日本でも馴染みのある
『国際数学オリンピック(International Mathematical Olympiad:IMO)』
毎年開催される、高校生用の数学のお祭りみたいな催しで、
『アジア太平洋数学オリンピック(The Asian Pacific Mathmatics Olympiad:APMO)』
『ヨーロッパ女子数学オリンピック(The European Girls' Mathmatical Olympiad:EGMO) 』
と、3つの国際数学オリンピックに、日本もオーストラリアも参加している。
(ちょうど昨日の4月19日が『EGMO』5日目の最終日で、各国から女子参加者がスロベニアで楽しんだよう)
オーストラリアの代表は、AMT(Australian Maths Trust)などの非営利団体が行う、数学プログラムや数々のコンペティションで成績優秀、最終的にニュージーランドを含めた『オーストラリア数学オリンピック(Australian Mathematical Olympiad:AMO)にて、“オリンピックプログラム”参加者を選考。
AMTは、1980年台から始まった団体で、政府の教育機関と連動して、数学優秀な高校生にレベルの違うプログラムを用意して、全体のレベルを上げていく事を目標に掲げている。
要するに『国際数学オリンピック』にオーストラリア(QLDの場合)から出場するには
←オリンピックプログラムに参加
←オーストラリア数学オリンピックで優秀成績
←オーストラリア中級数学オリンピックで優秀成績
←QLDオーストラリア中級数学プログラムで優秀成績
←AMT主催のコンペティション優秀か、指定学校推薦
オーストラリア数学オリンピック委員会(The Australian Mathematical Olympiad Committee QLD(AMOC)により4年前から始まった、
『オーストラリア中級数学オリンピック(The Australian Intermediate Mathematics Olympiad:AIMO)”』。
“より多くの学生と数学に対する我々の愛情を共有。国家トレーニング・キャンプ(オリンピックプログラム)を含む、オーストラリアを代表する優秀な学生への機会。”
とあった。
その選考基準となる『オーストラリア中級数学プログラム』に、数学コンペティションに参加した経験のない娘(知らなかった)が、幸運なことに指定学校推薦で参加する事になった。
プログラムはステージ 1 と2に分かれていて、
ステージ 1 にはQLDのハイスクール生(中学1年〜高校2年)の中から329名。
4週に渡って、各週8問が出題され、月曜日の夕方6時までにオンラインで回答。
次の日に、解答と次の週の問題8問がメールされる・・・というシステム。
成績が良いものから、70〜80名がステージ2へ進む。
ステージ2の中から30名ほどが、
9月に行われる『オーストラリア中級数学オリンピック』に参加できる。
ステージ 1 では、ビギナー(初心者)とシニア(上級者)に分かれていて、ほとんどの中学生はビギナーグループ。
どちらも同じ問題を解くのだけれど、ビギナーは8問中の最初の5問が必須で、残りはオプションとなる。
娘も私に『シニア(高校生)になったらステージ2に行けると良いね』と気軽に言うほど、楽しく挑戦する事になった。
初週が始まり、
17日が、初回の“Number Theory(数論)” 解答提出日だったのだけれど、そもそも、英語の問題は私にはかなりハード。
数学問題の英語って本当に分かりづらい、と思うのは私だけだろうか。
例えば
(All Number answers are integers between 2 and 1000. )
3. Find the smallest positive integer x such that 12x= 25y^2, where y is an integer.
5. Let x and y be positive integers that simultaneously satisfy the equations
xy= 2048 and x/y−y/x= 7.875. Find x.
8. For how many integers between 1 and 2023 inclusive is the improper fraction n^2+4/n+5 not in simplest form.
努力で導き出せる解答とはいえ、中学生には難しいなぁ、という私の感想。
3だと、
すでに、1問間違えて、少し落ち込む娘。
間違えたのは、
2. It is known that every positive integer can be represented as the sum of at most four square numbers. What is the second smallest positive integer which cannot be represented as the sum of fewer than four square numbers.
と、まんまと『4』を最小としての『7』と解答して、4は単体で平方数なので含まれず、間違い。
数学オリンピックに関して、
しばしば日本では『数学オリンピックはパズル大会に改名すべき』という数学者がいたり、批判的な意見もあるようだけれど、オーストラリアでは他種のコンペティションと同じ扱いで、批判は特に聞いた事がない。
勉強の大会だからか、問題の質なのか、人口が多いが故の狭き門で参加者の周囲がプッシュしすぎる事への批判なのか。
意外と幼少期から多種にわたってコンペティションの多い、オーストラリア。
負けても相手を称え、勝っても相手を尊敬して驕る事のない姿勢を学ぶ文化で、
勝負の結果に引っ張られることが全くない印象。
娘も娘の周りの子供達も、コンペティションというと『勝ったら嬉しいけれど、参加できるのが一番嬉しい!』という雰囲気。
新しい問題に会って、普段出会えないプロの人や、学校以外の友達ができる、前向きなコンペティションだと思うけれどなぁ。
サッカーで世界大会出ても、全員がプロになる訳でもないだろうしねえ。
2週目は『幾何学/図形(Geometry)』
3週目は『組合せ数学(Combinatorics)』
4週目は『代数学(Algebra)』
と、まだまだ続く。
みんな、頑張れ〜!