コロナ禍が去ればキャンプブームも終焉か、などと言われているが、自動車メーカーから純正の車中泊コンセプトカーが市販化されるなど、車中泊人気はしばらく続きそうだ。
キャンプ場ではない多様な場所で就寝できるのが車中泊の魅力だが、どこにでも滞在できるわけではない。特に公共の駐車場でのキャンプ行為はNG。道の駅の駐車場などでBBQパーティーをしている人がいても、ほぼ間違いなくルール違反なので真似してはいけない。
利用料を支払って正式に車中泊できるシステムに「RVパーク」があるが、駐車場であることは同じで、原則として野外調理は不可……なのだが、福島県には火気OKの素晴らしい車中泊スポットがある!
・「磐梯山・絶景の猪苗代スキー場RVパーク」
福島県といえば、テレビ番組のDASH村の舞台となったり、「東京に空がない」と言った高村智恵子のふるさとであったり、日本の原風景とも呼べるような里山が魅力だ。冬には雪が降り、スキー場も多くある。
ご紹介したい「磐梯山・絶景の猪苗代スキー場RVパーク」はなんと、猪苗代町の “スキー場敷地内” にある。
場内はAWD・4WD車でしか行けない標高900mゲレンデエリア(1泊1台1万2800円)、少し下った標高750mゲレンデエリア(1泊1台6800円)、設備の整った標高650m駐車場エリア(1泊1台3500円)の3つのゾーンに分かれている。
グリーンシーズンのスキー場に立ち入れる貴重なゲレンデエリアは素晴らしい眺望だと聞くが、そのぶん傾斜があり、トイレなどのサニタリーも遠いため、滞在スタイルによって判断するのがよいだろう。上層に行くほど滞在はハードモードになると思われる。
筆者は標高650m駐車場エリアにしたが、それでも猪苗代湖と町を見渡せる絶景! アスファルトの駐車場なので平坦で、レベラーもいらない。
しかもチェックインフリーのシステムを採っていて、事前に予約・Web決済を済ませていれば、当日は手続き不要で利用を開始できる。到着時間に縛られないのでとてもいい。
まだまだ管理人さんの在室時に電話予約して現金で支払って……という施設も多いなか、先進的な進化型RVパークだ。
各サイトには100V15Aの電源付き。キャンプ用家電を便利に使える。
そして徒歩数十秒でトイレ、水道、ゴミ捨て場、自動販売機、サービスハウスに行ける。車中泊をしているとゴミ処理は深刻な問題で、しかもゴミ捨ては別料金というRVパークもあるが、こちらは無料なのがありがたい。生活排水(グレータンク)の処理もOK! 神!!
サービスハウス内にも水道があり、電子レンジ、ポット、洗濯機などの備品あり。
もちろんトイレは24時間利用可能。大規模キャンプ場などでは自分のサイトからサニタリーが遠いこともあるが、駐車場の一角にあるためすべての設備がコンパクトにまとまっている。
そのぶん他に利用者がいると、目隠しなどなく車同士が隣り合うようなイメージとなる。近くに別グループがいると気になる、という場合は大型連休を避けるなどしたほうがいいかもしれない。
入浴は道路を渡った向かい側にあるホテル「ヴィライナワシロ」で大人700円。予約すればホテルの朝食、夕食の利用も可能。
以上のように「平坦かつ舗装されたサイト」「車中泊を考慮した便利な設備」「トイレ・入浴施設至近」などのアドバンテージがあるRVパークだが、ここ「磐梯山・絶景の猪苗代スキー場RVパーク」の最大の特徴は野外調理が可能なこと!
火気厳禁のRVパークも多いなか、「直火は禁止だが、BBQコンロや焚き火台による火気使用は可」(詳細はエリアにより異なる)となっている。
ふもとの猪苗代町にはスーパーやホームセンターが複数あり、ばっちり買い物もできる。後述するが、想像以上に美味なる肉を半額セールでゲット。
猪苗代町のパノラマを眺めながらまずはビールを1杯……といけたら最高かもしれないが、下戸なのでおやつ。
これがなくちゃ始まらない! コーラ&ポップコーンからのホットコーヒーは最強コンボだ!!
最っ高っだ。少しずつ日が暮れて、家々に明かりが灯り始める。なんともいえない旅情がわき上がってきた。普段半径3mくらいの自宅に閉じこもって仕事をしていると視野が狭くなりがちだが、自分とはまったく違う暮らしを送っている人がいると思うと世界の広さを感じる。
半額で買ってきた肉を焼く。すでに味つけされていて、荷物から調味料を出す必要もなかった。
これがリーズナブルなのに驚くほど軟らかくて美味しい!! 1000円足らずで牛肉・豚肉・鶏肉が揃い、たらふく食べられる。購入場所は「リオン・ドール 猪苗代店」だ。
焼いて口に入れるだけ、調理らしい調理もしていないが、どんな高級レストランよりも旨い!
町には「ヨークベニマル 猪苗代店」やコンビニもあり、食材の調達には困らない。道の駅で食材を購入する人もいると思うが、精肉は扱っていなかったり、あってもブランド肉だったりするので、やはり地元のスーパーが最強だと思う。
福島の夜は寒い。防寒対策はしっかりした方がよい。筆者は車内を専用暖房器具のFFヒーターで暖めたが、焚き火台の使用もOK。夜景を見ながら火を育てるのも乙なものだと思う。
大自然に親しむキャンプ場とはまた違った楽しみ方があり、屋外で過ごす気持ちよさと便利さを同時に味わえるハイブリッドだ。いつまでも、いつまでも景色を眺めてしまう。晴れていれば天体観測も楽しめるとか。車内に入って、あえて電気を消して窓から外を見るのも最高だった。
寝る前にはホテルにお風呂を借りに行った。こぢんまりした浴場だったが、ホテル利用者と同じ湯を使用できる。22:00から翌7:00まではキャンプ場と同様、宴会など不可のサイレントタイムとなる。
翌朝も快晴のもと起床。会津若松市や喜多方市の観光にも便利な立地だ。磐梯山の登山道もすぐ近くにあるようで、早朝から人が集まってきていた。さて、今日はどこに行こうか。
・車中泊天国、福島
なお、同じ福島県ではリゾートホテル敷地内の「RVパーク リステル猪苗代」や、星野リゾート・スキー場内の「ネコマ マウンテン RV&キャンプサイト」など複数の注目RVパークあり。
後者は「星野リゾート 磐梯山温泉ホテル」の一部施設を利用できるとあって連休ともなれば満車、キャンセル待ちをしてもまったく順番が回ってこないという人気施設となっている。大規模な天然温泉を利用できる高規格キャンプ場「エンゼルフォレスト白河高原」もおすすめ。
まもなくウィンターシーズンとなり、クローズとなるRVパークやキャンプ場も出てくる。雪が溶けたらぜひ訪れてみて欲しい。福島はまさに車中泊天国だ。
参考リンク:磐梯山・絶景の猪苗代スキー場RVパーク
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.