台湾総統選は13日に投開票を迎え、約2300万人を率いる新たな指導者が誕生する。統一を迫る中国にのみ込まれかねない「親中」の道を選ぶのか、それとも中国の軍事侵攻につながる「独立」に向かうのか。日本ではこうした二項対立で注目されているかもしれない。だが昨春、台北支局に着任して以来取材してきた私は、台湾の民意は日本人が想像する以上に複雑で、単純な中国との構図だけで判断できないとの思いを強くしている。
今の日本にとって、台湾は国際社会で最も親近感を覚える存在の一つだ。1日に起きた能登半島地震では、発生直後に支援を表明した台湾に対し、「困った時に助け合える真の友人だ」といった感謝の言葉が日本社会にあふれた。だが私たちは高い関心を寄せてくれる隣人について、どこまで理解しているだろうか。
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