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鉄ちゃんの憧れ「サンライズ出雲」伝説の車掌・62歳。最後の寝台列車への想いを語る

 “最後の定期寝台列車”の一つとなった「サンライズ出雲」に乗務する伝説の車掌がいる。  国鉄時代からあまたの寝台列車に乗務し、その終わりを見届けてきた。現在62歳。定年を迎えてなお、第一線で運行に携わる。  晩年を迎えた車掌人生とともに、消えゆく寝台列車の風景を振り返る──。

昔から「安全運行第一」で乗務してきた

エッジ1224 鳥取に生まれ、地元を走る“ブルートレイン”「出雲」を見つめていた少年はやがて国鉄に入社し、現在に至るまであまたの夜行列車に乗務してきた。現存する唯一の定期寝台列車となった「サンライズ出雲」で東京ー出雲市全区間を乗務したことも。  豊富な経験を持ち、乗客へのホスピタリティに徹してきた田中孝浩氏だからこそ話せる、車掌の矜持とは? ――今日も「サンライズ出雲」に乗務されていたんですよね?  田中:はい。夜、出雲市から東京行きの「サンライズ出雲」で岡山へ向かい、仮眠後ふたたび出雲市行きの「サンライズ出雲」に乗務し戻ってきました。 ――泊まり勤務も多いと伺っていますし、大変なお仕事ですよね。車内ではどんな業務を? 田中:車掌室があってそこに詰めています。切符の検札や車内アナウンスをするのがほとんどで、たまに自分の寝台の暗証番号がわからなくなったというお客様の対応をしています。乗務する区間も短くなり、昔に比べればやることも減りましたね。 ――それでも、昔から変わらず気にかけていることもあるのではないですか? 田中:これはもう安全運行第一ですね。定刻で無事に目的地へ着くことが一番です。今日も「サンライズエクスプレス」が遅れずに岡山駅へ向かっているかどうか、列車走行位置アプリで確認してから乗務しました。もし遅れていたら、お客様が困らないように、接続列車があるかどうかを確認しています。

憧れの「出雲」に乗務したときの心境は?