「了解です」の明るい料理法、『君がいて良かった!了解です。』

なぜここに? 必殺技の名前のような……

よく考えてみるとこれって変だなと思う言葉に出合うことが時々ある。
先日、とある温泉地に出かけて、風呂上がりに髪を乾かそうと、宿の備え付けのドライヤーを手にとった。手元のスイッチは弱い方から順に、SET、DRY、TURBOとある。ふうん……。ターボ。ターボ……ターボ? 何だろう、この懐かしい響きは。もはや自動車でもあまり耳にしなくなってきた言葉である。思えば自宅のドライヤーにも「TURBO」のスイッチはある気がする。なぜ、「TURBO」はこうもドライヤーの世界でだけは今も現役バリバリで使われているのだろう。
辞書であらためて「ターボ」を調べてみると、ターボチャージャーなどの略だそうで、「排ガスを利用してタービンを回し、混合気を強制的にシリンダー内に送り込んで圧力を高める、エンジンの補助装置。出力・トルクを高め、併せて燃費向上に役立つ」(スーパー大辞林)とある。やはり、自動車の用語であって、ドライヤーには直接関係がない言葉のようである。なのに、今でもドライヤーにターボのスイッチは健在なのだから不思議だ。
いわゆる小学生男子が好きそうな語感の言葉というのがある。ハイパー、ミラクル、スーパー、ウルトラ、ダイナマイト、スペシャル、ワンダー、ジェット……。男子が自分で考える必殺技の名前は大体がこんな感じの言葉の羅列になりがちで、おそらく「ターボ」もその仲間であるように思う。
逆に新鮮かもしれない。これからは日常でターボを使ってみようと思う。遅刻しそうなときに、「大至急、ターボで行くよ!」なんて具合に。ダサカッコいい気がするのは私だけだろうか。

9月28日放送の日本テレビ『ダウンタウンDX』でのこと。「これっておかしくない?デトックス祭り!」のテーマで、ゲストの皆が日頃疑問に思っていることを話していた。その中で伊集院光さんがカニの進化について疑問を呈した。「カニなんて何億年前からいるんですよ。生物っていうのは、生存競争に勝つためにどんどん進化していくわけですよ。カニも元々はすぐ捕まっちゃったのを、ハサミをつけて攻撃力をつけたり、触るとチクッとするように棘をつけたり、してきたと思うんですけど……、おいしくなくなればいいのでは?と……」。
それを聞いた皆が、そうだけど、と苦笑いして、ダウンタウン松本人志さんだけは「自分のあの美味さに、この(ハサミ)程度で勝てると思うなよ、と。お前の美味さそんなもんじゃねえぞ」と、賛同していた。
確かに、うなぎだって、マグロだって、おいしいとされている魚たちは、自分たちの子孫が生き延びるためには、おいしくなくなるのが一番いい手なのかもしれない。でも、残念ながら、得てして自分では自分の良さというのは分からないものである。それは人間だけの話ではなく、すべての生き物にも言えることなのだろうなと思う。
カニの良さが人間には分かるように、別の生き物の目線というのは大切だ。私たちも悩みを誰かに相談したいと思ったら、自分にとって“別世界の生き物”みたいに感じる人から、アドバイスをもらうべきなのかもしれない。
<Mini Column>もう読めたらそれで十分なのでは
学校から帰って来て、子供たちが家で宿題をしている姿を見るにつけ、漢字というのは本当に厄介だなと思う。音読み、訓読み、ごくたまに使うイレギュラーな読み方、とめ、はね、はらい、書き順、文字の形のバランス。そのどれかを間違えてもテストでは減点なのだという。それを漢字1文字につき、いちいち細かく覚える必要があるのだという。
アルファベットしか使わない国の子供たちは、この時間にもっと別の勉強や運動や遊びをやっているのだろう。漢字練習のノートに向かって、お経のようにぶつぶつ言いながら、ひたすら繰り返し書いている姿を見ると、こんなことをやっていて本当にいいのかしら、日本は。と、少し不安になってくる。
とはいえ、かく言う私も子供の頃は何の疑いもなく、そういう宿題を真面目にやっていた人間である。それが大人になった今、どれだけの漢字を正確に書けるかというと、かなり怪しい。もはや私たちが手書きで書く文字なんて自分の名前と住所くらいしかないのだから。もしもこの連載の原稿を全部手で書こうと思ったら、冗談抜きで何十倍もの時間がかかるだろう。
子供たちが大人になる未来は今よりも間違いなく、漢字は書くものではなく、読むものになっているような気がする。ならばもう、正しく読めて、正しく言葉を使えたら、書けなくても、まあ、よし。その時間で、他のこと勉強しようぜ、でいいのでは。

- 1
- 2
了解です、
最近使いすぎると気になっていました。
分かりました。。とかで置き換えたりしていました。
ここで読んで私(70代、外国の田舎で20年は暮らしている)も日本の流れに乗ってたと可笑しかったですよ。
いつも楽しく読んでいます。