来る2015年12月19日、東京メトロ九段下駅にはライブハウスシーンで活躍するバンドマンや、ライブハウスに通うファンたちが集結していた。結成して26年ライブハウスで地道な活動を続けてきたフラワーカンパニーズが、ついに日本武道館の舞台に立ったのだ。
集まった人たちの表情は、うれしそうにハシャぐ人から緊張している人まで様々だが、誰もが自分のことのように成功を祈っていることがわかる。フラカンとはそういった魅力を持ったバンドなのである。そんなバンドとファンが一丸となった武道館の夜は、まるでライブハウスのようだった──
・ソールドアウトの武道館
この日のチケットはもちろんソールドアウト。満員となった武道館の光景だけでもグッとくるものがあるが、登場SEが流れ出すとクスっとしてしまう。
流れている曲は、盟友であり、1年前に同じく武道館公演を行った怒髪天が作った『フラカン応援歌』。全員で手拍子をしていると、会場が暗転──巻き起こる嵐のような歓声! キタァァァアアアア!!!
・ライブハウス武道館
ヴォーカル鈴木圭介さんの天をつんざくような元気なシャウトからライブが始まる。1曲目は今年9月にリリースされたアルバムのリード曲である軽快なロックンロールナンバー『消えぞこない』。
いつものフラカン印の滑り出しだ。唯一違うのは、ベースのグレートマエカワさんのトレードマークであるオーバーオールがスパンコールになっていること。ケレン味のたっぷりあるモノが好きというマエカワさんの美学が全面に出ている衣装である。
ギターソロで鈴木さんが「武道館ーーーーー!」とシャウトした時ハッとした。「今、武道館に来ているんだ」と。それくらいライブハウスからみんなで来たという一体感があった。
・会場は一つに
ズッコケるMCもいつも通り。以前のインタビューでも語ってくれたように普段の彼らが遺憾なく発揮されている。最初は緊張気味のように見受けられたお客さんも「いつも通り行こうぜ」と語りかけるようなバンドのパフォーマンスに応えて、ますます会場が一つになっていく。
・楽しいだけじゃなく泣ける
中盤に演奏された大人になった自分と子供の頃の自分が会話する形でストーリーが進む『この胸の中だけ』では、すすり泣く声が聞こえた。しかし、声がやけに近くから聞こえる。声のする方向を見ると、すすり泣いているのは私のバンド・フリサトのヴォーカル水本君だった。彼の泣き顔を見て、私の涙は引っこんだ。
・カタルシスを覚える盛り上がり
ライブの熱が最高潮に達したのは本編ラストの『真冬の盆踊り』。全員が両手を宙にひらひら舞わせながら「ヨサホイヨサホイヨサホイホイ」と踊り狂う姿は、この日のハイライトの一つ。
特に曲後半の鈴木さんがジャンプしながら「ヨサホホイホーイ」とシャウトする部分では、アリーナ全体がジャンプする狂乱の盛り上がりに胸のすくようなカタルシスを覚えた。
・生きててよかった
アンコールでは、マエカワさんがクリスマスツリーのようなオーバーオールに着替えたり、趣向を凝らしたお色直しで笑いを取る一面も。トリプルアンコールの最後にフォーキーな『サヨナラBABY 』でこの日を締めくくった。アウトロの「ラララ」コーラスを全員で歌った光景はきっと忘れないだろう。生きててよかったー!
なお、この日の模様は来年3月16日にDVDで発売されるとのこと。また、このライブについて、怒髪天だけでなく、スピッツ、サンボマスター、斉藤和義さんなども自身のライブで応援していたという。改めて、全員で力を合わせた武道館だったように思う。怒髪天から始まり、フラカンが繋いだこのバトンを次に受け取るのは誰だろうか?
・セットリスト
01. 消えぞこない
02. 恋をしましょう
03. 星に見離された男
04. 永遠の田舎者
05. はぐれ者讃歌
06. 脳内百景
07. トラッシュ
08. ビューティフルドリーマー
09. 元少年の歌
10. この胸の中だけ
11. 夢の列車
12. 発熱の男
13. 吐きたくなるほど愛されたい
14. 深夜高速
15. 春色の道
16. チェスト
17. 俺たちハタチ族
18. 終わらないツアー
19. 真冬の盆踊り
~アンコール1~
01. 夜明け
02. ロックンロール
03. 孤高の英雄
~アンコール2~
01. 白眼充血絶叫楽団
02. NUDE CORE ROCK’N ROLL
03. 三十三年寝太郎BOP
~アンコール3~
01. 東京タワー
02. サヨナラBABY
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.、HayachiN、柴田恵理
▼武道館にキタァァァアアア!
▼みんなでキタァァァアアア!!
▼ヴォーカル鈴木圭介さんのシャウトが武道館に響きわたる
▼おめかししたベース・グレートマエカワさん
▼南部色溢れる『夢の列車』のソロが素晴らしかったいつもクールなギター・竹安堅一さん
▼豪快なドラムプレイのミスター小西さん
▼四人揃ってフラワーカンパニーズ!
▼ファンもメンバーもみんなで合唱するトリプルアンコール!!
▼たくさんのミュージシャンから応援の花束
▼生きててよかった、そんな夜はココだー!!!
▼ライブハウスから武道館へ