値段を気にせず飲み食いする。これはなかなか難易度が高い。そんなことをしたら軽く数千円いってしまうだろう。出来れば3000円くらいに抑えたいものだ。と思っていたら、どうやらハンパないお店があるらしい。というか、完全に意味不明の領域に足を踏み入れている。
そこでは、どんなに飲み食いしても3000円以上は切り捨てになるのだという。いや、意味がよくわからない。つまり、仮に5000円分飲食したとしても会計は3000円だというのだ。おい、大人をからかっちゃいけねえ。そんなアンビリバボーなお店が現実に……あったやないか! ちょっと入ってみるぞ。
・実在した
東京・都営新宿線の曙橋駅で降りる。外苑東通り沿いにあるのが目的地の「定食酒場食堂」だ。このDIY感溢れるお店の中で奇跡が起きているのか。ちなみにこちらは、正確には居酒屋ではなく食堂である。当日は食事だけのお客の方が多い印象であった。
・漢の中の漢
店内に所狭しと書かれたメニューの数々。一際目を引くのが、日替わりの288円定食なるもの。なんだよそれ、絶対アツイじゃん……。それだけで別にもう1本記事を書けそうではないか。震えていると、壁にこんな張り紙があるのを発見。
「当店は常識ある心広いお客様は、お一人3000円以上は頂きません。例え会計が5000円だとしても、お一人様3000円です」
……ッテ。……イッテ。ヤバイッテ。マジだったって。公式に宣言しちゃってるって。意味不明だって。利益どうするんだって。真面目にお店のことが心配になったが、「定食酒場食堂」は本気らしい。だってこれだぞ?
「安いと思われるでしょうが、他が高すぎるのです」
漢や! このお方、漢の中の漢や!! ワテ、あんさんについて行きますよってに。だが、この後メニューをめくった私は “あること” に気付いたのだった。
・そもそもがバカ安い
おつまみ系のメニューを見てみると、ポテトサラダ100円とか、肉じゃが180円とか、アジフライ180円とか、そもそもの値段がバカ安いことになっているではないか! 特にぶっちぎりで意味不明なのが、ナポリタン80円。80円て。駄菓子屋かよ。
この安さ、あっぱれである。しかし同時にこうも思った。あ、これ3000円いかねーわ。そう、つまみが安いため、普通に食べているだけでは3000円もかからなそうなのだ。そこで、私はお酒をガンガン飲むことに。この作戦が実にいいものであった。
・値段を気にしない
3000円以上飲み食いするために、私はお店の高めのメニューを頼むことにした。290円の生ビールではなく、400円のハイネケンとバドワイザー! 芋焼酎も日本酒も500円台の高いの飲んだるわ!! お店でなるべく高いものから頼むなんて、なんという贅沢感。
・料理がウマい
値段ばかりに気を取られていたが、こちらは料理も手作りでとても美味しい。先述の80円ナポリタンは、ほか弁の付け合わせみたいな量かと思いきや、こんもりたっぷりと出てくる。懐かしの味でウマしだ。これで80円とか、まったく意味不明である。
お、なんとジンギスカンを発見! よーし頼んじまえ!! そしたら七輪とジンギスカン鍋が出てきたでござる。ちょっとガチすぎませんかねぇ……。頼んだのは『特上ラム』。理由は当然これが1番高かったからだぞ(100グラム620円)。肉をジュージュー言わせた後、食べてみると……。
う、うめぇぇぇぇぇええ! くさみが全然ないではないか。これは予想外だ。まさかこんなマジなジンギスカンが出てくるとは。もういっそジンギスカンだけでもいいのでは? と思ってしまうレベルであった。
・気になるお会計
2時間ほど食べて飲んで、いよいよお会計。この日は2名で訪れたので、飲み過ぎていたとしても6000円ということになる。少々の緊張が走る我々。謎の追加料金とかないだろうな。カタカタと電卓を叩く店員さん。お会計は……5240円! なんでやねん!!
・安さゆえのシステム
結局3000円以上使えなかったという、予想外の結末を迎えた私。くそ~、あと1時間あればいけたな。3000円以上取らないということは、つまり安いからそんなにいかないよ、ということなのかもしれない。「定食酒場食堂」、極めて良心的な漢の中の漢であった。敬意を払い、我々もマナーある良き客であろうではないか。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 定食酒場食堂
住所 東京都新宿区荒木町18-1
時間 昼は11時半から14時くらいまで、夜は17時から23~24時の間くらいまで(要確認)
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼このお方、漢の中の漢や!
▼お通しは100円
▼キムチ入り玉子焼き(200円)
▼アジフライ(180円)
▼少しおまけしてくれたマカロニサラダ(100円)
▼からあげは1個50円
▼ナポリタン(80円)
▼久保田(550円)