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創価大「親子の縁切った」父子 決意の先に描く箱根駅伝の夢

創価大駅伝部の榎木和貴監督(左)と、長男で主務の真央さん=東京都八王子市で2024年4月24日午後4時26分、黒詰拓也撮影
創価大駅伝部の榎木和貴監督(左)と、長男で主務の真央さん=東京都八王子市で2024年4月24日午後4時26分、黒詰拓也撮影

 箱根駅伝で5年連続シード権を維持する創価大学には「4年間、親子の縁を切る」と約束し合った父子がいる。チーム内でそれぞれが自分の役割に徹するためで、厳しい日々も今年度が最後だ。2人には言葉を交わさずとも目指す夢がある。

 4月下旬、東京都八王子市にある創価大のグラウンド。走り込みを重ねる選手たちに声を掛ける榎木和貴監督(49)の傍らで、監督の長男で主務の真央(まひろ)さん(22)は選手たちのランニングフォームの動画を撮影していた。

 淡々とそれぞれの業務をこなし、遠くから一見するだけでは親子と分からない距離感がある。それが、この2人の日常だ。

 主務は、自身を含む計10人のマネジャーをまとめる役割だ。練習の準備や選手のケア、大会のエントリー、活動費の管理など多岐にわたる業務の責任者となる。高校までは選手だった真央さんが裏方に転向したきっかけは箱根駅伝だった。

父の電話「箱根を見に来い」

 榎木監督は、中央大在学時に箱根駅伝で4年連続区間賞を獲得し、実業団でも活躍していた。真央さんの物心がつく頃には、既に現役を引退し、愛知の実業団で指導者となっていたが、名ランナーだったことは知っていた。自然と駅伝や大会の応援へ行き、小学校のマラソン大会の前は父と朝に自主練習もしていた。

 愛知の中学で陸上を本格的に始めると、高校は父の故郷の宮崎にある宮崎日大高に、父の紹介で進み、選手として活躍することを夢見た。しかし、故障や貧血が続いた。1、2年時、チームは全国高校駅伝に出場したが、真央さんはメンバーから漏れた。思うようにいかない日々に焦りだけが募っていた。

 高校2年だった2019年の年の瀬、父から母を通じて連絡があった。「箱根を見に来いよ」。…

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