東京都知事選で次点ながら165万票を得た前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)。その躍進ぶりや発言は今もメディアをにぎわせている。選挙期間中、石丸氏と支持者の動きを追った私(記者)は、投開票日に繰り広げられた光景がずっと胸の奥に引っかかっている。
「ふざけるな」会見場に響いた声
7月7日午後8時過ぎ。小池百合子知事の当選確実と石丸氏の落選が報じられ、石丸氏の記者会見場ではテレビ各局のインタビューが始まった。代表取材のNHKが落選の要因を質問すると、石丸氏はこう切り返した。
「NHKをはじめマスメディアが当初全く扱わなかった」
笑みを浮かべながら答えた瞬間、会場に詰めかけた約100人の選挙ボランティアからは大歓声と拍手。「ふざけるな」とメディアへの罵声も聞こえた。
その後の民放各社のインタビューでも石丸氏は挑発的な口調でやりとりを続けた。インタビューが終わるたびにテレビ局を酷評し、ボランティアが歓声を上げて拍手する、の繰り返しだった。
「メディアに対する当てつけで強く言った。メディアが(自分を)囲んでいる状況が最初からあったら、(選挙の結果は)ずいぶん変わった」。石丸氏はその対応の意図について、会見後、報道陣にそう語った。
しかし、石丸氏の発言は正確ではない。…
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