人知れず進化を続けているモノが、この世には存在する。決して多くの人の目に触れることはないが、確実に必要としている人がいるモノ。例えば安全靴だ。工事現場や飲食店の厨房などで履かれる安全靴は、つま先に鋼板や硬質な合成樹脂などが施されており、靴底を強化したものも多い。
昔は見るからに現場作業向けの荒々しい品が多かったのだが、最近はオシャレ! パッと見た感じ、一般的なスニーカーと変わらなかったり、ものによってはブランドスニーカーよりも圧倒的にカッコイイものまで存在するのだ!
・昔の安全靴はもっと荒かった
以前の記事でダッドシューズについて紹介したが、それを調べている時、私(佐藤)は安全靴の進化に気づいた。かれこれ20年近く前になるのだが、私が保線の仕事に従事していた頃は、合皮の編み上げ安全靴しかなかった。重くて硬くて、履き慣れるまでは痛くて痛くて仕方がなかった。使い込むとつま先の部分がはがれて、鋼板がむき出しになったりしたものだ。
それが安全靴だと思っていた。ところが! 今は違う!!
・スタイリッシュに進化!
新宿区の作業着屋さんを数軒まわってみると、昔馴染みの安全靴はほとんど置いておらず、今風に進化したものばかりが目につく。
しかも安くてカッコイイじゃないか! これが安全靴か!?
私が見た範囲では、作業着メーカー「寅壱」のものが目立っていたが、なんとアシックスやミズノ、プーマなども安全靴に力を入れている。まさか、スポーツメーカーまで安全靴を作るようになるとは! スポーツメーカーがこれまでに培ってきた “運動靴の知識” を生かし、軽量で丈夫、なおかつスタイリッシュな商品を続々と開発しているようだ。
「それを履いたままフィールドを走っても全然変じゃない!」と思う安全靴が何足も……。
しかしながら、スポーツメーカーの安全靴の価格帯はちょっと高め。安くて丈夫な消耗品を作らせたら、作業着メーカーの方に分があるもよう。それら作業着メーカーの安全靴のなかから、手ごろな価格の商品を2足購入した。
・3200円の安全スニーカー
ひとつは、「sundance」というブランドのサッカーシューズっぽい安全靴だ。価格は3200円だった。
こちらはサッカーシューズよりもゴツゴツした印象はあるが、安全靴のなかでは細身な方だ。
黒地に赤の縫い目が映える。つま先には薄い鋼板が入っていて、安全面は当然バッチリ。
・昔のものと比べたら……
接着面に多少の改善点があるような気もするが、価格を考えれば十分だろう。履き心地は、昔の安全靴と比べものにならないほど良い。何よりも軽いのがとても良い。
・3300円の安全スニーカー
もう1足は「ジョーマーベリック(おたふく手袋株式会社)」のブルーのスニーカーで、購入価格は3300円。
こちらは表面をポリエステルメッシュの加工が施されており、通気性が良い。先芯には合成樹脂を使用しているので、先に紹介したsandanceのスニーカーよりもさらに軽く感じられる。
誰がどう見ても、安全靴には見えないはずだ。普段使いも出来そうなほど、デザイン性が優先されている。
・先端がめくれるかも
ひとつ気になったのは、先芯部分の表面の強度。ポリエステルメッシュ加工だから仕方がないが、激しい現場仕事だと、つま先部分のメッシュが剥がれたりするかもしれない。軽さを取るか強度を取るか難しいところだが……。
・履いてみると……
さて、これを実際に履いてみると……
う~ん! 実に自然だ。
一般的なスニーカーと比べても違いがないはず。
ブルーのスニーカーもご覧の通り。
誰にも気づかれることなく、つま先の安全を確保することに成功している。
今回は安価な商品を紹介したが、もう少し価格の高い商品はさらに機能性が高く、かつデザインも優れたものが多くある。新しい靴の購入を検討している人は、安全靴という選択肢もアリだぞ!
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24