当たり前の顔して並んでいる日常の風景。しかし、そんな日常の中には、よく見ると “” が潜んでいることがある。つい先日、そんなことを実感したのが、高コスパうどんチェーン『はなまるうどん』でのこと。

安い価格帯で味わえる本格派うどんが庶民の味方であるこの店。私(中澤)も、10年ほどお世話になっているが、最近とあることに気づいた。はなまるうどんでわかめうどんを注文したことある人いますか

・疑問を持ったキッカケ

王道メニューである「わかめうどん」。普通ならそんなこと思いもしないのだが、私がそう思い始めたキッカケは、はなまるうどんでメニューとにらめっこしていた時。

はなまるうどんのカレーが好きな私は、ほとんどの場合カレーセット一択なのだが、セットのうどんをどれにするかは毎回悩ましい議題である。温玉ぶっかけもウマそうだが、きつねうどんも良い。明太おろししょうゆも、ゆずとろろ昆布も捨てがたい。

ひとしきり悩んだ後きつねを選んだ。同じ価格帯なら、きつねが一番高コスパに感じたからだ。自分的鉄板メニューがあったら毎回同じものを注文してしまう私。悩みはすれど、はなまるうどんで選ぶのはほとんどの場合きつねである。

そこで、ふと気づいた。選択のテーブルにさえ乗っていないメニューが1つだけあることに。それが「わかめうどん」である。

・わかめうどんが選択のテーブルに乗らない理由

別にわかめが嫌いなわけではない。ただ、はなまるうどんの同価格帯のうどん9種類と比べると、どうしてもわかめを選択するタイミングがなくなるのである

大きな揚げが乗ったきつねうどんや温玉ぶっかけはコスパ的に見て主役だろう。ぶっかけはレモンが乗ってあっさり風味だし、ざる、明太おろししょうゆは夏に大活躍だろう。釜あげうどんとかま玉は、食感が違うためファンもいるに違いない。だが、わかめ……?

海藻系が食べたければ、ゆずとろろ昆布の方が明らかに高級感がある。むしろ、ゆずとろろ昆布とわかめが同価格帯なのが不思議なくらいだ

そう言えば、私はこの10年、はなまるうどんでわかめうどんを注文する人を見たことがない。もちろん、今も店内にわかめうどんを食べている人はいない。ラインナップのせいで、わかめうどんは誰の眼中にも入ってないのではないか

・わかめうどんの謎

しかし、そう考えると謎なのが、そんなわかめうどんがずっとレギュラーメニューをキープし続けているという事実。ひょっとしたら、地味な見た目に反して実はめちゃくちゃウマいのかもしれない。そして、熱狂的なファンだけがそのことを知っていて注文しているのかも。

・食べてみた

考えれば考えるほどにわかめうどんが気になって仕方なくなってきたぞ。そこで注文してみた。

通常なら、きつねうどんや温玉ぶっかけをスルーしてわかめうどんに行くなんて軽い罰ゲームだが、「ウマイに違いない」と言い聞かせて食べてみたところ……な、なんやと!?

柔らかいわかめとうどんのハーモニーが……


普通



めっちゃ普通!!


うどんにわかめを乗せただけだ! まさに「わかめうどん」以上でも以下でもないのだが、それゆえに次はなまるに来た時、私は他のメニューを注文するだろう。

深まるわかめうどんの謎。きつねうどんや温玉ぶっかけの脅威にさらされながら、一体、わかめうどんはどうやって今まで生き残ってきたのか。ひょっとしたら、そこには、私たちがこの競争社会で生き残っていくヒントが隠されているのかもしれない。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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