「昭和の怪物」江川卓さんが見た「令和の怪物」佐々木朗希
「令和の怪物」の快投を、「昭和の怪物」はどう見たのだろうか。
10日のオリックス戦でプロ野球史上16人目の完全試合を達成し、17日の日本ハム戦でも「8回パーフェクト」でマウンドを降りたプロ野球・ロッテの佐々木朗希(ろうき)投手(20)について、栃木・作新学院高、巨人などで投手として活躍した江川卓さん(66)は「もうちょっと時間がかかると思っていたが……」と驚きながらたたえた。
「元祖怪物」の江川さんは、作新学院高時代の公式戦で完全試合2回を含む無安打無得点試合を9回達成。1973年のセンバツでは4試合で60奪三振という今も残る大会通算最多記録をマークするなど数々の記録を刻んだ。巨人入団後も浮き上がるような豪速球とカーブを武器に、81年の最多20勝を含めて9年間で135勝(72敗)を挙げた「伝説の投手」だ。
そんな江川さんは岩手・大船渡高時代の佐々木の投球を、その目で間近に見たことがあるという。「当時は3球に1球ぐらいは今のようなボールが来ていて、あとは抜けるボールも多かった。まだ高校生だったので」。注目したのは体つきだった。「身長が非常に高く、手と足がすごく長くて柔らかい。非常にうまく使えているから、打者のバットになかなか当たらないストレートが行くんだ」と語る。
その後、佐々木は2020年にドラフト1位でロッテに入団。1年目は体作りに専念し、2年目も最終盤以外は中10日以上の登板間隔を空けて11試合に登板し、3勝2敗だった。今季になって中6日のローテーションで回り始めてからの「覚醒」には、江川さんも驚いたという。
「もうちょっと時間がかかると思っていた。プロ野球は(シーズンの期間が)長いので、1シーズンを投げきるにはかなりの体力が必要。去年ぐらいの感じが2、3年続くのかなと。それが(今季になって)思ったよりも非常にまとまってきた。プロの打者の感覚というものにも慣れてきたのかな」
走者を出さない圧倒的な投球が続く理由を「完全試合をやったわけだから当然、四球もない。際どい球はいくつかあっても、あまりボールゾーンに球を投げなかった。ということは、ストライクゾーンの中での処理ができたから」と江川さんは言う。その裏にあるのは、自身にも共通する佐々木の「ストライクゾーンで勝負する」というピッチングスタイルだ。
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