米国大統領選挙で最大のイベントだった、ハリス対トランプのTV討論会が終わった。総じてメディアの評価は「ハリス副大統領の判定勝ち」だが、実況中のXアカウントではトランプ擁護派の意見が多かったという。例によってトランプ前大統領は嘘を重ね、司会に「それは事実ではありません」と否定されても、さらに嘘をつき続けた。その数17種類、ハリス副大統領の嘘は2種だったという。
誤解しての嘘拡散、つい出てしまった嘘、意図的な嘘、陰謀の一部としてのミスディレクション等々、編集される機会の少ないネット上には事実と異なる情報が溢れている。それを上記の司会者のように「嘘だ」と否定し、聴衆に誤ったバイアスを与えないようにすることは重要だ。ネット上でその任務を担っているのが、ファクトチェック機関である。
2000年ごろから各国に生れた機関だが、より社会的な重要性が増す一方、このところ資金難で閉鎖される機関(*1)が出て、数が減っている。その活動費は寄付などで賄われるのが普通だが、例えば日本ではその認知度が低い(*2)。経営は苦しいと思われる。すでに社会インフラといってもいいファクトチェック機関の費用(*3)は、誰が負担すべきか?
政府の信頼度が高いのであれば、税金で賄うのがいいだろう。「コンテンツ・モデレーション」の一環で、プラットフォーマーの負担とするなら、プラットフォーマーの影響をどう考えるかがカギになる。真に中立・独立を保つためには、社会全体から薄く広く資金を提供してもらうのが望ましい。個人の寄付が理想だが、それでは十分ではないとすると、やはり一般企業の浄財を集めるのがよいのではと考える。
ネット社会で恩恵を受けている企業や業界団体には、是非ファクトチェック機関への寄付(人材提供も含めて)をご検討いただきたい。
*1:韓国最大のファクトチェック・サイトが閉鎖 | InFact / インファクト
*2:米大統領選で注目の「ファクトチェック」、日本での認知度低く | 毎日新聞 (mainichi.jp)
*3:日本ファクトチェックセンター(JFC)は、設立資金をGoogle、Yahoo、Metaらから出してもらい、運営費用は寄付に依っている