誰もが寒冷地に出かけた際に体験してしまう危険な寒さを想定している。
具体的に言うと、
北海道、東北地方山間部、北ヨーロッパ、ロシア、韓国、中国の北部、
アメリカ北部、カナダなどの市街地か、もしくは観光地の冬とする。
想定する気温はマイナス20~25度。
この気温域はアウトドア活動だと厳冬期のワカサギ釣りかオーロラ観測くらいだろうか。
日本国の場合、スキーやスノボでも滅多にない気温だろう。
しかし海外の寒冷地では普通にこのくらいまでは下がる。
さて先日、私の娘が韓国に留学していた時に、
平昌オリンピックの会場になる予定地で、
事前の何かのイベントがあった時に、
低体温症で大勢の人が救急搬送される事態になった事件に巻き込まれた話を書いた。
また亡き父とその友達が、
厳冬期のヨーロッパからの帰りの便に乗った時、
何事も軽装で臨むのを良しとするため、
コートをスーツケースに入れてしまい、
トランジットでマイナス20度のワルシャワ空港で外に出されてしまい、
バス待ちの僅か15分くらいの時間でチアノーゼ(唇が紫色に変色するアレ)を起こした話も書いた。
人間はマイナス20度くらいになった時、
適切な服装をしていないとアッと言う間に低体温症になる。
前述したような厳冬期の登山やワカサギ釣りやスキーやスノボの時には、
それぞれ特有の服装で臨むのは知られている。
しかしそうではないアクティビティの時、
寒冷地では定番のスタイルがある。
それが掲題の「ハーフコートとロングコートの違いは大きい」となるのだが。
実は平昌に向かった時の娘は、
軽装で臨みたがる私の亡き父とは正反対で、
何事も重装で臨むのだが。
この時11月、娘は大学で売っていた、
寒冷地専用のダウンコートを2着注文していた。
ハーフコートの方は既に入荷していたのだが、
ロングコートは平昌行きの時には間に合っていなかったのである。
本来はマイナス20度くらいまで耐えられる仕様のそのダウンのロングコートを着て行く予定だった。
だが間に合わずハーフコートで行って酷い目に遭わされた、と。
ハーフとロングの差は実は非常に大きい。
娘の留学していた韓国でもそうだったらしいが、
私が厳冬期にかつて行ったロシアもそうだったのだが、
「本当に寒い時はハーフコートの人は先ずいない」のである。
ほとんどの人がくるぶしまで隠れるロングコートを着用していた。
大寒波が来ていたモスクワの空港でマイナス42度の中に立つ兵士を見た事もあるが、
例外なくくるぶしまでのロングコートを着ている。
また、若い頃は登山部だった友人と流星雨観測にかつて山中に行った時、
ヌカリの無い元登山部はもちろんダウンのロングコートを着て来た。
私は厳冬期のワカサギ釣り用のスタイルで行った。
もう一人は何度か書いているが革ジャンにジーンズ(モモヒキ無し)で、
厳しく言っても聞かず、
「放っておいてくれよ」とまで言われたので同行させたが、
15分くらいで「こんなに寒いとは思わなかった」と泣きを入れていた。(笑)
そう、大体「15分」で人は寒冷地では適切な服装をしていないと死ぬほど寒い思いをする。(笑)
ちなみに現在の登山の最先端の世界では、
今や一番大切だと言われる下着は吸湿速乾性素材ではない。
疎水性素材となる。
これは網目になった下着で、
汗を直ぐに外側に排出する機能を持ち、
皮膚に水分を付着させない。
この疎水性素材の上に吸湿速乾素材を着用し、
水分を吸わせた上で乾かすようにさせる。
さらにその上に吸湿素材を着て蓄えさせるか。
その方法は相変わらずのレイヤードシステムで色々と手段はあるが、
ともかく疎水性素材こそが最先端となっている。
今後、極寒冷地に行く場合は、
疎水性素材の下着とロングのダウンコートは必需品になるだろう。
もちろんロングコートはそもそも動き難いため、
スポーツ系に適応しないのは言うまでもない。
アクティビティの場合は、
それぞれ専用の服装にして臨まないと危ない。
余談:
かつてワルシャワの空港でのバス待ちの時の私の服装は、
長めのハーフコート・フード付きだった。
コートの上までボタンを掛けてフードを被って頭部を保護し、
ポケットに手を突っ込んでひたすらジッとしていた。
マイナス20度くらいだと割とこれで充分に耐えられた。
15分くらいだったが。
ここで恐いのは「頭部」だ。
本当に寒い場所では少しでも吹かれたら最後、
激しい頭痛が寒さによって起こる。
フードもしくは厚手の帽子は当然必需品となる。
余談2:
何度か書いているが、
使い捨てカイロは本当の寒冷地では使えない。
古い天文趣味人は私のように(笑)、
桐灰カイロを重宝している。
あるいは白金カイロか。