さて、今月もやってきました。みんな大好き満月の夜です。ネイティブアメリカンによる8月の満月の呼称はスタージェンムーン。スタージェンとはチョウザメのことだ。
今月はせっかくのペルセウス座流星群も、ほとんどの地域では悪天候にやられてしまって残念な感じ。せめて満月くらいは楽しみたいところだが、はたして見られるのだろうか? 各地の天気などと合わせ、詳しく見ていこう。
・チョウザメ
8月の満月がチョウザメになぞらえた名前なのは、五大湖周辺でのチョウザメ漁がシーズンを迎えるのがこの時期だから。ちなみに、今日のアメリカではだいたいチョウザメ漁には何らかの制限が課せられており、好き勝手に捕ることはできない。
今日におけるチョウザメ需要の理由は、言うまでもなくキャビアだ。しかし最近ではどの国でも天然のチョウザメの数は減少気味で、絶滅に瀕しているため、だいたいが保護されている。
そのかわり養殖が盛んになってきており、ルフトハンザ航空のファーストクラスでは中国産を、ANAのファーストクラスでは宮崎産の養殖物を採用するなど、技術の進歩によって養殖物のクオリティが上昇してきているようだ。
ちなみに、チョウザメの商業的価値が欧米からの入植者たちに知れ渡ってすぐのころは、何も今のようにキャビアのみが持ち上げられていたわけではなかったらしい。
その肉や油も重宝され、干物や薫製にして保存食にしたり、あるいは浮袋を乾燥させたものがアイシングラス(薄いシート状のゼラチン)として、北米大陸から欧州へ輸出されていたという。
・満月
チョウザメについての話はこれくらいにして、話を本題の満月に移そう。国立天文台によると、22日の21時2分に満月になるもよう。東京ではその時間だと、まだ南東の比較的低い所に位置していると予測される。
満月の瞬間をとらえたい場合は、南東方向がよくひらけた高い場所から観測するのが良いだろう。タイミングを特に気にしないという方は、0時前後に南中する頃合いを狙うのがおススメだ。
・天気は
最後に気になるのが天気だ。この時期は何かと天気に邪魔されがちな天体イベントだが、今回はどうだろう? 本記事を執筆している20日時点での気象庁の予報によると、東京は曇りのち晴れと希望が持てそうだが、日本列島の中心より南西方面はほぼ雨。
東北から北海道にかけても日本海側はほぼ雨。宗谷や網走など、北海道でも最北に位置するエリアを除けば、どこも天気は微妙そうだ。それどころか、20日の時点でフィリピンの東の熱帯低気圧が24時間以内に台風に発達し、ちょうど22日ごろに西日本や東日本に悪天候をもたらす可能性が報じられている。
うーん、今年の8月はちょっと天体観測的には残念な感じで終わりそう。まあでも、満月は少しでも雲に隙間があれば割と見えるもの。見えたらラッキーくらいの気分で。
参考リンク:The Old Farmar’s Almanac、Sturgeons and Paddlefish of North America、NHK、宮崎キャビア1983、国立天文台、気象庁、tenki.jp
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
Schreenshot:気象庁