日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

暴力5人娘 新東宝 1960年 新東宝

監督 曲谷守平 脚本 岡戸利秋 葉山浩三

出演 万里昌代 大空真弓 三条魔子 菅原文太 国方伝 花岡菊子 沢井三郎

   並木一路 

 

5人娘とありますが、いつも6人以上娘がいた(笑。シーンによっては7人に増えてる。もっといる時もある。

で、作品名にある暴力っていうのもわからない。大蔵貢製作とあるので「娘」というのを使ったのはなんだかわかります。しかも女子大でラグビーをしている娘(学生)なのだ。明らかに男性向けに作られたと思うんですが、物語は学園を我ものにしようと理事長を下ろしを画策する面々とそれに対抗する女学生。

菅原文太没後10年追悼で新東宝公式チャンネルの2週間だけ無料公開ですが、これまで世間を騒がせた(今も騒いでいるが)あの県にまつわる話と被る。菅原文太と言えばヤクザとかトラック野郎がまず浮かびますが、新東宝ではハンサムスターズの一員でまだヤクザではなかった。で、この作品が選ばれてアップされたのか?それとも今の時期だから選んだのか、そこまで考えてしまう話の内容でした。

権藤理事長(国方伝)を追い出して大学を我が物にしようと保坂学園長(花岡菊子)にせっつかれ、副理事長の中園(沢井三郎)は土建屋の河田(並木一路)の協力を仰ぎ追い落とし工作に着手する。河田は副理事長の味方だと思わせながら実は副理事長が学校の実権を握ったあとには無き者として跡地にホテル建設をもくろんでいる。さらに河田には麻薬を融通しているボスがいる。

頭がよくないと自認している権藤理事長はそんなこともつゆ知らず、宇宙やロボット研究に熱をあげており、人を疑うこともしない。しかし、理事長排除の動きを知った女学生が立ち上がる!

ある日、アルバイト先にやってきた男が拳銃をもっていることに気づいた智代(大空真弓)は同級生で新聞社でアルバイトしている信子(万里昌代)に連絡。殺し屋に違いないからと彼の後を追わせ、スクープを提供しようとする。ところが男がタクシーに乗ってしまった。追跡はできないと思っていたらなんとやはり同級生で車のセールスをしている礼子(扇町京子)が通りがかりタクシーの後をつけさせる。すると理事長宅へ行ったことがわかり、理事長が殺し屋に狙われているとわかった。

この女子大学、一応、ブルジョア家庭の子女が通うらしいのだが、アルバイトに精をだす女学生(笑。

その男、南条(菅原文太)は河田に殺しをするより、事故死や自殺にみせかけて殺うことを提案。なかなか頭がよいな。

国方伝・菅原文太

何もしらない権藤理事長の運転に同乗し、そこで事故死させようとするが失敗する南条。ここからコメディ感が強くなり、娘のお色気は全くなくなる(笑。

南条は逆にそこで怪我をしてしまい、権藤理事長に介抱された。彼の心根に心打たれた南条は理事長のためにひと肌脱ぐことに。南条から中園や河田の詳しい内情を知った女学生。

そんなある日、新聞社が権藤理事長を取材に来た。彼の研究を発表したいと言うが、

発表されたのは理事長は誇大妄想狂、仕える執事はキチガイという記事であった。

マスコミを使った作戦だ。60年以上経っても変わってないな(笑。当時は新聞だ。

すると学校関係者からも理事長に対する不信や不安が持ち上がり、評議会が開かれ理事長追い落とし作戦は見事成功するかと思われるが・・

なんか、こういったこと、最近もあったよね。で、まだ続くんだよね。

評議会風景。全会一致で理事長糾弾の図

ひとり理事長を擁護する老いた執事だが、多勢に無勢だ。

裏の話を知っている南条は評議会で証言しようとするが、河田に雇われた殺し屋たちが南条や智代と礼子を拉致。そこで信子や直子(三条魔子)が救出に向かう。

ま、くだらないと言えばくだらないんだけど、最近話題となっている現実世界の話を考えるとあまり馬鹿にできない題材を扱った作品でした。

菅原文太

国方伝は、まだ多少、「恋文」時代の面影は残っていました。違わないのはあの独特な声です。恋文が公開されて以降、しばらく彼は映画に登場しなかった。その時は道三重三という名前(本名?謎)で当時は映画出演に興味がなかったのか、若気の至りだったのか、監督の田中絹代を怒らせたらしく(久我美子談)、大蔵貢の新東宝で久しぶりに見た時は見た目のふっくら感にちょっと衝撃。さらに出演作の役にもビックリで残念だった俳優さん。デヴュー作が恋文だったのに、ほんともったいない。

恋文↓

nihoneiga1920-1960.hatenablog.com

国方伝

 

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