この記事では、アレンジの学習のためのスコアリーディングのやり方やポイントをまとめています。
ぜひご参考にしてみてください。
はじめに
スコアリーディングとは、その名の通り楽曲のスコアを読む行為を指します。
スコアリーディングを行うことで、プロの楽曲がどのようにアレンジされているかを知ることができます。
このため、楽曲のアレンジを上達したいという人にとって、スコアリーディングは有効な学習方法の一つです。
筆者もまた、アレンジの学習のためにスコアリーディングに取り組んでいます。
この記事では、筆者のこれまでの経験を踏まえ、スコアリーディングのやり方やポイントと思ったことをまとめてみました。
これからスコアリーディングをやってみたいという方のご参考になれば幸いです。
スコアリーディングのやり方
対象の楽曲のスコアを入手する
まずはスコアリーディングする対象の楽曲を選びましょう。
ちなみに筆者のおすすめは、クラシックです。
クラシックの楽曲は著作権が切れているものが多く、スコアが無料で手に入るため、手軽にスコアリーディングを始められます。
クラシックのスコアは、IMSLPというサイトからPDFファイルとして入手することができます。
クラシックは心に残る楽曲が多く、あまり詳しくない方でも意外と楽しめる可能性があります。
筆者も元々クラシックをよく聴くわけではなかったのですが、スコアリーディングを通じて知ったクラシック曲を好きになるということもよくあります。
と、ここまでクラシックのことばかり書いてしまいましたが、ほかのジャンルがいいという方は、ほかの方法でお好きなスコアを探していただいて問題ありません。
興味を持てそうな楽曲や、自身の作曲に役立ちそうな楽曲を選ぶのが一番かと思います。
音源を聴きながらスコアを読む
スコアリーディングをする際、通常はその楽曲の音源を聴きながら行います。
これにより、スコアの内容と実際の演奏の聞こえ方を結びつけながら学習することができます。
音源を入手する方法は自由ですが、入手したスコア通りに演奏されている音源を用意しましょう。
楽譜を読むことに慣れていない方は、最初はなかなか進まないかもしれませんが、根気よく続けることが大切です。
筆者も最初はとても時間がかかりましたが、わからない記号は調べながら根気よく取り組むことで、徐々に慣れていきました。
ちなみに、筆者的に今でも厄介だと思っているのは、移調楽器の楽譜です。
移調楽器
移調楽器とは、楽譜に書かれている音と実際に演奏する音が異なる楽器です。
例えば、トランペットの多くは「B♭管(ベー管)」と呼ばれる移調楽器として作られています。
B♭管では、楽譜上でC(ド)が書かれている場合、実際にはB♭(シ♭)の音を鳴らします。
そのほかの音についても、同様にずらして演奏します。
移調楽器の場合、楽譜上のC(ド)を何の音で演奏するかという基準で、楽譜上に「in 〇」と記載されます。
例えば、上記のB♭管トランペットの場合は「Trumpet in B♭」などと記載されます。
例えば以下の楽器は、移調楽器であることが多いです。
- トランペット:in B♭など
- ホルン:in Fなど
- クラリネット:in Aなど
また、移調楽器の中には、楽譜上の音とオクターブ違いで演奏するものもあります。
例えば、以下の楽器があります。
- ピッコロ:楽譜上の音よりも1オクターブ高く演奏する
- コントラバス:楽譜上の音よりも1オクターブ低く演奏する
実際に聴いている音源の音と、楽譜上に記された音が一致せず「あれ?」と思うときは、移調楽器であることを見落としていないか確認してみてください。
移調楽器の場合は読み替えが必要となるので、その点でも慣れが必要になります。
スコアリーディングを行う際のポイント
ここでは、スコアリーディングをする際、どのようなところに着目しながら行えばよいかというポイントをまとめたいと思います。
事前に知っておくことで、よりスムーズに学習できると思います。
同じリズムで演奏している楽器のまとまり
楽曲をとおして、全ての楽器が常に別々の動きをしているわけではありません。
スコアを見渡し、同じリズムで演奏している楽器のまとまりを見つけることで、各楽器の役割を整理して単純化することができます。
作曲者の好みなどにもよると思いますが、「この楽器たちは同じリズムで演奏していることが多い」などの発見もあるかもしれません。
各楽器の音色
ある楽器がメロディーを担当する際の音色や、和音を演奏する際の響きを理解することも重要です。
また、複数の楽器を組み合わせることでも、音色や響きは変化します。
そのような楽器の組み合わせによる変化にも着目してみましょう。
使用楽器の変化
楽曲の中で、使用される楽器の種類や数は変化していきます。
曲の展開やダイナミクスの変化に応じて、使用する楽器がどのように変化するか、というところにも着目してみると良いと思います。
各音域をどの楽器が担当しているか
各音域を何の楽器が担当しているかを把握することも重要です。
また、少しハードルは上がりますが、以下のような和声学的な観点でも分析できると、和音を構築する際の参考になると思います(筆者も今後の課題としています)。
- それぞれの楽器が、和音の構成音として何の音を演奏しているか
- 和音の変化に伴い、それぞれの楽器が演奏する音をどのように動かしているか
本紹介
参考までに、筆者がスコアリーディングを実施する前に参考にした本を紹介します。
スコアリーディングをこれからやってみたい、という人向けの入門書となっています。
まとめ
スコアリーディングは、アレンジの学習にとても効果的な方法だと思います。
はじめのうちは大変かもしれませんが、ぜひ楽しみながら取り組んでみてください。
筆者ももっと数をこなして、アレンジ力をアップしたいと思います。
この記事が参考になれば幸いです。