ヴィレヴァン福袋のゴミは “いいゴミ” である。あたり前のように福袋の中身がわかるこの時代、ヴィレヴァンだけはシレッとゴミを詰め込んでも笑って許せる存在。現代人が忘れかけている “大らかな気持ち” を思い起こさせてくれる稀有な存在といえよう。

……が、ここ5年ほどヴィレヴァン福袋を開封し続けている “ゴミの番人” こと私、P.K.サンジュンも今年のヴィレヴァンには驚きを隠し得ない。なにせ『イエロー福袋(3600円)』すら当たりに思えてしまうほどキレキレなのだから──。

・もっとゴミを入れろ

数年前までは割りとガチめのゴミばかりだったヴィレヴァン福袋であるが、実は昨年2022年は「やや控えめなゴミ」が多かった。時代の流れに飲まれたのか? それとも自ら合わせにいったのか? 真相はわかりかねるが「例年より笑えない」というのが率直な感想であった。

昨年の記事を読み返してみたところ、私は「俺たちは思い出を買ってるんだ。もっとゴミを入れんかい!」と叫んでいた。その叫びがヴィレヴァンに届いたのだろうか、今年のヴィレヴァンはアクセル全開でゴミをまき散らかしている。

特にヒドかった「ブルー福袋」については該当の記事をご確認いただきたいが、2023年のヴィレヴァン福袋は「完全に殺(や)りに来ている」と考えていいだろう。本来ならゴミ判定する『イエロー福袋』が可愛く見えてしまうほど、今年のヴィレヴァンはヤバい。

・ヴィレヴァン福袋 イエロー(3600円)の中身

・ 1人用卓上焼肉グリル
・ 霜降り肉のクッション
・ 霜降り肉のタオル
・ 箸
・ スポンジ

※ 福袋なので中身が違う場合があります。

まずは普通に使える「1人用卓上焼肉グリル」が入っている時点でイエロー福袋の負けは無くなった。鉄板部分が取り外し出来ることも高ポイントで、これなら手軽に1人焼肉を楽しめるハズ。ササッと洗える設計は、長く使ううえでとても重要だ。

その「1人用卓上焼肉グリル」と「スポンジ」を除いてはゴミと判定するが、それでも「ブルー福袋」を開封してしまった後だと “笑えるゴミ” とジャッジしたい。クッションなどは完全に出オチ要員であるものの「とりあえずクッションとして機能すること」を評価した。

・俺たちのヴィレヴァンが帰ってきた

逆説的に言うと『イエロー福袋』を穏やかな気持ちで見守れるほど、今年のヴィレヴァン福袋はエッジが効いている。当たりとハズレの落差が激しいことも特徴で、特にハズレを掴まされたときのショックは昨年と比較できないほど絶大だ。

だがしかし、これこそが俺たちが求めたヴィレヴァン福袋のあるべき姿ではなかろうか? 伸るか反るか、生きるか死ぬか、デッド or アライブ──。完全に感覚が麻痺していることを承知で『イエロー福袋』は当たりである。

なお、イエロー福袋は「肉」がテーマだが、昨年は「寿司」がテーマの福袋も存在した。こういう遊び心がある福袋を作れるのもヴィレヴァンならでは! 果たして来年はこの枠に何が来るのだろうか?

というわけで、今年の基準でいうと「全然アリ」だと感じたヴィレヴァンのイエロー福袋。本物のゴミは愛想笑いすら出てこないが、イエロー福袋はまだ笑えたので「3600円の中では結構いい方だよ☆」と結論付けたい。本気を出したヴィレヴァンには誰も追いつけない。

参考リンク:ヴィレッジヴァンガード
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.