メイン州のロブスターは別格! ニューヨークを飛び出し1泊2日のドライブ
ニューヨーク在住8年目の、久保純子さん。家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。
2024年も残り1カ月を切りました。みなさんにとってはどんな一年でしたか?
我が家は、長女が大学を卒業、次女はアメリカでは「大人の第一歩」とされる16歳になり、子どもの手が離れていくのを実感する1年だった。と同時に、自分の時間もできて、ますますアクティブに「NY探求活動」に励もうと力が入る。
ロブスター巡りへ出発
今年の締めくくりは、少し贅沢(ぜいたく)にロブスター巡りに出かけよう! ニューヨークでも人気の「ロブスターロール」。バターたっぷりのふわふわパンに、これまたマヨネーズたっぷりの茹(ゆ)でロブスターが挟んである一品で、初めて食べたときは、「なんだこれは〜!」とあまりの美味(おい)しさに衝撃が走った。
そのロブスターが捕れるのが、ニューイングランドと呼ばれるアメリカ北東部の6州(北から南へメイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネティカット州)で、中でも、メイン州は、ロブスターの主産地として知られている。
メイン州のロブスターは格別!という噂(うわさ)はよく耳にしていたが、ニューヨークから車で5時間ほどかかると聞いて、なかなか重い腰が上がらなかった。そんな折、「明日と明後日、特に予定もなく暇人」となった私といつもの好奇心旺盛メンバーが意気投合、一致団結。思い立ったが吉日で「行っちゃおう!」となったのである。
金曜 1pm
仕事を終えた友人をピックアップして、いざメイン州を目指す。私たちの公算では、夕方6時過ぎにはロブスターが人気のレストランに着いて、余裕でロブスターを頬張るはずだった。忘れていたのは、その日が三連休前の金曜日だということ。想定外の大渋滞にはまってしまったのだ。ノロノロノロノロ、一向にメイン州にたどり着かない。ドライブすること7時間、ようやくメイン州の手前のマサチューセッツ州・ボストンに到着したのだ。
お目当てのレストランのあるメイン州オガンキット街までは、まだ1時間半かかる。がしかし、レストランの閉店時刻は夜8時。すでに夜7時を回っていた。どうするどうするどうする。そのままレストランのある小さな街を目指し、間に合わなかった場合はファストフードでも食べるか。それとも、ボストンでひと休みして、マサチューセッツ州のロブスターをひとまず食すか。究極の選択だった。結局、後者に決めた。
ボストンの海沿いのレストランで、予定外のロブスターとクラムチャウダーをいただいたのである。もちろん美味しかった! でもせっかくここまで来たのだから、メイン州のロブスターが食べたい!
金曜 11pm
オガンキットに到着。街灯もまばらな人口1600人の街は、静まりかえっていた。もちろんレストランも開いていない。「ボストンで腹ごしらえしておいて良かったね」と翌日のロブスターを楽しみにしながら、速攻眠りについたのである。
土曜 8am 晴天
すっきり目覚めて、オガンキットを散策。ロブスターで有名な海辺の街は、想像以上に観光客で溢(あふ)れていた。カナダのモントリオールからも車で5時間とあって、フランス語も聞こえてくる。可愛い小物屋さんやカフェに寄りながら、本日のメインイベント、ロブスターの捕獲体験ができるツアーに向かう。船着き場に待ち構えていた小型船に乗って、トム船長とガイドを務める漁師のアイブリーさんと共に、太西洋の大海原に乗り出した。
なんともエキサイティング! アイブリーさんの軽快な説明を聞きながら、アメリカのロブスターの歴史を知る。元々、ロブスターは「dirty food (汚い食べ物)」とされていて、労働者や奴隷、囚人が食していたのだが、戦時中に兵士たちのたんぱく質源にと缶詰されたロブスターが出回り、その後、1800年代後半に一気に「美味しい食べ物」として人気が出て、値段も急騰したそうだ。一説には、アメリカで最も財を成した人物と言われるロックフェラー一族の1人が、召使のために作られたロブスターのシチューを誤って食べて、あまりの美味しさに驚いて、そこから「ロックフェラーさんが食べているのだったら間違いない」と富裕層にも広がったという話もある。現在、メイン州には1500人の漁師たちが、ロブスター漁に携わっているという。
トム船長が舵(かじ)を取りながら、次々と海の中に沈めてある「仕掛け」を挙げていく。800もある仕掛けには、一つの網に数匹のロブスターがかかっている。サイズを測り、3.14インチ以下の小さいものは海へと戻す。ロブスターには、三つの顎(あご)がお腹(なか)の中にあること、内側についている足のような無数のヒダで味を感じること、一方の爪は鋸(のこぎり)状で主に海藻や魚を切り取り、もう一方の爪は貝を潰すためのものだということなど、「へー」と何度もつぶやきながら、ガイドさんの話に聞き入った。1時間のツアーはあっという間に終わってしまった。
土曜 12 pm
ランチはもちろんロブスターロール! 船を降りるや否や、近くで人気のお店に向かう。パンには、溢れんばかりのロブスターが盛られていて、「新鮮なロブスターは違うね〜」とロブスターロールに大興奮だった。
土曜 5pm
昨夜のリベンジ! 目指すは、レストラン「Ogunquit Lobster Pound Restaurant(オガンキット・ロブスター・パウンド)」。生け簀(す)から自ら選んだロブスターをその場で調理してもらい、熱々をいただけるのが人気のレストランだ。土曜日ということもあって、開店前から長蛇の列ができていた。
生け簀で構えるお兄さんに声をかけると「何ポンドのロブスターが良い?」と。「3人で食べられる大きさは?」と問い返すと、大きなロブスターを網で掬(すく)い、重さを量り、「3ポンド(1.36キロ)くらいでいいね」と。そして、そのままぐつぐつと煮え立つお鍋の中へ(ごめんね、ロブスター)。テーブルにつくと、あっという間に茹でたてのロブスターが運ばれてきた。
一気に頬張る。そのプリプリの身の甘さたるや、これまで食べていたロブスターはなんだったのだろうと思わざるを得ない。本当に美味しかった。こうして捕れたて、茹でたてのロブスターを念願叶(かな)って、食すことができたのである。大満足。
土曜 11pm
マンハッタンに戻ってきた頃にはすでに日付が変わろうとしていた。予定通りに行かないこともあり、順風満帆とは言い難い旅路だったが、それも旅の醍醐(だいご)味。終わり良ければすべて良し。あ〜、ロブスター。考えただけでも、思わずよだれ、いや笑みが溢れてしまう。次回は、ロブスター命の娘を連れていくことにしよう。
私はメイン在住ですが、普通のスーパーにいってロブスターを買って、そのまま茹でてもらうことができます。それを持ち帰って家で食べると安上がりです。夏場は1パウンド8ドル以下になることがあります。
顎が3つもあるなんて、知らなかったです。
勉強になりました!天気良くて気持ちよさそう!
ロブスターのシチュー‼️
美味しそうです。なかなか普段の生活でロブスター🦞は身近に感じなかったですが聞くとやはり食べてみたくなり、ロブスターロールを食べに行きました🤭笑❤️
美味しそ~☺️
来年こそは私も行きたいです❤️❤️❤️