シーボーン・オデッセイの思い出 まもなく日本で生まれ変わる豪華客船
いよいよ、12月1日から商船三井クルーズの「三井オーシャンフジ」のデビュークルーズがスタートします。実はこの船の前身は、シーボーンクルーズ(米国)の客船、シーボーン・オデッセイ。私にとってラグジュアリー船の神髄を体験させてくれた思い出の船でした。
■連載「上田寿美子 クルーズへの招待状」は、クルーズ旅の魅力や楽しみ方をクルーズライターの筆者がご紹介します。
優雅なせっけん選びと赤いバラの演出
私がシーボーン・オデッセイに乗ったのは、2011年3月31日リスボン発の地中海クルーズでした。
シーボーンクルーズの客船に乗るのは3回目でしたが、初日から同社恒例の儀式と言いたいような豪華な歓迎のオンパレード。乗船口に並ぶ、白い手袋をはめた乗組員のウェルカムライン。部屋に入れば、すでに私の名前と客室番号入りの便箋(びんせん)も机の上に準備されていました。
ほどなく部屋係がシャンパンとカナッペに加え、エルメスやロクシタンなど数種のせっけんを載せた盆を持って登場しました。歓迎のあいさつを聞きながらお気に入りのせっけんを選ぶのも、陸ではめったに体験できない優雅なひととき。徐々にラグジュアリークルーズの幕が開けていきました。
シーボーン・オデッセイでは全ての客室をスイートと呼んでいましたが、部屋でのお楽しみは、追加料金なしのルームサービスでキャビアが注文できること。当時のクルーズではキャビアサービスもラグジュアリー度合いの判断基準になっていました。
その他のルームサービスメニューもエビのカクテルやサーロインステーキなどの高級料理が多く、景色の良い港町では、自分の部屋のバルコニーでルームサービスランチ。誰にも邪魔されない極上のシーサイドレストランとなりました。
そして、夕食後部屋に帰る時にはわくわくが止まりませんでした。なぜなら、毎晩趣向をこらしたベッド飾りが待っていたからです。ベッドに花びらをまいてあったり、1輪の深紅のバラとメッセージが置いてあったりとロマンチックな夜もあれば、この船の現在地をあらわす地図の上に紙の船に乗った私の写真が置いてあり、思わず笑いだしてしまったことも懐かしい思い出です。
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