2024年8月30日に『路傍のフジイ』の最新”3巻”が発売されました。
発売日の0時には購入し読んでいたのですが「どう紹介する?」と思い記事に出来ていませんでした・・・。
本作は好きだし面白いけど「どうやって人にオススメすれば?」という方が多い気がします。
作品名の「路傍」は【道のほとり/みちばた】という意味があります。
漫画の内容からどこにでもいるフジイという意味ですかね?
分かり易いアクション、トラブル、主人公の成長、恋愛など一切なく日常が描かれている本作ですが「スルメ」のように噛むほど味がするような何も起こらないのに深い漫画です。
日常で多くの人が考える事や共感できることなどが出てきたり、あーこういう奴いた!というキャラが出てきたりで記憶とマッチすることもしばしば。
楽しいことがない、人生イイ事がない、自分だけ不幸と落ち込んだり悩んだりしている方はぜひ読んでください。
そんな人が安心できる漫画です。
ネタバレを含みますので閲覧注意です。
■『路傍のフジイ』とは?
分かりやすい人が目立つ世の中ですが見た目も中身もモブだけどよくよく知ると凄い魅力を持っている全人類の縁の下の力持ち的存在フジイ。
子供の時は足が速い、ドッジボールがうまい、勉強ができる等といった分かり易い特徴で目立ったりしますが、本作の主人公「フジイ」の魅力は大人&賢い人だけが気づくものだと思います。
同僚のイケメン男性「田中」は色々な欲求を抱えて日々を過ごしていました。そして人と自分を比較してその都度「俺なんて」と考え込んでしまいます。
そして社内で殆どの人に見下されている「フジイ」をみて「自分はまだ大丈夫、そこまでひどくない」等と考えます。しかしスッキリしない気持ち。モヤモヤした状態で休みの日に自販機で飲み物を買って飲んでいると、歩いてくる「フジイ」が視界に入りました。
なぜか気になりラフな休日スタイルのまま尾行する田中。
公園で写メを撮ったり、炎天下の中いたずら書きされている亀の甲羅を綺麗にしたり、○○ミュージアムみたいな施設で親子連れに交じってひたすらウロウロしたり、ケーキを買ったり、轢かれそうになっている年配の酔っ払いを心配するも殴られたり・・・。
殴られて血を流すフジイに田中は声をかけます。
そしてフジイの自宅へ。
道中で買っていたケーキは自分の誕生日を祝う用でした。
田中は誕生日に家で1人ケーキを食べるフジイに対して内心マウントします。
しかしフジイの部屋は様々な趣味のものが多く置いてありました。
そして田中の「楽しそうですね」と嫌味に笑みをこぼして「楽しいです」と即答します。
部屋に置いてあるギターを見て弾き語りをねだる田中。歌もギターも下手くそでしたが何にでも一生懸命で何でも楽しむフジイに感動し涙を流します。
こうしてフジイの虜になった田中。スッキリした朝を迎えるのでした。
そして他にもフジイの魅力に取りつかれる人がいます。
社内で美人と評判の石川です。
突然の雨にふられ一緒に帰ることになったフジイと石川。
フジイは猛スピードで走って来る車を察知して石川を庇い、1人水たまりの水を被ります。
少しずつフジイに惹かれていく石川。
会社の飲み会の帰りに試すようなことをします。
しかしフジイは乗って来ません。試すようなことをしてしまった石川は後悔します。
一見どこにでもいるザ・モブのように見えて自分をしっかり持っている芯が強い男でした。
偉ぶるでも卑屈になるでもなく、とにかく自分がやりたいように人生を謳歌しているフジイ。しかし天使のようなお地蔵さんのような清い心で全くの下心なく老若男女問わず助けますし、親身になります。
そんなフジイの魅力に気づき少しずつ一目置くようになる同僚たち。
ゆるーく、でも一生懸命に日常を謳歌するフジイの物語です。
■最新”3巻”の感想
3巻もフジイはブレません。
街で聴いたバンドのライブに行くもファン層が自分のキャラと違い過ぎてバタバタしたり。
街で聴いた曲のタイトルが分からずCDショップで歌う羽目になったり。
このシーンは中学生の時に私も実際に体験したので思い出して吹きました。
友達と2人で行ったのですが曲名が分からず店員さんに歌ってみて?と言われたのです。歌に自信がない私は友達に歌ってもらいながら他のお客さんが注目し始めたので恥ずかしくなって若干他人の振りをしてしまいました・・・。あの時はごめんなさい○○。
3巻の見どころはフジイの過去です。
若い時のフジイがどうだったか?
同じなのですが、子供時代はよりフジイの魅力に気づきにくいため案の定ハブられています。
クラスメイトの男子はフジイと距離が近づくことを恥ずかしいと思っていました。
しかしイケメンで長身の人気者とフジイが知り合いとしります。
そしてそのイケメンにフジイの悪口を言うのですがバッサリ切られます。
次にフジイは不登校の馬場と関わっていきます。
面倒がって誰も関わろうとしないクラスメイト。
フジイはめげずに馬場の家に行きます。
そして気付くとフジイの魅了される馬場。
モブのフジイが転校するときに見送りに来てくれたのはイケメンの成田とこの馬場だけでした。
出会って間もないため友達なのか分からないという馬場に成田は言います。
フジイは馬場のことを友達だと思っているよと。
そして時を経て、成田が亡くなりました。早死にです。馬場は呼ばれていましたがフジイはモブ過ぎて誰も呼んでいませんでした。
昔を思い出してフジイも成田に会いたいだろうと探すことにしたのでした。
やはり「スルメ」のように段々味がしてくる名作です。
展開がないのでぬるぬるページが進みますが、何度か読むと感慨深くなっていくのです。
ポジションばかり気にして本当の友達は出来ない嫌なやつ、仲が良かったと見せかけて大人になったら覚えてもいない奴。
実際にあることをフジイを中心に置きながら見せつつ読者を惹き込む謎の魅力。
いつまで続くんだろうか。
長く続きそうな内容ではないですが、面白いしオススメです。
悩んだり、疲れている人こそ読んでみて頂けたらと思います。
■おわりに
細かいことですが『路傍のフジイ』の紹介ページのタグが「スーパーヒーロー」と「バトル・アクション」になっています。なぜ!?
ある意味ヒーローだけどバトルとアクションは違うよね?と。
なんだろうコレ・・・?
ちなみに作者の「鍋倉夫」先生の他作品に「リボーンの騎士」という囲碁の漫画があります。これもめちゃくちゃオススメです。
本記事きっかけで読み始めて頂いた方がいらっしゃれば嬉しく思います。