もりっちゃんのゆるブログ

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「ホテルローヤル」を読みました

ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル」(桜木紫乃 著)を読みました。

桜木氏の作品は3作目。

 

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第149回直木賞を受賞した作品。文庫本を図書館で見つけて借りてきた。

釧路の湿原を背にして建つラブホテル「ホテルローヤル」。ホテルの利用者、従業員、経営者など、ホテルをめぐる人々を7つの短編にして描いている。

7編は、現在から過去へ時間をさかのぼるように並べられていて、「ホテルローヤル」の歴史がだんだん明らかになっていく。タイムマシンに乗っている感じで、不思議な感覚だった。

最後の「ギフト」を読み終わり、私は逆の順序で再読し、最初の作品「シャッターチャンス」に戻ってくると、もう一度最後まで読んだ。一番気に入った作品「星を見ていた」は10回は読んだ。

何度読んでも読み足りないくらい、いとおしいお話ばかりだった。作者は登場人物を両手で掬うように大事に描いている。

 

ホテルは家ではないから、そこに関わる人たちは来たら出ていく存在だ。通り過ぎていくだけの人たちにきらめく時間を与え、そっと送り出している。

 

華々しくデビューした「ホテルローヤル」がやがて廃墟になるさまは、人の一生にも似て、こんなとるに足らない自分の人生も、少しはきらめく瞬間があったんだなと思えて。ちょっとした救いだった。

 

「星を見ていた」の主人公ミコさんは、仏さまのような人だ。仏さまは天上にいるのではなく、実は地上で私たちのそばにいるのではないかと、そんなふうにも思った。私も年をとってしまったな・・・

 

  翻译: