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荻原博子氏“103万円の壁”減税「他で取り戻す」に要注意

荻原博子・経済ジャーナリスト
=Getty Images
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 「手取りを増やす」をキャッチフレーズに、先の衆議院選挙で国民民主党が議席を伸ばしました。注目は、「103万円の壁の引き上げ」と「ガソリンの暫定税率の廃止」。少数与党となった自民党が、補正予算成立のためにこの二つを了承したかに見えました。が、ここには二つの盲点があります。

 「103万円」については、金額がはっきりしない。来年から引き上げるそうですが「178万円を目指す」ということなので、目指したけれどダメだったということもあり得ます。

 「ガソリンの暫定税率」は廃止すると約束しましたが、時期が明記されていない。暫定税率の25.1円(1リットル)に消費税を加えた金額は約27円。これだけ安くなるとずいぶん家計は助かりますが、ただ来年廃止とはいっていないので10年後、20年後かもしれない。

 そもそもガソリンの暫定税率は、暫定(一時的)といいながら50年も続いている税金。しかも、国民民主党は2022年、23年と予算に賛成することを条件にガソリン税のトリガー条項の凍結解除を約束させながら、2度も失敗している。その、詰めの甘さが気になります。

財源は、本当にないのか?

 こうした要求について必ず言われるのが、「財源はどうするんだ」ということ。でも、無いわけはないでしょう。

 実は、新型コロナウイルスや物価高で国民が苦しんでいる20年度から23年度に、国の税収は過去最高を更新し続け、なんと4年間で13.7兆円も増えています。この多額の税収でバブルとなっているのが「基金」「予備費」「補正予算」。

 「基金」は16~19年度末には2兆円でしたが、その後増え続け23年度末にはなんと18兆8000億円に。…

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経済ジャーナリスト

 1954年生まれ。明治大卒。経済事務所勤務を経て82年に独立。生活者目線の経済解説に定評がある。著書に「私たちはなぜこんなに貧しくなったのか」など。

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