いたみがわかっていなかった
近所の老人が亡くなった。
元旦のことで、手配がつかず葬儀は先延ばし。
昨日になって知らされた。
ご主人は長い間、病気に苦しんでおられた。
昨年夏に手術されたと聞いていた。
その後回復されて退院。自宅療養されていた。
たびたび介護の人が来ているようだった。
週に何度かはデイサービスへ。
同じ時期に入院していたダンは
退院後に急死してしまった。
何が違うのか。
寝たきりでもいい。
ダンのそばにいたかった。
私はそのひとが羨ましかった。
お悔やみに行った。
奥さんが出て来られ
やっと解放された やれやれと思っている と。
サバサバとした口調だったが
空元気だということを私は知っている。
今はご主人の死に緊張していて
気丈に振る舞わねばならない。
そんな苦しい気持ちがわかって
涙があふれた。
なんであんたが泣くの
私は泣いてないよ
あのひともやっと楽になれたんだから
そのひとは逆に私を慰めてくれた。
ダンがいなくなるまで
私は他人の死を軽く見ていた。
弔問に行ったとき
おちから落としのないように
などと平気で言っていた。
いたみをわかっていなかった。
今は何も言えない。
ただ、涙があふれる。