日本では高齢化が進む中、老後の住まいをどう選ぶかが大きな課題となっています。
長年住み慣れた家にそのまま住み続ける人もいれば、生活の利便性や安全性を求めて住み替えを選択する人も増えています。
特に「戸建て」と「マンション」の選択は、それぞれにメリットとデメリットがあり、経済面や生活スタイル、健康状態によって大きく左右されます。
老後を安心して快適に過ごすためには、将来を見据えた住まい選びが重要です。
この記事では、具体的なポイントを分かりやすく解説します。
老後はマンションがいい?
マンションの魅力は、便利な立地や安全性にあります。
駅近や商業施設が近い物件が多く、日々の生活が快適です。
また、オートロックや防犯カメラなどセキュリティが充実しており、高齢者の一人暮らしでも安心です。
さらに、バリアフリー設計が一般的で、移動が楽なのも特徴。
一方で、管理費や修繕積立金が必要であり、経済的な負担が続く点がデメリット。
また、ペットの飼育やリフォームに制限がある場合もあります。
マンションのメリットとデメリット
メリット
- バリアフリー設計が多く、高齢者にも優しい。
- セキュリティ対策が充実している(オートロックや防犯カメラ)。
- ゴミ出しが簡単(集積所が敷地内にある場合が多い)。
- 交通の便が良い立地が多い(駅近や商業施設が近い)。
- 共用部分の管理は管理組合や管理会社が対応。
デメリット
- 管理費や修繕積立金が必要で、年々増加する可能性がある。
- ペットの飼育やリフォームに制限がある場合がある。
友人が悩んだ事例
不動産に詳しくない者として「老後は戸建てかマンションか」単純にこのような悩みを持っていました。
現在は戸建てに住んでいるのですが、老後について一度はマンションへの住替えも考えました。
マンションに住替えたい理由は3つありました。
理由1:老後は戸建てよりマンションが便利
マンションは駅に近いところには商店街、病院等が近くにあり便利なことです。
年を取った老後は、遠くまで車で買いもに行けなくなるかもしれません。
また病院も通院となると、バスに乗ったり遠くまで歩くのが大変になるかもしれません。
そこで、戸建ての不便なところよりも、歩いて10分程度のところにすべての施設や商店があるマンションなら老後は便利だからです。
理由2:戸建てより管理が簡単
戸建ての一軒家では窓が多く、年を取ると電気の消し忘れや窓の鍵の閉め忘れが多くなります。
マンションなら老後は鍵一つで簡単に外出できる便利さがあることです。
そして、マンションは戸建てのように外壁や屋根のメンテナンスなど家屋にお金がかからないこともメリットだと思うのです。(マンションには、修繕費積立はありますが・・)
理由3:マンションは交通の便が良く自家用車が不要
高齢になると自家用車の運転の自己リスクが高くなります。
老後に運転免許証の返納をしたりすると、外出はバスや電車を利用することが多くなります。
なので郊外の戸建てよりもマンションなら駅に近い立地であれば、老後は車が不要となり安心な電車を利用することが便利になります。
老後は戸建てがいい?
戸建ての魅力は、自由度の高さとプライバシーの確保です。
庭や駐車場が持てるため、ガーデニングや趣味の幅が広がります。
リフォームも自由に行えるため、老後のニーズに合わせた住みやすい空間を作りやすい点も魅力です。
一方で、建物や庭のメンテナンスを自分で行う必要があり、体力や費用の負担が増す場合があります。
また、立地によっては交通の便が悪くなることもデメリットです。
戸建てのメリットとデメリット
- メリット
- 管理費や修繕積立金が不要。
- リフォームの自由度が高く、生活に合わせた住みやすい改修が可能。
- 庭付きの場合、ガーデニングなど趣味の幅が広がる。
- デメリット
- 自身で建物や庭の維持管理を行う必要がある(手間と費用がかかる)。
- 高齢になり体力が落ちると、階段や広い敷地の移動が負担になる場合がある。
- 立地によっては交通の便が悪い場合も。
友人が戸建てを選んだ理由
一方、戸建て住宅がマンションよりもいいという人の理由は3つあり次の通りです。
理由1:高額な月々の管理費や修繕費積立が不要
マンションに住んでいる高齢者のご夫婦に聞くと、月々の管理費や修繕費の積立、駐車場の費用が馬鹿にならないとうことです。
マンションでは、管理費、修繕積立、駐車場が少なくとも5万円~8万円までの方が多かったようです。
小さなアパート代に近い金額ですね。
理由2:隣や上下の住人に気づかいが不要
孫たちが来てうるさく遊んでも戸建てならマンションのように気づかいはいらないのです。
どんどんと跳ねて遊んでも、大きな声で笑っても、戸建てなら安心で隣からの苦情は無いのです。
理由3:修繕は自分の判断
マンションは住人の合意で修繕を進めるので理事会がもめたりすることもあり面倒なことです。
急にエレベータが故障して交換修理が発生したりすると、高額な出費となることもあります。
戸建てなら、ぼろ屋になっても自分の判断で修理もメンテもできるのです。
資産価値が「戸建て」と「マンション」では違う?
戸建てとマンションでは資産価値の維持に違いがあります。
戸建ては建物部分の価値が築年数とともに下がる一方、土地の価値が中心となります。
希少性の高い立地なら資産価値を保ちやすいです。
一方、マンションは立地や管理状況が価値に影響します。
駅近や商業施設が充実したエリアの物件は値崩れしにくいですが、築年数や修繕積立金不足があると価値が下がることがあります。
- 一般的にマンションの資産価値は立地や築年数に強く依存します。
- 駅近や都市部の物件は価値が下がりにくい傾向。
- 修繕積立金が不足している物件は、資産価値が下がりやすい。
- 戸建ての場合は、建物部分の価値が年数とともに下がり、土地が中心の価値に。
- 希少な土地や利便性が高い立地の場合、資産価値が維持されやすい。
- 土地付き物件は、相続時に有利な場合もある。
物件を比較してみた経験談
一度、戸建てからマンションに住替えを検討したときに物件を調べました。
築50年のマンションで60平米の中古物件でも2千5百万円する場合があることです。
もちろんそのマンションは駅から10分以内の立地で老後にはとても便利です。
それに比べ、戸建ての上物(建物)は年数が経つと資産価値は0円となるので、最終的には土地代だけが価値として残ります。
戸建ての建物は新築から10年で半額以下に急速に下落、22年ではほぼ9割減となる事例が多いようです。
老後に一人暮らしだから戸建ての物件を売りたいと思っても、二束三文の土地代だけになるケースもあります。
そして、売る段階で更地にすると売れる確率が高いのですが、売れるまでの間は土地に固定資産税がかかります。
では、古家を残しておくと「住宅用地の特例」で固定資産税は1/6に減額になりますが、売れなくなります。
例えば、戸建ての空き家(200平米以下)で固定資産税が7万円の場合、更地にすると42万円に跳ね上がってしまいます。
結局、子孫がいれば、子孫の迷惑になるのが戸建ての宿命です。
戸建てを売るなら、まだ建物が新しい段階で売ることが大事になります。
一方マンションは古くなっても資産価値があるので、高額で取引されるから戸建てよりメリットになります。
地域による違いと住まい選びの影響
住まい選びは、地域によって大きく異なります。
都市部では、マンションが人気で、駅近や商業施設が整備されているため、便利で安全な生活を求める高齢者に適しています。
セキュリティや管理の手間が少なく、バリアフリー設計の物件も多く、生活の質が向上します。
ただし、価格が高いため、予算に見合う物件を選ぶ必要があります。
郊外では、戸建てが選ばれやすく、広い敷地や庭を持つことが可能です。
静かな環境で暮らすことができ、将来的な介護施設や公共施設にもアクセスが良い場合があります。
しかし、公共交通機関が限られていることもあり、車を使う必要がある点は注意が必要です。
地方では、土地が安価で広い家が手に入りやすく、自然環境の中での生活が可能です。
しかし、病院や買い物施設の選択肢が限られ、移動に不便を感じることがあります。
都市部と比べて医療や福祉サービスの整備が不十分な場合も多いため、事前に地域の利便性や将来的なリスクを考慮することが重要です。
リバースモーゲージという制度
リバースモーゲージは、自宅を担保にして金融機関からお金を借りる制度です。
借入金は利息とともに将来の売却代金で返済します。
メリット
- 住み慣れた家に住み続けながら資金調達が可能。
- 老後資金を確保できる。
デメリット
- 借りられる金額は物件価値に依存し、地価が下がると利用が難しくなる。
- 借入時の利息が累積するため、相続資産が減少する可能性がある。
- マンションよりも戸建ての方が対象物件として選ばれやすい。
老後にいざという時には、55歳以上80歳未満の人を対象に戸建て(持ち家)を担保にして老後の生活費などを一時金または年金形式で借りられます。
毎月の返済は利息分のみで、元本は死亡後に自宅を換金して一括返済するシステムなので、不動産を相続する人がいない場合には、老後の選択の一つになります。
しかし、家屋がどれくらいの価値が残っているのかが判断となり、戸建てでも安心はできません。
老後の住み替えで考えるべき3つのポイント
老後の住み替えを考える際は、以下の3つのポイントを重視しましょう。
- 住環境: 病院やスーパー、公共交通機関へのアクセスが良い立地を選び、日々の生活を快適にする。
- 経済面: 予算に合わせた物件を選び、維持費や管理費が無理のない範囲であるか確認する。
- 健康面: 将来の体力や健康状態を考慮し、バリアフリー設計やメンテナンスの負担が少ない住まいを選ぶ。
これらをしっかり検討することで、安心で快適な老後の暮らしを実現できます。
家族との話し合いの重要性
老後の住み替えを決める際、家族との話し合いは非常に重要です。
住まいの選択は自分だけでなく、家族の意見や将来のサポート体制に影響を与えるため、早い段階で意見交換を行うことが大切です。
例えば、子どもが遠方に住んでいる場合、アクセスの良い場所や将来的な介護の支援が受けやすい地域が重要となることがあります。
また、予算や資産価値をどう管理するかなど、家族全員が納得できる方向で話を進めることで、後悔のない住み替えが実現できます。
戸建てかマンションかで迷ったら?
戸建てかマンションで迷った場合、まずは自分のライフスタイルや老後の生活設計を明確にすることが重要です。
現在の健康状態や将来の体力、家族構成、趣味、生活の優先順位を整理しましょう。
次に、経済的な観点で維持費や管理費、資産価値の変動を比較し、無理のない予算を検討します。
また、候補となる地域の環境を調べ、病院や買い物施設、公共交通機関へのアクセスの良さも確認してください。
さらに、実際に戸建てとマンションの物件を見学し、日常生活をイメージすることで選択肢を絞り込むことができます。
専門家に相談し、メリット・デメリットを具体的に確認することも決断を後押しする有効な方法です。
ぼくが、老後に持ち家を選択した体験談
わたしが老後に持ち家を選んだ体験を参考に紹介します。
当時10年後に定年を迎えるにあたり、老後の計画を計算したのが50才の時です。
持ち家のままかマンションに住み換えるかを検討しました。
その結果、買い替えの手数用やマンションにして組み換えローンが完済しても修繕費や管理費、駐車場を計算すると、持ち家の外壁、屋根等のメンテをいれても、あまり変わりはなかったのです。
それよりも大きな影響があったのは、老後70才までの住宅ローンです。
定年後に10年間も住宅ローンが残ることになります。
65才以降は収入が老齢年金だけとなったら払いきれるかどうか?
それが老後の大きな問題であることが分かりました。
そこで、50才の時点で住宅ローンを64才で完済するように組みかえました。
それにより65才になった時に、借金がゼロになったのでとても楽になりました。
老後は、固定資産税を払うだけで、その他のランニングコストはゼロです。
屋根と外壁のリフォームは60才で完了さえているので、老後の20年持てば御の字です。
現在は、老後にこの持ち家をどうするかということで「解体費と更地にする予算」を確保していつでも売れれる準備だけをしておくことにしました。
その時点で更地で二束三文でもOKとしたのです。
親の老後に、子供達にはマイナス資産を残さない計画にしました。
マンションはいいのですが、老後のローンが無くても月に5万円は管理費等で出費になり、老後に大きくのしかかります。
おわりに
老後に住むのは戸建てかマンションかの選択は、その人のライフスタイルで決まると思います。
どちらを選ぶべきかは、以下のポイントを基準に検討してください。
- 健康状態:段の昇り降りや庭の管理は可能か
- 経済状況:維持費の負担
- ライフスタイル:趣味や近隣環境
- 子どもや親族への相続意識:資産価値
また、可能であれば60才の定年退職で住宅ローンが完済する計画をしておくこと楽になります。
老後の住宅ローンは、思った以上に老後の負担が大きいです。