修学旅行や宿泊学習のシーズンですね。教員時代、この時期は本当に忙しかった~。同業の夫は、この時期毎日忙しそうです。
ところでみなさんは、
修学旅行中、先生って何時に寝てるんだろう…
って思ったことはありませんか?私は生徒に何度も聞かれたことがあります。今回は、修学旅行のあれこれについて、気ままに書いていこうと思います。
修学旅行の日程が決まるのは、意外と早い
自分が行く「修学旅行」や「宿泊学習」が、いつ決められているかご存じですか?
中学校を例にとってご説明します。
修学旅行は中学校3年生で行きます。遅くても、この中学3年生が入学してきた年(中学1年)の冬には、日程も行先も決まっています。中学1年の秋ごろから、旅行会社との打ち合わせがはじまります。「中学2年生の宿泊学習も行ってないのに?!」とお思いですよね?教師になりたてのころ、私も思っていました。
中学2年生で行く宿泊学習は、すでに入学したときには「おおまかに」内容は決まっているのです。もちろん行先が変更するケースもありますが、経験上だいたいがこの流れでした。つまり中学1年生の夏には、次の年に行く宿泊学習についてはっきりと内容が決まります。なぜなら中1の2月か3月には生徒にも、家庭にも「こんなところに行きますよ」という概要を説明しなくてはならないからです。旅行代金のこともありますしね。
そこでは費用の話もしますから、ここから変更することはほぼありません。次の年の年間行事予定に記載するためにも、この時期に決定しなくてはならないのです。
そのためほぼ同時進行で、「修学旅行」の話も進められます。現役教師のときは、「まだ宿泊学習行ってないのに、もう修学旅行の話かいっ!」と心の中で思ったものです。
なぜそんなに早いのか
修学旅行や宿泊学習は、学校用語で「旅行的行事」といわれます。この旅行的行事は、中学1年生で行われる「現地学習」「炊事学習」「地域学習」なども含まれます。この「旅行的行事」は、3年間を見通して【目標】が決められます。
例えば、1年生では、炊事活動を通して「コミュニケーション」を身につけさせよう。2年生では、身に付けたコミュニケーション力を生かして、半日自主研修をさせよう。3年生では、1・2年生での活動を生かして、1日いっぱい自主研修をさせよう。みたいな流れです。だから、必然的に、おおまかではあっても「行先」「内容」が決まってくるのです。
そして、この「旅行的行事」の内容は、該当学年の先生だけで決めるわけではありません。校長や教頭、各学年の主任の先生、学校の行事を動かしている先生など、たくさんの先生が集まって、時期や内容、費用、どこの旅行会社にお願いするか、などを決めていきます。そのため、決定までには膨大な時間がかかるのです。
まさか、自分が行く修学旅行が「2年前に」決まっているとは思いませんよね。
修学旅行の行先が突然変わった経験
実は現役教師のとき、修学旅行の行先が変わったことが2度あります。1回目は、「東日本大震災」です。震災当時、私は中学1年生の担任でした。その子たちの修学旅行の行先は、東北地方が予定されていました。震災が中学1年の冬の出来事で、修学旅行は中学3年の5月の予定。1年ちょっとあれば、何とか復興しているのではないか、とぎりぎりまで予定通りの計画でした。しかし、計画変更を余儀なくされ、中学2年の冬に「北海道の道東方面」へと変更が決定しました。
2回目は、コロナです。「関東方面」への計画が、これもやはり「北海道の道東方面」へと変更になりました。
修学旅行中の教師ルーティーン
おまたせしました。やっと「先生が何をしているのか」「いつ寝ているのか」のお話です。ある修学旅行の日程を例に、時間経過とともにご説明します。
6:00 教師打ち合わせ(職員室にて、最終確認をします)
6:30 委員生徒登校(集会について打ち合わせします)
6:40 一般生徒登校(玄関や体育館でお出迎えします)
7:00 出席確認(いない生徒へ電話をかけに職員室へ走ります)
7:20 バス乗車(点呼をとったり、薬を飲んだか確認します)
7:30 バス出発(窓を開けるな、お菓子出すなと叫びます)
ここでだいたい20%くらいのライフゲージを消耗します。
見学中や移動中はそこまで疲れませんし、みなさんもよく見ている先生の姿なので割愛。
16:30 ホテル到着(ロビーで今後の日程等の教師打ち合わせ)
17:00 巡視(ちょろちょろ出てくるな、TV消せ、お菓子食べるなの連呼)
17:30 夕食(アレルギーに神経使う、顔色や食べっぷりを確認)
19:30 お風呂巡視、部屋巡視、売店巡視、廊下巡視
そろそろライフゲージが50%を切り、目をつむると夢の世界へ逝きそう。
20:30 学級ミーティング(今日のあれこれを生徒と反省)
21:30 就寝準備(なぜこの時間から急に元気になるのだ?君たちは)
22:00 消灯(強制的に電気を消す、「怖い~」と悲鳴あげる女子)
ここからだいたい2時間は戦いが始まります。「睡眠不足で体調不良」はよくある話なので、とにかく早く寝てほしい。男女のあれこれは一番気をつかうので、部屋から出てくるなんて言語道断の姿勢で廊下をウロウロ、時には靴を脱いで(足音がうるさいので)徘徊します。
この時点でゲージは20%を切っています。立ちながら目をつむるときも。
24:00 教師打ち合わせ(2交代で、残りは引き続き巡視)
1:00 生徒のしおりチェック(反省にコメントを書いたり)
2:00 寝静まったのを確認した部屋から、ドアを閉め、カギをかけ。
2:30 巡視終了(主任の先生が「いいよ」って言ってくれたらね)
ゲージはほぼ0%で、自分の部屋に戻ります。
元気な先生は、ここから温泉に入ったりするらしいですけど、私は「睡眠第一主義者」なので部屋のシャワーで速攻寝ます。でもこのとき「生徒の部屋に音が響いて起こしてしまわないか」ととっても気になってます。ひっそりと、こっそりと部屋の中を忍者のように歩き回って1日を終えます。
【翌日】
5:30 巡視開始(早く起きた生徒がうるさくしないか、異常がないか確認)
6:30 生徒起床(起こして回る)
だらだら準備するので、部屋を回りながらせかす。そうして、朝食を食べ、一日が始まります。修学旅行はこれがもう1日、2日ありますので、ライフゲージの回復が間に合いません。栄養ドリンクは必需品です。バスの中でこっそり仮眠も見逃してください。
到着後、飲み会があるときがあります。あの大きなバッグをもって「打ち上げ」へ。
まとめ
以上、「修学旅行」にまつわるお話を書きました。
そんなに大変なら、夜の巡視なんてしなくてもいいんじゃない?
と言われることもあります。実際、しない学校もあると聞いたことがあります。でも、
「もし何かあったら」
きっと学校が責められるでしょう。「そのとき先生は何をしていたんですか?」『部屋で寝てました』が通用するのであれば、喜んで巡視やめますよね。教師を取り巻く環境が、早く改善されることを祈るばかりです。
今日も、旅館の廊下で寝ている先生がいます。がんばれ!
したっけ、またね!
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