映画ファンでなくても、一度はその名を耳にしたことのある『アルマゲドン』。地球に衝突の恐れのある小惑星を爆発させて軌道を変えるために、石油採掘員たちが派遣されるというお話だが、あのオレンジ色のジャンプスーツに身を包んだブルース・ウィリスがまぶしかった!
さて現実では、石油発掘員たちが宇宙に飛び立つことはないかもしれないが、地球に接近する小惑星を回避するために、あの手この手が考えられているようだ。その1つとして、ESA と NASA が手を組んで、天体に無人宇宙船を打ち込むミッションが行われるのだとか……!?
・ESAとNASAがタッグを組む
2015年3月、小惑星の軌道を変える国際的な取り組み「Asteroid Impact & Deflection Assessment mission」に関して「欧州宇宙機関(以下、ESA)」 が小惑星捕獲ミッション「Asteroid Impact Mission(以下、AIM)」を発表。そして 「アメリカ航空宇宙局(以下、NASA)」 との役割分担を明確にした。
これは、2022年に地球に接近する小惑星を回避するために、天体に人工物を打ち込み、その衝撃で軌道を変えてしまおうという計画なのだが、まず ESA の AIM が天体について調査を行い、その後、NASA が宇宙船を打ち込むという流れになるというのだ。
・2020年、小惑星ディディモスに人工衛星を発射
AIM が人工衛星を発射し、2020年に互いに周回しあう、約800メートルの幅の小惑星ディディモスと約150メートルの幅のディディムーンに到達させる。ディディモスの軌道に人工衛星を乗せたり、ディディムーンに着陸させたりして、温度、高解像度カメラ、レーダーマッピングなどで観測データを収集。
そして2022年に、地球から約1100万キロメートルの位置までやってきたディディムーンに、NASA の「Double Asteroid Redirection Test(以下、DART)」ミッションが無人宇宙船を秒速6kmで衝突させるのだ。
・天体の軌道は変わるか?
ディディモスの軌道上にいる AIM の人工衛星は、DART の宇宙船がディディムーンにぶつかる瞬間を間近で観察。天体に人工物がぶつけられたら、一体どのようなことが起こるのか検証が行われることになる。
天体のなにがしかを変えるために、人工物が天体に打ち込まれるのは今回が初めてのこと。この計画はディディムーンの軌道を変えることが目的だが、天体が粉々に破壊されることだってあるかもしれない……。怒った宇宙人が攻めてくるかもしれない……。未知のことだって多いのである。
なんだか壮大な計画だが、アニメ版一作目『鉄腕アトム』の最終回で、暴走した太陽に突っ込んで行ったアトムの姿が頭をよぎり、実験台となる天体・宇宙船の両方に思いを馳せてしまうのだった。
参照元:Discovery News、Twitter @D News、canoe.ca(英語)
執筆:小千谷サチ
▼どんな実験になるのだろう?
We're Planning to Shoot an Asteroid to See What Happens: http://t.co/ucetLPUDO2 pic.twitter.com/IE5iK4FG7Q
— Seeker by The Verge (@Seeker) April 2, 2015