中国経済のバブル崩壊はいつ?2025年度は中国経済とFOMCの利下げ見通しに要警戒!
ジェームズ・ フォード- 本稿では、今週のFOMCの詳細、並びに、「中国経済のバブル崩壊はいつ?」という疑問に答えるべく、2025年度に向けての中国経済の分析と株式市場への影響を詳しく解説していきます。
- 米国経済は「ゴルディロックス市場」と称される安定成長と低インフレの絶妙なバランスが続いていますが、FOMC後の利下げ見通し縮小やインフレ圧力が今後のリスクとして浮上しています。
- 中国経済は成長鈍化や債務問題など多くの課題を抱えており、これが世界市場や商品価格、通貨の変動に深刻な影響を与える可能性があります。
- 投資家は資産分散やリバランス、新興市場への注視を通じてリスクに備えると同時に、ボラティリティを活用して新たな投資機会を探ることが求められます。
米国経済の見通しとは?
最近の市場は、まさに投資家にとって「ゴルディロックス状態」と言える絶好の環境となっています。安定した経済成長、インフレの鈍化、そして中央銀行が成長促進とインフレ抑制の絶妙なバランスを取っている状況が続き、楽観的なムードが漂っています。
しかし、この理想的な均衡はどこまで持続可能なのでしょうか?市場を動かす要因や潜在的なリスク、そしてこのユニークな環境下で投資家が取るべき具体的な行動について考えてみましょう。
一昨日のFRB会合後の株価下落は、この市場で何が問題になり得るかを示唆する手がかりを提供してくれました。
そして、本稿では下記の点を解説していきます。
・FOMC後に株価が下落した理由
・2025年に強気相場が直面する潜在的リスク
・中国が「ブラックスワン」となる可能性とは?
・投資家が今取るべき具体的なアクション
・マクロETFポートフォリオに追加する新しいポジション
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では、FOMCの詳細から見ていきましょう。
FRBのパウエル議長が市場を驚かせる?
FOMC会合前、市場では2025年に最大100ベーシスポイント(bps)の利下げが見込まれていました。
しかし、FRBの最新ドットプロットでは、金利が約4%にとどまり、25bpsの利下げが2回行われるに過ぎない可能性が示されました。
FRB議長のジェローム・パウエル氏は、インフレ抑制と市場支援の両立という難しい舵取りの重要性を強調しました。
FOMC参加者による適切な金融政策の評価:フェデラルファンド金利の目標レンジの中央値または目標水準
(出所:Federal Reserve)
最大の課題はインフレそのものだけでなく、インフレがFRBのドルや利回り管理に与える影響だと言えるでしょう。
米ドルの破壊力
急上昇するドルと4.5%に達した利回りが市場への圧力をさらに強めています。ドル高は世界的な流動性を縮小させ、ドル建て債務を抱える国々の経済を圧迫しています。
ドルインデックスの推移
(出所:TradingView)
貿易競争力を高めるためにドル安を望む声は多いものの、インフレという重大な課題が立ちはだかっています。
10月のPCE(個人消費支出)の上昇などのインフレ指標は、リスクが依然として根強いことを示しています。しかし、真のリスクはインフレそのものではなく、インフレがFRBのドル安政策を制限する点です。この制限が、中国のような国々がさらなる金融緩和を進める余地を狭める結果をもたらすのです。
米国経済の基礎的条件は依然として堅調
「ゴルディロックス市場」とは、以下のような特徴を持つ状態を指します:
適度な経済成長
企業利益を押し上げるのに十分でありながら、インフレ圧力を引き起こさない絶妙な成長バランス。
安定したインフレ率
企業や消費者にとってコストを予測可能な範囲に保つこと。
米国PCE価格指数の年間変化率
(出所:TRADING ECONOMICS)
緩和的な中央銀行による政策
経済を過熱させることなく成長を後押しする政策運営。
(出所:MacroMicro)
こうした条件が株式市場を支えており、特に大型テクノロジー株や仮想通貨のような投機的資産への投資家の関心が再び高まっています。
しかし、FOMCの後、この楽観的なシナリオに対して疑念が生じました。そして、これが始まりに過ぎない可能性があります。
何が問題となるのか?中国経済というブラックスワン
中国経済は多くの課題を抱えており、2025年に向けて投資家は特に慎重な姿勢が求められます。
中国国債利回りの急落
中国10年物国債の利回りが、この3週間で37ベーシスポイントも低下しており、景気刺激策に対する信頼の欠如が明らかになっています。
中国経済成長の減速
小売売上高、固定資産投資、不動産活動が期待を大きく下回り、経済全体の勢いを弱めています。
中国の債務問題の深刻化
公的部門と民間部門の両方が増大する債務に縛られており、北京の財政政策による介入能力が大きく制限されています。
中国政府は経済刺激策について頻繁に発表を行っているものの、その具体的な内容や実施方法についてはほとんど明確にされていません。最近の北京からの発表は、約束ばかりが先行し、実行可能な具体策が欠けている状況です。このため、投資家の間では不信感が高まりつつあります。これらの動向は、今後数ヶ月の市場に重大な影響を与える可能性があります。
商品価格
中国が主要な消費国であることから、経済の減速が原材料の需要を押し下げ、世界市場全体に影響を与える可能性があります。
株式の相関性
中国に関連する新興市場株式やその他の資産は、政策の急激な変化に非常に影響を受けやすい状況にあります。
通貨の変動
人民元の下落は貿易不均衡をさらに悪化させ、他のアジア通貨に圧力をかけるだけでなく、新興市場からの資本流出を招く可能性があります。
地政学的緊張
貿易摩擦や政治的対立の影響で、サプライチェーンの混乱や政策の不透明性が高まるリスクが存在します。
リスクとチャンスに対応する投資戦略とは?
市場の不確実性が高まる中、市場の投資家はどのような行動を取るべきでしょうか?
資産クラスの分散
小型株、商品、債券をポートフォリオに組み込み、バランスの取れたエクスポージャーを確保することが大切であるようと考えています。投機的な資産のボラティリティに備えるため、質の高い投資を優先することが重要であると見ています。
新興市場を注視
中国から経済の焦点が移る中で恩恵を受ける可能性があるインドや東南アジアなどの地域の投資機会を注視しています。
ポートフォリオのリバランス
大型テクノロジー株など、好調なセクターで得た利益を確定させ、割安な資産やディフェンシブ(防御的)な資産に再投資することを検討しています。
まとめ
インフレがさらに鈍化し、中央銀行が緩和的な政策を維持する限り、「ゴルディロックス経済」は続き、幅広いセクターで成長の機会を提供する可能性があります。しかし、政策のミスや予期せぬ地政学的ショックなど、わずかなきっかけでこの繊細な均衡が崩れるリスクもあるため、注意深く見守ることが重要です。
中国の経済動向は、今後の世界市場の動きを大きく左右する鍵となります。特に、景気刺激策や貿易に関する政策は、広範囲に影響を及ぼす可能性があります。リスクは無視できないものの、ボラティリティの高い局面は、目利きの効く投資家にとって新たなチャンスとなることもあります。
次章では、私の運用するポートフォリオの1つである「マクロETFポートフォリオ」の最新の動向と注目のETFに関して詳しく解説していきます。
※続きは「iシェアーズ MSCI 韓国 ETF(EWY)とは?マクロポートフォリオの最新動向と併せて韓国株の魅力を徹底解説!」をご覧ください。
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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード
📍米国マクロ経済&テクノロジー担当
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