食文化とは面白いものだ。日本というあまり広くない国の中でも、地域によって様々な味付けや食べ方が存在する。今回お伝えしたいのは、群馬県でのもんじゃ焼きの食べ方についてである。おそらく、あなたの予想の斜め上を行く案件だと思われるので覚悟してほしい。
なんと、群馬県民はもんじゃ焼きに「いちごシロップ」をかけるのだという。かき氷にかける、あの「いちごシロップ」だ。もんじゃ焼きに? いちごシロップ? バカッ!! と思うのが、他の46都道府県の人たちの総意だろう。しかし驚くことに、これが実にウマいのである。
・群馬のもんじゃ焼き
そもそも、もんじゃ焼きとは小麦粉を水に溶かし、キャベツなどの具と一緒に鉄板に薄く伸ばして食べる粉もの料理だ。お好み焼きと一緒に出しているお店も多い。特に東京の月島や浅草が有名で、最近はB級グルメとして世間にも浸透したのではないかと思う。
しかし、もんじゃ文化は東京以外にも存在するのだ。群馬県伊勢崎市もその1つ。群馬出身の私(あひるねこ)の母(60代)が言うには、子どもの頃は駄菓子屋でよくもんじゃを食べていたらしい。おやつ代わりだったそうだ。そこまでは、いい。何も引っ掛かることはない。
・いちごシロップ、入れてみよう
恐るべきは、もんじゃ焼きにいちごシロップを入れる、という点だ。このことについて周囲に聞いてみると、「意味不明」、「気持ち悪い」などの意見が返ってきた。無理もない。粉ものに甘いシロップを入れるなんて狂気の沙汰である。ふむ……。それでは、実際に入れてみようじゃないか。
・群馬県民の作るもんじゃ
私はもんじゃを作ってもらうため、東京からわざわざ母に会いに行くことに。具材を持って突如現れた息子に戸惑う母であったが、これを快諾。さっそく調理に取り掛かった。
詳細な作り方については省略するぞ。おそらく群馬県民の中でも違いがあると思われる。大事なのは、いちごシロップがアリかナシかだ。さて、鉄板に生地を伸ばした。ここまでは特に問題はない。
さあ、いよいよ “ヤツ” にご登場願おう。みなさんお待ちかね、いちごシロップである。夏の終わりに「また来年なー」と別れたはずだったが、思ったよりも早い再会となった。
・入れちゃった
これを鉄板の上にかけていく……のだが、大丈夫なのかよ。うん、マズイね、じゃ済まないんだぞ? この後スタッフが全部美味しく頂かないといけないんだぞ? 母さん、やっぱり止めとこ……お母さぁぁぁぁああん! 迷うことなくシロップをぶちまける母。おい、何してくれとんねん。
・お味はいかに
よく混ぜ合わせれば完成だ。見た目は普通だが、あたりはソースの香りといちごシロップの香りが混ざっている。これが禁忌(きんき)の出会いというやつか。それでは食べてみよう。恐る恐る口に運んでみると、おや? ほうほう。これは、なかなかどうして……。
ウマい!! ウマいよこれ! いちごシロップ、完全にアリ! ソース味にシロップの甘さが加わって、その名の通り甘辛な味。この甘さがむしろ良い。たぶんソースだけじゃ物足りなく感じただろう。たしかにご飯というよりも、お菓子感がある。
・カレーといちごシロップ
さらに、群馬のもんじゃはカレー粉も入れるのだ。シロップと分けて入れてもいいし、混ぜて入れてもいいという。ここまできたら、もう驚かんな。いちごシロップとカレー粉を混ぜちゃおう! おお……普通にウマい。カレー粉だけでもイケるが、シロップの甘さがそこによく合うではないか。
・お焦げの美味しい食べ方
もんじゃ焼きをやると、下の方にお焦げが出来る。ここを一緒に食べてもウマイのだけど、お焦げだけ残してパリッと煎餅状にしたものも激しくウマい! これなんかはすごく駄菓子っぽいな。鉄板からキレイに剥がれると気持ちいいんだ。
・自宅でやってみよう
久しぶりに作ったという母と一緒に、ウマいウマいとペロリと完食。いちごシロップに、まさかこんな素晴らしい活用法があったとは驚きだ。ただ、実際に食べてみないとこの感じは伝わらないと思うので、ぜひ自宅で試してみてほしい。こりゃ夏以外でもシロップ売ってる店を探さないと。
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
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