誰もが知っている日本の猫の油彩画を描いた作家、長谷川潾二郎。画壇に背を向け、なおかつ寡作であったがためにか、画集ではなかなかお目にかかれない希少価値の高い画家の作品集。
詩人でもある小柳玲子が夢人館シリーズ全10巻に収めようとした稀有な画家たちのなかには長谷川潾二郎がいて、その衒いなき対象把握によって突き抜けた存在感を示しているところが集中ではかなりの異作。素朴さのうちにあらわれる奇妙なまでに肉感的な感覚の驚きと親しさが愛おしさを醸成させている。
紛れない異質さを見るものに放っている画家を集めた夢人館シリーズの10の作家たちのなかに、眼に写る物そのものを捉えることに執着した作家長谷川潾二郎がいることの重さ、この選択に込めた編者の思いを見るものはしっかり受け止めなければならないと感じさせられた。
夢人館シリーズ選出の画家は以下のものたち。しばし時を割いて見るに値する、異次元世界にも通じているのかも知れない作家たち。長谷川潾二郎の猫、カマキリ、花瓶、干物、坂道、壁、電柱、茎、皿、箱、パイプから、視線を移していくことでイメージは重層化されていくだろう。
フンデルトワッサー
ニカラグア・ナイーフ
長谷川潾二郎
ゾンネンシュターン
リチャード・ダッド
ジャン・デルヴィル
リヒャルト・エルツェ
長谷川潾二郎
1904 - 1988
小柳玲子
1935 - 2022