「018(ゼロイチハチ)サポート」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 東京都が都内に在住する18歳以下の子供に対し、1人当たり月額5000円を支給するという新たな事業で、今年9月から申請を受け付けている。
所得制限はなし。12月15日までに申請すれば来年1月に一括支給されるとのことで、私(あひるねこ)も挑戦してみたところ……すでにいろいろ言われている通り、だいぶ一筋縄ではいかなかった。
・東京都の子育て支援
東京都によると、018サポートの支給対象となるのは2005年4月2日から2024年3月1日までに生まれた子供で、「2023年度中に都内に住所を有する又は有していた」が条件である。
我が家には3歳の娘がいるため、申請すれば都から年額6万円がもらえるワケだ。これは大きい。そこでさっそくスマホから手続きしてみたのだが、ハッキリ言って、こんなに面倒な申請作業は生まれて初めてだった。
・要注意
まず絶対に言えるのは、いきなり「新規申請」に進んではいけないということ。流れで何とかなると思うな。必ず事前に「必要書類・申請方法(対象者区分)」を確認しておくべし。じゃないと後でめっちゃ腹立つぞ。
「必要書類・申請方法」のページで、対象者(子供)と請求者(申請者)の状況、例えば子供と同居しているか別居しているかなどの項目にチェックしていくと、「A27-1」みたいな対象者区分が表示される。
この結果によって必要書類も微妙に変わってくるようだ。ちなみに表示された英数字は、後で入力する必要があるのでコピーしておくこと。私の場合、必要な書類は以下の3点だった。
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
・振込口座を確認できる書類(キャッシュカード、通帳の写しなど)
・対象者の必要書類(保険証、医療証など、請求者と対象者について記載のあるもの)
・いざ新規申請へ
これらはあらかじめ手元に置いておいた方がいいだろう。それではようやく新規申請スタート! と思ったら、冒頭の本人確認でいきなり面倒くせぇ展開になった。
本人確認書類はマイナンバーカードを使うのが一番簡単だと思うのだが(それ以外の書類だと2点必要)、その読み込みには『TRUSTDOCK(トラストドック)』という本人確認アプリを必ずインストールしなければならないのだ。
う~ん、私も詳しいことはよく分からんが……それって『マイナポータル』じゃアカンのか? なんか上手いことできんのか?
免許証やパスポートの読み込みに『TRUSTDOCK』を使うのは理解できるが、でもマイナンバーカードならさ……同じ行政手続きなんだし……やっぱりどうしても別のアプリを新しく入れないとダメか? まあいいけども。
で、本人確認が終わったら次は口座情報。金融機関名、支店名、口座番号、口座名義などが分かるものが必要だが、WEB通帳やネットバンキングの場合は画面のスクショでOKとのことだ。
そして最後に、対象者(子供)の情報登録である。
・最難関ポイント
先述した「A27-1」などの対象者区分はここで入力するのだが、申請前にあらかじめ区分を確認しておかないと、ここまでの作業をいったん中断した状態で、新たに別タブを開いて作業しないといけなくなるため非常に厄介だ。チェック項目もまぁ~多い。
対象者区分の確認が終わったら、元の申請画面に戻って英数字を入力する。加えて子供の名前や生年月日なども入力。それが終わったら必要書類をアップロードだ。
おそらく多くの人が、必要書類には子供の保険証を選択すると思うのだが……ここで、この日最大の衝撃が私を襲う。
なんと書類に保険者番号等の記載がある場合は、自分でマスキング(見えないように処理)をしてからアップロードしろというのである。
つまり、写真を撮る前に付箋やメモなどで該当部分を隠すか、撮影・スキャンした写真の該当部分をペイントソフトなどで塗りつぶせ、と……。は?
・謎の要求
私も口座開設などでサイト上に本人確認書類をアップロードしたことは過去に何度かあるが、自力で番号を隠すよう指示されたのは今回が初めてだ。で、これがまた尋常ではなく面倒くさい。まずスマホで保険証を撮影したら……
画像をPCに移して編集ソフトを起動。保険証の場合は被保険者等記号、番号、枝番、保険者番号、二次元バーコードなどをマスキングする。加工が終わったら……
再び画像をスマホに移して、ようやくアップロード完了……。私は職業柄、こういった画像の編集は日常茶飯事なのだが、いきなり自分でマスキングしろと言われたら、普通は「え?」となってしまうだろう。
・不親切すぎ?
もしかしたら、このような諸々の作業が面倒だったり時間がなかったりで、申請自体を諦めてしまう人も中にはいるかもしれない。「学びなど子供の育ちを切れ目なくサポート」するための事業なのに、なぜこんな複雑で難解な仕様になっているのか?
ぶっちゃけ私は、申請中の様々な場面で「なるべく払いたくねぇ」という都の本音のようなものを感じずにはいられなかった。そんなワケない? いやしかし、「途中で申請を諦めてくれねぇかな」くらい思っていないと、こんな不親切な仕組みにはならない気がするのだ。
作業開始から約1時間。なんとか申請完了までこぎつけたが、この雰囲気だと、実際に給付金が支給されるまで油断できまい。
得体の知れないどこぞの民間企業がやることならまだ分かるが、これは都が巨額を投じた大型給付事業である。お金がもらえるのは素直に嬉しいけど……残念ながら、もう少し何とかならなかったんか? という思いを深めざるを得なかった。
願わくば、東京で暮らすすべての子供たちに、給付による恩恵が行き渡ってほしいものだ。
参考リンク:東京都福祉局「018サポート」
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:018サポート、TRUSTDOCK(iOS)