総合格闘技もいいけれど 70歳オール巨人さんの見果てぬ漫才の境地

劇場を大切に、しゃべくり漫才を貫くオール巨人さん=大阪市中央区で2022年4月26日、川平愛撮影
劇場を大切に、しゃべくり漫才を貫くオール巨人さん=大阪市中央区で2022年4月26日、川平愛撮影

 70歳になった漫才師のオール巨人さんは、この日も「なんばグランド花月」(NGK)のステージに立った。コンビ結成から47年。今なお“劇場芸人”として、正統派のしゃべくり漫才を貫く。「M―1グランプリ」で審査員を務めてきた大御所は、「総合格闘技みたい」と今風に違和感を抱えている。そんな巨人さんに「漫才論」を尋ねると、自らも到達できない芸の境地があると明かした。

「100点満点は劇場で」

 巨人さんにはポリシーがある。劇場でのネタはテレビや動画配信では絶対にしないということだ。「テレビでは100点のネタはできません。良くて80点。もちろん両方とも一生懸命やりますよ。だけど、わざわざ高いお金を払って、足を運んでくれるお客さんを考えると、100点の漫才は劇場でしたい」。劇場には幅広い世代の客が来る。“劇場芸人”だからこそ、花月のセンターマイクで見せる王道のしゃべくり漫才こそが「漫才」というのが持論だ。

 「漫才論 僕が出会った素晴らしき芸人たち」(ヨシモトブックス)を今年3月に出版した。「古希の記念で、何かやりませんかと会社から言われて、久しぶりに本を出そうと。(タイトルは)ちょっと生意気すぎたかもしれませんね」。1975年にオール阪神さんとコンビを結成、上方漫才大賞は史上最多の4回受賞した。「師匠」と畏敬(いけい)の念を込めて呼ばれる数少ない漫才師の一人だ。

 著書で巨人さんは「近年の漫才は新化した」と表現し、コント形式や、動きを多用する「視覚型」が増えたと分析する。…

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