すべてのモノはいつか壊れる。消耗品なら仕方がないが、家電や事務製品が壊れると、日々の生活や仕事に影響を及ぼす可能性がある。そんな時にサポートがしっかりしているかどうかで、メーカーへの信頼は大きく左右されるだろう。
愛用しているパソコン「VAIO Z」が最近 起動しなくなった私(佐藤)は、サポートに問い合わせをして、修理をお願いすることになった。その結果……無事に修理が完了しただけでなく、手厚いサービスを受けることができたのだ。まさか、ここまでやってくれるとは!
・パソコンが故障
ある日、私のパソコンは何も表示されなくなった。電源を入れても画面は真っ暗なまま。キーボードのバックライトは一瞬つくのだが、それもすぐに消えてしまう。
症状が出始めた当初は、バッテリーの問題だと思っていた。というのも、同じような症状をネットで調べ、本体裏面にあるバッテリーオフボタンを押すというやり方で、しばらく起動できていたからだ。
だが結局 起動しなくなったため、やむを得なく数年前にAppleのラッキーバックでゲットした「MacBook Air」を使用して執筆作業をすることに。
・ソニーなの? VAIOなの?
さて、起動しなくなったパソコンについて問い合わせをするに当たって、困ったことが起きた。どこに聞けばいいのか? というのも、VAIOは1996年から2014年までソニーが製造販売を行っていた。それ以降、事業はVAIO株式会社に切り離されている。
ソニーに尋ねるのか? それともVAIOに尋ねるのか? わからなかったので、とりあえずソニーのサイトを調べてLINEのサポートアカウントを利用してみた。
質問内容に従って答えていくと、私の製品はソニーが対応するものでなかったことが判明。
アカウントが教えてくれたVAIO社のURLに従って、ホームページを進んでいくと、VAIO側も「ソニーじゃないですか?」と尋ねてくる。うう……面倒くさい。きっと両社のカスタマー担当も「面倒くせえ」と思っているに違いない。気の毒だ。
・24時間待たずに返信
あっち行ったり、こっち行ったりして、ようやく問い合わせフォームにたどり着いた。やっと修理への道の入り口に到達だ。
氏名や製品番号・不具合の内容などを入力して、フォームから送信すると、サポートセンターから自動返信メールが届く。それによれば、24時間以内に返信をもらえるとのこと。これだけで無事に相談が届いたことがわかって安心だ。
しかも、実際は24時間も待たず、担当者からの返信が5~6時間以内に届いていた。
・梱包なしで本体引き取り
その担当者に詳しい症状を伝えると、次のように提案された。
「このたびは、VAIO でご不便をおかけし申し訳ございません。お問い合わせの件についてご案内いたします。お知らせいただいた内容から本現象は機械的な問題である可能性が高くお手元での改善が難しい状況のためVAIO のお預かり点検修理をご提案したく存じます」
つまり、引き取って修理をしてくれるという。それから、引き取り場所と日時、返却先、点検内容や修理見積もりの有無などを尋ねられたので、それらを指定。全ての質問に答えて、あとは運送業者が取りに来るのを待つだけとなった。自分のできることはここまで。梱包する必要もないとのこと。
本当に梱包しないでいいのか? パソコンを裸で渡すってことなの? 念のために購入時の箱を用意して待っていたのだが……。問い合わせから3日後にやって来た業者さんは、本当にパソコンと電源だけを持っていった。きっと引き取り品を正確に把握するために、梱包を運送業者が行っているのだろう。
・点検結果
その後、引き取りから6日後に点検結果が伝えられた。電源が入らないのではなく、バックライトが点灯しないことが判明。保証の適用で、無償で修理してもらえることに。なお、有償のバッテリー交換の提案があったものの、それは断った。
・問い合わせから10日
そして最終的な動作点検の翌日、出荷の連絡が来た。流れをまとめると、2017年8月21日に最初の問い合わせをして、パソコンが返ってきたのは8月31日。10日間で無事帰還!
帰還したVAIO Zを見ると、どうやらスタンドやヒンジカバーなどの部品交換が行われたようである。
本体カバーは交換したらしくピカピカの新品。これで無事に起動してくれれば、文句はない。それだけで十分だったのだが、「ご連絡欄」を見ると驚くべき内容が記されていた。
・カバーに貼ったシールを返してくれた!
「お客様シールを確認しましたのでご返却致します」
お客様シール? え!? もしかしてカバーに貼ってたシールのことか? サービス明細書の袋を探ると、カバーに貼ってあったシールが出てきたのだ。
わざわざカバーのシールをはがして、キレイに台紙に貼り直して送り返してくれたのだ。処分されても仕方がないと思っていたものを返してくれるとは、想像もしていなかった。
貼っていたシールは、ロックバンド「人間椅子」のライブ取材時のバックステージパスが3枚。そして、「辺境音楽マニア」でお馴染みのハマザキカク氏が手掛けた書籍『デスメタルアフリカ』のシールだ。
それぞれのシールに自分なりに思い入れはある。しかし修理の犠牲になるのなら、仕方がないと思っていた。いや、むしろパソコンを直すことで頭がいっぱいで、シールの存在を忘れていたのだ。それを送り返してくれるとは思わなかった。そのホスピタリティは修理よりも嬉しく思う。
・まとめ
今回VAIOのカスタマーサービスが良かったと思う点を整理すると、以下のようになる。
1.指定時間よりも早く確実にメールの返事がある
2.メールの質問内容が明確で簡潔
3.顧客の手間が少ない
4.顧客の製品への愛着を理解してくれている
(1)に関しては、メールの返信を「24時間以内」としながら、その時間よりもはるかに早い時間で返信をくれる点だ。実際は「6時間以内に返信します」とできるのかもしれないが、あえて「24時間以内」とすることで、早く対応している印象を与えている。待たされている気がしない。
(2)については、これまでソニーで培ったノウハウを生かして、不具合や故障時に想定される質問を、簡潔にまとめている。質問内容は非常によくまとめられており、顧客もカスタマー担当もお互いが迷わずに済んでいる。選択肢を絞ることで、圧倒的な時間の節約になっている。
(3)メールでは提案される質問に答えるだけ。引き取りで梱包の手間はなく、本体と電源を渡すだけ。とにかく手間がかからなかった。強いていえば、ソニーに問い合わせるべきか、VAIOに問い合わせるべきかを迷ったくらい。今後はVAIO株式会社がより浸透して行き、迷うことも少なくなるだろう。
(4)何より嬉しかったのは、シールの返却だ。たとえこちらが不要と思っても、返却する姿勢が心地いい。まるで、顧客の製品に対する愛着を理解してくれているように感じる。
・今後もお世話に
ちょっと話は変わるが、本サイトでは以前の記事で、電気加熱式たばこの「iQOS」のサイトにログインできない問題についてお伝えした。何とか解決すべくサポートセンターと何度もメールのやり取りをしたのに、結局返事が来なくなる始末。
iQOSの対応に戸惑っていたところで、VAIOのこの対応を受けたのだ。私が満足したのは言うまでもないだろう。今後もまたパソコンに不具合が起きたら、相談させて欲しい。よろしくお願いします!
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24