孤独のFIRE

天涯孤独・社会的孤立状態のアラフィフ親父がFIREという名の無職を続ける記録

2025年のポートフォリオ

まずは新年のご挨拶を。明けましておめでとうございます。今年もFIRE民にとって実り多い1年である事をお祈りすると共に、新NISA成長枠の一括投資を終えた時点での資産割合を公開したいと思います。

去年はETFの配当+現金の取り崩しという手法から投資信託の取り崩しへの移行をテーマに挙げていましたが、今年はそれに加えて暴落耐性を重視。ややディフェンシブに・より分散を意識していければと考えています。

正直トランプ政権下で何が起こるかは全く想像つかない。去年末には日本同様に債務上限の撤廃を検討しているという噂が流れてきました。基軸通貨としてのドルの地位は揺るがないにしても、円同様ばら撒かれ価値が毀損していく可能性は少なくない。

その為去年の段階で少しずつ資金を移しており、前回公開したポートフォリオと比べると攻めの枠をVOOから全世界(日本除く)へ、守りの枠をドル建てMMFからGLDM(金ETF)と仮想通貨へ若干ではありますがシフトしています。

GLDMは配当がでない事もありFIRE達成時に全て売却してしまったのですが、前述の通りドルの資産保全能力が不透明な現状で救われる場面もあるのではないかと思い、高値圏ではありましたが改めて買い直しました。

 

トランプ政権が続き新NISA枠が埋まるまでの4年は、自分にとって難しい決断を迫られる年となるでしょう。また日本にとっては少子高齢化のデメリットが顕在化すると言われている2025年問題の始まりの年でもあります。

トランプ支持者の中にはQアノンに代表される陰謀論者・情報リテラシーが低く自分の人生がうまく行かない理由を求めてネットを彷徨う貧困層が少なからずいるようですが、日本の場合そうした他責思考の人種が野党支持に向かっている。

野党だからかと言って彼らのルサンチマンを無視していいかというとそんな訳もなく、貧困化に伴う経済ポピュリズムの大きな流れの中、資産家の高齢者を狙い撃ちした増税案の巻き添えをFIRE民が食うようなケースもあるのではないかと考えます。

去年はアクセス数を何とかせねばと試行錯誤する中、ツイッター経由でそうした気が触れた連中に攻撃される場面が何度もありました。貧すれば鈍すると言いますが、正直この国の行く先には極めて悲観的にならざる負えないです。

同時にFIRE民として肝が据わったというか、この国では労働もボランティアも金輪際しない。納税や消費は最低限にしながら、衆愚政治に支配されつつある国と距離を置くという覚悟が固まった2024年でした。

日本の貧困問題に心を痛めない日はないですが、「税は財源でない」だの戯言を言っている連中に自分の金はびた一文使わせない。その怒りの炎が消えない内は、ブログの運営ももう少し続けられるのかなと思っています。


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FIRE民の絶望と仕事

先月末の古い記事で既に目にされている方も多いかと思いますが、FIREを揶揄する(?)記事を見つけたのでご紹介です。

gendai.media

筆者の橘玲氏は作家。自分が読んだ事があるのは「臆病者のための株入門」だけですが、インデックス投資最強説という今なら当たり前の手法を、ライブドア事件を引用したりと寄り道しながら長々と書いているだけという印象でした。

今回紹介する記事は同氏が2021年に出した『裏道を行け ディストピア世界をHACKする』というタイトルからして胡散臭い書籍から、FIREについて語った部分の抜粋との事で、引用しながら雑感を述べたいと思います。

 

FIREのもうひとつの目標がRE(早期退職)だが、これは悠々自適の生活をすることでは(おそらく)ない。経済学では、ひとはみな「人的資本」をもっており、それを労働市場に投資して収入(給料)を得ていると考える。ほとんどのひとにとって人的資本こそが金融資本(富)の源泉なのだから、早期退職(RE)で人的資本をゼロにするのは人生設計としてバカげている。

言ってる事はごもっともなのですが、いまいちしっくりこないというか、論旨が自分の中に染みて来ない。もったいないけど人それぞれだよねで良いのに早期退職は馬鹿げているという強い言葉を使う必要があるのか。

思うに日本企業が軒並みブラック化している・言い換えれば労働者の「人的資本」を消費しなければ利益が出ないような仕組みになっている。その事が日本におけるFIRE願望の根本なのではないかと個人的には考えています。

それなら企業に食い潰され心身ともにすり減ってしまう前に、逃げ出して自分の人生を取り戻したいと思うのは当然の事。ゼロまで回復したら改めて自分の為に人的資本を積み上げて行くか、そのまま引退するか考えれば良いのではと思います。

 

さらに近年、ひとを絶望させるのは「貧困」ではなく「失業」だというデータが積み上がっている。(略)アメリカの中高年の白人労働者階級(ホワイト・ブルーカラー)だけは、2000年以降、平均寿命が短くなっていた。 この奇妙な現象を調べた経済学者は、その原因が「アルコール、ドラッグ、自殺」だとして、これを「絶望死」と名づけた。(略) 逆にいえば、仕事を通じて地域社会や仲間たちとつながっていれば、たとえ貧しくても「絶望死」のような悲惨な事態にはならない。

ここもこの人は日本社会とどこまで向き合っているのかなという気がします。日本の問題点はむしろ逆で、いじめやパワハラ等に代表される社会への絶望・社会と繋がりを断つ事が難しい事に起因するのではないか。

また最近は、社会的地位の高い人の信じられない犯罪が連続して報じられました。野村證券の強盗放火事件や、三菱UFJの貸金庫盗難事件など。いずれも犯行当時は在籍していたのを速攻解雇して「元社員」がやりましたと報じている訳です。

もう一つ我が国の絶望の源泉を挙げるなら過剰な自意識と「相対的貧困」、ネットの普及で本来だったら会う事もない桁違いの金持ちの生活が嫌でも目に入り、会社員としての地位を捨てるリスクを冒してでも自暴自棄になる人が増えているのではないか。

自分の観測範囲の中で言わせてもらえば、社会や仲間との繋がりを重視する人は自己認識がきちんと出来た上で、最初からサイドFIREを目指している人が多い。ただいずれもあなたの感想と言われてしまえばそれまでなので、更なる研究が待たれる所です。

 

早期退職(失業)はもはや、魅力的な人生の目標ではなくなっている。こうしてFIREは、「経済的に独立して、好きな仕事(社会活動)を通して大きな評判を手に入れる」という運動へと変わっていくだろう。実際、FIREを達成した者たちは、自らがインフルエンサーとなってこの理念の普及を勢力的に行なっている。

正直ここもダウトと言わざる負えない。確かにFIRE民の中には社会参加の重要性を説く人もいますが、決して多くはない印象。ここは以前「FIとREのどちらに重きを置くか」という記事で論じさせていただきました。

その時指摘したのは、海外の事例として失語症の啓蒙活動など地に足のついた活動が紹介される一方、日本人は退職優先で社会参加への意識が低く、ユーチューバーやアフィリエイター等生産性の低い活動が中心となっているのではないかという疑問。

そう思う理由を一つ上げると、ネットで良く見かけるFIREと生活保護を比較する論争。もし社会活動や名声を得る事が目的なら、ボランティアやNPO勤めと比べる議論があっても良いのですが、自分はついぞお目にかかった事がないです。

個人的にはインフルエンサーを今からやるのはお勧めしません。1つはFIREおよびインデックス投資の手法については既に王道が広まっており、付け足す事は多くない事。もう1つは完全な椅子取りゲームで社会参加している実感を得にくい事。

それでも小遣い稼ぎしたい人は、Xのトレンドに乗っかりわざと120文字以上の文章を書いてプロフに誘導したりする。そうした手法は既に飽和状態であり、アテンションエコノミーにどっぷり漬かるのはもはやFIでもREでもない。

筆者は文学部出身だからインフルエンサーが社会活動だと思いたいのでしょうが、自分は文筆家もインフルエンサー虚業だと思っています。好きな仕事を通して「社会貢献する」でもなく「評判を手に入れる」と書いているのも意図的に感じました。

 

感想としては繰り返しになりますが、日本独自のFIRE研究が必要なのではないかと思いました。トリニティスタディのレポートも絶望死の研究も、アメリカがそうだから日本もそうだではなく、国の文化や国民性と向き合わないと答えは出ない。

自分の予測は橘氏とは全く逆で、早期退職(失業)部分が不変のままFIの要素が細分化していくのではないかと睨んでいます。それをFIREと呼べるか否かは別として、労働に対するアンチテーゼは形を変えて残るのではないか。

もちろんそうした生き方がこれからの厳しい時代を生き残れるか、本のタイトルを借りればディストピア世界をハックできるかというのは別の問題として考えなくてはならないし、そうした趣旨での社会活動の薦めなら慧眼と言えるのかもしれないです。

書籍を買えばもう少し深い話があるのかもしれませんが、冒頭に書いた通りこの人には回りくどいエッセイストという位の印象しかない。Xのアカウントはフォローしているので嫌いな訳ではないですが、買って読むかと言われると微妙な所というのが本音です。

東京旅行

墓参りを兼ねて東京に旅行に行ってきました。

その際お試しで航空券のアップグレードを購入しました。ANAマイレージクラスに加入・かつ搭乗2日前までにプレミアムクラスに空席があると、追加料金でアップグレードしませんかというお誘いがメールで来るようです。

料金は区間と日時で異なりますが、今回セール期間で購入した福岡~東京のチケットが片道1万円にアップグレード代が1万4000円。通常のプレミアム席はこれも日時によりますが4万8000円なので、半額近い席を手にした事になります。

自分は財布の紐が緩み気味のリーンFIRE民ですが、たまの贅沢で富裕層気分を味わいたいなら夜食の出る夜便がお勧めです。スパークリングワインを嗜みながら懐石を摘んでいると、孤独のグルメの様にどれが酒の肴になるか試す楽しみがあります。

朝食のサンドイッチも決して悪くはないのですが、値段分の価値があったかと聞かれると難しい所。個人的にはサブウェイの方が好きですが、とにかく飛行機の中でスチュワーデスさんが配る食事を食べるという経験がプライスレス。

自分はいくらお金持ちになっても性根が貧乏人なので、定価で買う位ならエコノミーで移動して、浮いたお金で旅行先のレストランに行った方が良いかなと思ったりもするのですが、そうした価値観に気づけたのも含めて貴重な体験でした。

 

以前も書きましたが自分はイルミネーションやデジタルアート等暗闇で光る物全般が好きな人間で、今回の観光でも色々と巡ってきました。写真は東急歌舞伎町タワーのフードコートですがご覧の通り閑散としており、タワーが巨大な墓標に見えました。

個人的にはこういうノリは好きだし狙いは悪くないと思うんです。海外向けにステロタイプの日本は何かと考えた時、AKIRAのような近未来感を狙うのはありだと思うのですが、豊洲市場のようにインバウンド狙いでド滑りした感が否めない。

細かい話をすると、AKIRAがインスパイアを受けたのが映画『ブレードランナー』で、ブレードランナーがインスパイアを受けたのが歌舞伎町のネオン街なんです。例えるならサファリパークの隣に動物園を建てるようなもの。

他にはバンクシーGMOデジタル美術館・Shibuya Sakura Stage・東京ノードの期間限定イベントMUUUSE・コニカミノルタプラネタリウムを堪能しました。特にサクラステージは商業施設とデジタルアートが融合しており大変感銘を受けました。

あとは関東圏に新しくできたサウナやスーパー銭湯も時間の許す限り顔を出しつつ、以前から言ってみたかったボリス雑貨店にもお邪魔しました。定休日を調べておらず訪問できなかった場所も多数ありましたが、それなりに満足の行く旅行でした。

 

今回の旅も楽しい思い出ばかりではありませんでしたが、一番きつかったのが初日の出発前。お墓参りを兼ねていた事もあるのか、仲の悪かった死んだ家族が夢の中に出てきて飛び起き、2時間前後しか寝ていない中での外出でした。

移住前は関東を離れれば穏やかに暮らせるという淡い期待もあったのですが、中々うまくいかないものです。これも古い映画で恐縮ですが『羊たちの沈黙』のクラリス捜査官の様に安眠の為に戦い続ける宿命のようです。

また強行日程で満員電車に乗らざる負えない局面もありました。自分がFIREを決意した理由の一つが電車嫌いで、腹痛を起こし途中下車してトイレに駆け込んだり、触れた触れないで小競り合いになったりという事が数えきれない程ありました。

すったもんだがありつつも旅の終わりに思うのは、結局家が一番という事。自分は永遠の根無し草なので福岡への帰属意識は皆無の人間だと思っていたですが、空港についてWelcomeの看板を見ると帰ってきたなという安堵感はありました。

次の旅が何時になるかは未定です。先延ばしにしていた海外の移住地候補視察もやりたいのですが、気力と体力の衰えが激しく語学学習もサボり気味で、移住自体が現実的ではないかなと思っている所です。

今この瞬間が人生で一番若い。逆に言えばこれからは衰えるばかりなのですが、停滞期なりに美容と健康の為に色々と新しい挑戦をしている所です。その話はまた別の機会に日記に書くければと思っています。

自民党敗北でFIRE達成手法に変化はあるか

この前の衆議院選挙について雑感を書こうと思いますが、内容は以前『円安でFIRE達成手法に変化はあるか』という記事(/)を補足する形になります。つまり今回の選挙結果で円安が一段と加速するという予測です。

ですので結論は変わらず、円経済圏からの脱出を一刻も早く進めるしかないという事になります。悲観論を読みたくないという方、あと国民民主党に投票された方はお互い不愉快な思いをしない為にもここで引き返す事をおすすめします。

 

まず本論に入る前に、自分が以前Xでのフォローをおすすめした磯野直之氏と米山隆一氏のツイートを引用します。

立憲民主党の政策は左寄り過ぎると批判してきた国民民主党がれいわ新選組と見間違えるような極端な財政バラマキ公約をして議席を4倍に増やした。石破首相は生き残りのために、国民民主党の公約の一部を取り入れ、その代わりに、首相指名選挙の決選投票で野田立憲民主党代表を支持しないこと、予算案に… https://t.co/qvz5owOdGD

— 磯野直之 (@IsonoNaoyuki) October 28, 2024

今回の選挙では、国民とれいわが伸長しました。その原因の一つである「ばらまき」は正直非現実的で、この様な安易な主張が広まる事に危機感を覚えます。SNSを通じた広報戦術等は学び、取り入れつつ、我々は、真っ当な財政・金融政策を打ち出すべきだと思います。https://t.co/G7ZcGf8en3

— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) October 29, 2024

 

個人的な話をすると、ちょっと前までは国民民主党の党首である玉木雄一郎氏に対して好感を持っていました。政策提案型の野党というコンセプトは面白いと思いましたし、孤独担当大臣の新設を提言した時には成程と思ったものです。

それがおかしくなったのは、当ブログが一貫して批判してきたハンキン(半緊縮派)学者でネットに流布する多くのデマの発信源である高橋洋一と絡み始めてから。それ以降は特に経済に関して頓珍漢な発言を繰り返していた記憶があります。

(彼の流布したデマの一つ「国債はデフォルトしないと財務省のホームページに書いてある」は以前検証しました。需要があれば玉木氏も採用した「財源は外為特会が使える」という説についてもファクトチェックしたいと思います)

これは以前から書いていますが、FIREやインデックス投資の手法については既に正解がある一方、金融に関しては天動説と地動説のごとく意見が真っ二つに分かれており、前者で正しい事を言っていても後者で間違う事は往々にしてある。

そしてもし日本が経済危機に陥った時は、デマの発信源は勿論デマを拡散した側も責任を負うというのが自分の考えで、その代表が「ほったらかし投資術」の筆者である山崎元と水瀬ケンイチという話は以前もさせて頂きました。

 

今回の選挙前に玉木氏は資産課税や安楽死を肯定するつぶやきでプチ炎上する一方、教育国債とかポピュリズム丸出しの発言もしていましたが、結果はご覧の通りの大躍進。若者のルサンチマンを刺激する選挙戦略が見事当たったという所でしょうか。

極右と極左がカルト化するのは分かるのですが、一見中道に見える国民民主党の支持者もネットでの狼藉ぶりはかなりのもので、おそらく同党の支持層は金持ち・年寄り・財務省に怒りをたぎらせる他責思考の貧乏人。

そして今は財務省に向かっている彼らの怒りが富裕層に向かうのは時間の問題だと思っています。とはいえ超富裕層は幾らでも資産を逃がす伝手があるので、結局割を食うのはFIRE民・リタイア民のような小金持ちとなる訳です。

これも以前から話している事ですが、日本でFIREする最大のリスクは国の財政赤字と他人の足を引っ張る国民性。悲観論を読みたくない人も多いでしょうが、ここから目をそらして夢物語を語るのは不誠実ではないかと個人的には考えます。

FIREの賞味期限、更に言うと日本という国家の賞味期限を考えるなら、まだ「日銀は政府の子会社ではない」と断言した石破さんを勝たせた方が希望が持てたように思いますが、結局は国民のレベルを超える政治家は出ないという事です。

 

正直今回の争点が「小さな政府」vs「大きな政府」ならまだ救いはあったのですが、日本の対立軸は「ばら撒き」vs「もっとばら撒け」「うまくばら撒け」の戦い。エミン・ユルマズ氏の言葉を借りれば「日本の政党は全て経済左派」が現実。

なら経済右派とは何かと言えば一般的には小さな政府寄り、政府の介入は最低限に留め自由競争の中で民間の活力を促すような考え方を指すと思います。もちろんそれが向いているか否かは国民性にもよるのでしょう。

よくS&P500指数の上位5社を除けば、日経平均のリターンと変わらないという人がいます。数字を見ればその通りなのですが、自分は内心次のマイクロソフト・次のアマゾンも結局はアメリカから生まれる事になるんだろうなと思っています。

何故なら日本の企業も労働者も、努力して新しいサービスを開発したり生産性を上げたりするより、非効率でも公金チューチューする方が安全確実だと気づいてしまったから。その延長線上にMMTのような打ち出の小槌理論の需要があるのでしょう。

日本人が何時からそうなったのかは不勉強でよく分かりません。ただ自分も含めて勤勉さを失った日本人には、次の経済危機を乗り越えるパワーは既になく、戦後復興のような奇跡はもう起きないだろうと考えています。

 

これからの日本に待っているのは、老いも若きも男も女も「今だけ金だけ自分だけ」の精神で限られたリソースに群がる地獄絵図。それが日本人の総意というなら自分は何も言う事はない。くわばらくわばらと思いながら資産運用を続けるだけです。

短期的にはともかく中・長期的に見れば、円安およびそれに伴う物価高は止まらず、グレートリセットで政府の債務と国民の資産をチャラにしてようやく収まるが、その時は金持ちも貧乏人も身ぐるみ剥がされるというのが自分の考えるテールリスクです。

そして今回の選挙結果は円安を加速させ、結果的にはFIREの賞味期限を縮める事になる。これからドル資産を積み上げる人には茨の道が待っているし、既に積み上げた人は短期的には利益を得ても、財政問題に無関心なままなら最後は資産を失う。

ならどうすれば良いかという話ですが、とにかく円経済圏からの脱出をなるはやで進めた上で、4%ルールに基づき資産を貯めたら終わりではなく、最終目標を海外脱出に設定するしかないのではないかと思います。

イムリミットが何時になるのかは予測困難ですが、自分の見立てが正しければ国民民主党が法案を通すたびに為替が急激に円安に振れ、トラスショックならぬタマキショックが起こる。そうなったらもう終わりの始まりと思った方が良いです。

マイクロ法人の節税術が目を付けられた訳

偶然ユーチューブのおすすめに興味深い動画が表示されていました。

タイトルが長くて画面に入り切っていないのですが、内容としては家族持ちでファットFIREをされている方の中で有名で某インフルエンサーも推奨している、マイクロ法人の社会保険料の節約術が塞がれるかもしれないという話です。

この節税術が国に目を付けられた理由は6:03以降に説明されているのですが、従業員が1~4名しかいない会社で社会保険料を最低限しか払っていない人間が桁違いに多く、あまりにも不自然と思われたようです。

動画では今までは税理士界隈だけが知っていたような節税術がネットで拡散した事が原因じゃないかと分析していますが、やはり抜け穴的なやり方は世に広まった時点でお終いというのが現実だと思い知らされます。

これはマイクロ法人だけに限らずFIRE全般においてそうですが、ライフハックを求めて右往左往しながら実現するのでなく、資金にも精神にもある程度の余裕をもって生活した方が良いのかなと思いました。

独身FIREはずるいのか

ちょっと気になる記事を見かけました。

president.jp

筆者の御田寺圭氏は文筆家・ちょっと前に「こどおじFIRE問題」というnoteがバズって話題となりました。その時は有料記事だったのでスルーしましたが、今回の記事を読む限りやはり例のみずほレポートを引用したFIRE論でした。

文章を読み込めば独身男性がFIREを目指す事を憂う内容ではなく、氷河期世代を生み出した社会批判がメインなのですが、人によってはFIREけしからんという論調に傾くかもしれないので、引用しながら感想を書いていきます。

 

みずほリサーチ&テクノロジーズから出されたレポートで、日本で急増する単身(非婚)世帯の増加と、かれらの間で盛り上がる「FIRE(早期リタイア)」願望の拡大は、この国にとって深刻な人手不足型インフレリスクになりうるというものだ。(略)ロスジェネ世代の置かれた厳しい経済状況がかれらの結婚意欲を削いでしまったことは想像に難くない。 

こはちょっと議論が雑になっているような気がします。ロスジェネ世代・つまりバブル崩壊後に就職活動をした人達の多くは非正規雇用で糊口をしのぐ人が大半で、そもそもFIREに必要な資金を貯める事ができない。

今は家庭を持とうと思えば持てる人・同世代の中でも勝ち組で、生産性が高く給料も高い人達が競争を降りてしまう現象の是非を論じるべきで、ロスジェネ世代の救済はまた別の問題なのではと思います。

 

「FIRE」を達成した者は、現在の社会制度上は所得が乏しい「経済的弱者」としてカウントされ、公的支援の対象者として捕捉される。(略)「FIRE(志向)」とは若いうちから自分を老人に擬態して税や社会保障の負担から逃れつつ、あわよくば給付を受けることさえ可能にしてしまう、社会制度の抜け穴をつく、一種の「裏技」的な方法論なのである。

ここの部分は同意しますが、同時に抜け穴はいつか必ず塞がれるとも思っています。最近色々な政治家が「応能負担」だの「資産課税」だのと言い出したのも、その流れから来ていると思われます。

何だかんだで投資をしている人は未だに少数派という現実がありますし、自分はそうした穴を塞ぐ法案が提出されたら、煙草を吸わない人が煙草税が強化されても何とも思わないように、意外とあっさり可決されてしまうような気がします。

世間で味方を増やすためにも、社会の中のFIREという物を常に意識して、抜け道を自慢するような露悪趣味は控えた方が良い。これは当ブログがずっと言ってきた事なのですが、力が及ばなかったのは残念に思います。

 

「FIRE」に成功して早々に隠居すなわち給与所得者を辞めてしまえば名実ともに住民税非課税世帯となって社会保障や生活インフラに実質的にフリーライドする側へと回ることになる。ロスジェネ世代は経済的に厳しい状況に置かれている人が多い世代ではあるが、かといって統計的に見れば「ひとりで暮らしていく分」の余裕資金を持てないほどではない。

ここは繰り返しになりますが、若干ではありますが議論が雑になっている気がします。金融庁の調査によると単身50歳代の平均貯蓄額は1391万・中央値は80万だそうで、4%ルールで一人分の生活費を賄えるかと言われれば心もとない。

この金額で実現できるのはそれこそこどおじFIRE・実家に住み生活費を丸々免除できる人か、実際には広告収入がメインのインフルエンサー位でしょう。FIREという言葉が流行ったが故に我流・亜流で達成者を名乗る人が増えている。

結果としてファットFIRE≒既に多くの税金を納めている人や逃避型FIRE≒ブラック企業で心身を病み、金融所得がなければ生活保護を受けるしかない人までフリーライダーのレッテルを張られてしまうのは少し違和感があります。

 

当たり前に得られていたはずのライフイベントが根こそぎ奪われたロスジェネ世代は、「自分のコンパクトな暮らしを死ぬまで続けられればあとのことはどうでもいい」という刹那的というか、現世利益主義的なライフスタイルを内面化するようになった。(略)共同体の歴史的連続性から切り離されてしまった者は、「個人最適化」を図るようになる。それは至極当然のことだ。

ここの部分も基本的には同意します。正直言えば、自分の中にも上の世代や下の世代への憎しみは少なからずある。ただ同時に、生存戦略として自分さえ良ければという考え方では厳しいのではないかという話も何度かさせて頂きました。

自分の場合は家庭環境や資産を手に入れた経緯が複雑で、自分の死後残った資産は何らかの形で世の役に立てればという気持ちはありますが、それはまた別の機会に書こうと思っています。

 

「自分の老後どころか、死んだその先の未来のことを考える」というのが、その国に生きる者として呼吸するのと同じくらい当たり前の営みでなくなり、ある種の“贅沢な思想”になってしまったら、その国はきっと滅びる。(略)私たちの社会が選んで「歴史的連続性」から切断された人を増やしてしまったからそうなったのだ。

ここが最後の結論であり、社会全体の問題なんだというのが筆者が最も言いたい事なのですが、やはりFIREを持ち出す必要があったのかなという疑問は残ります。記事を読んで抜け道塞げば働き出すんでしょと短絡的に思う人がいてもおかしくない。

自分のFIREに対する本音は以前「FIRE達成1年に寄せて」という記事に書かせて頂きました。俺が日本を駄目にしたんじゃない。駄目な日本が俺を産んだんだと。ただこの考え方が世間で通用するかは分かりません。

これも個人的な話になりますが、自分の論旨を通すために「○○しないとこの国は亡びる!」と言う人が苦手です。自分も幾つかの理由で国が滅びる事を確信していますが、人の発言を見て不快なので極力言わないように心掛けています。

 

全体的な感想としてはただただ暗澹たる気持ちにさせられます。限られたリソースを奪い合う中で家庭を持つ人・選択的に持たない人・経済的に持てない人という新たな対立軸が生まれてしまうなら非常に残念に思います。

そうした中でFIREという比較的新しく、かつ少数派の生き方が悪者にされる可能性は、頭の片隅に置いておいて損はないのではないか。フットワークは軽く、世論がどっちに転んでも生き残れるような準備が必要と思います。

FIREとレンジ相場

ちょっと前にS&P500指数が今後10年間低迷するという記事を見かけました。

www.businessinsider.jp

タイトルの書き方が紛らわしいのですが記事の主役はバフェットではなく、スミード・バリュー・ファンド(SMVLX)を運営するビル・スミード氏。ですのでアクティブファンドを売る立場からのバイアスはあると思った方が良いかもしれません。

無料部分しか読んでいないのですが同氏の分析として、バフェット氏の昨今の動きがドットコムバブル崩壊前の行動と非常に似ている為、その時と同じように今の株高が終わり、S&P500指数が長期低迷する可能性があるという話のようです。

 

昨今のFIREブームも結局は右肩上がりを拠り所にしている訳です。有名な4%ルールはS&P500指数の平均リターンー平均インフレ率が根拠らしいですが、平均は平均であって自分が投資している期間に長期低迷が続く可能性はゼロではない。

仮に指数が10年間のレンジ相場に突入した時、FIRE生活はどうなるのか。概算なので税金等は省きますが、生活費が年間240万・金融資産6000万・現金クッションは1200万という4%ルールに忠実な運用をしていたと仮定します。

そして10年間で金融資産がプラマイゼロ・かつ年3%のインフレで生活費が上がり、現金を全て取り崩した後に金融資産を取り崩すものと仮定して、どれ位資産が減ってしまうのかという大雑把なシミュレーションです。

10年以降通常のリターンに戻ると仮定して、自分の計算が正しいなら生活費は月25万必要となる一方で、金融資産を4%取り崩して得られる額が月15万という、収入と生活レベルがかなり乖離してしまう結果となります。

更に悪い事に、4%ルール+現金クッションという王道ルールで生活している人が、自分の知る限り多くない。殆どが我流でサイドFIREとリーンFIREの中間、金融所得と情報商材やユーチューブの収入で生計を立てる人が多いように見受けられます。

また上記シミュレーションは10年でリターン0%とかなり非現実的な設定ですが、実際バブルが崩壊する時はドカンと落ちた後ゆっくり回復する事が多く、最初の暴落で心理的に耐えられず脱落する人は少なくないと思われます。

そうなれば当然動画の再生回数や情報商材の売り上げも落ちる。FIRE生活の資産運用とインフルエンサー業は一つの籠に盛った二つの卵であり、自分ならサイドビジネスはFIREと関係ないものにするという話は以前させて頂きました。

 

ちなみにバークシャー・ハザウェイが株式を縮小する一方、熱心に見受けられるのが円建て社債の発行。バフェットの思惑を推測するに、株価の上昇は不透明な一方、円の価値の毀損は確実で手堅いと考えているのではと思われます。

なので先のスミード氏のようにバフェットという天才に乗っかりたいと思うなら、株ほど値動きが大きくなく円安で価値が上がるもの、例えば外貨建てMMFや金の投資信託で為替ヘッジのない物を購入するのが良いのではというのが自分の考えです。

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