物件の制約があっても実現した“家族広場”。 床座暮らしで広々と〈269〉
Cさんご夫婦(夫・妻30代、長男6歳)
東京都杉並区 / 築46年/70.08m²
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お子さんが小学校に入学するまでには落ち着きたいと、リノベーションすることにしたCさんご夫婦。都心からほど近い、緑が多い場所に低層のマンションを購入しました。Cさんのお宅は、低層のマンションに多い、壁式構造(壁と床で建物を支えている)です。取り外せない壁が多く、自由に間取りの変更ができないという制約があります。Cさんご夫婦は、その制約を理解した上で購入。家族それぞれが気持ちよく暮らせるような、できるだけ広々とした家を希望されました。
そこで、私たちが作ったコンセプトは「家族広場」。実際には壁があるけれど、壁を感じないようなプランを提案しました。3LDKだったのを、2LDKに。リノベーション前は個室で仕切られていましたが、どの部屋にも窓がある全体的に明るい家だったので、それを生かして大きなワンルームのように。取り外せない壁はありますが、家のどこにいても窓の外の風景や広がりが感じられる、広場みたいな空間になりました。
大きな特徴は、メインの空間の床をフローリングではなく、カーペットにしたこと。床座の暮らしを取り入れることで、実際の広さ以上に広々と感じられます。公園の芝生の上に座ったり、ゴロゴロしたりが、家の中でもできるイメージです。
特に効果的だったのは、リビングと隣のワークスペース兼子ども部屋に、継ぎ目なくカーペットを敷いたことです。通常は壁をなくして広くするところですが、取り外せない壁がありました。そこで、床をつなげて一体感を出し、壁が感じられない空間になりました。
Cさんご夫婦は、お子さんに伸び伸びと過ごしてほしいと思う一方で、走り回ったりする足音が他の住民の方に迷惑がかからないかと心配していました。遮音を考えて、床はフローリングではなくカーペットにしてもいいかなと思っていましたが、アレルギーや掃除が大変と言うイメージがあり悩んでいたそうです。実際に家に取り入れている弊社のスタッフの話を参考にしたり、商品の特徴や手入れの仕方を調べたりした結果、最終的には自分たちに一番合っていると納得して採用を決めました。
今回使用したカーペットは、リビングとワークスペース兼子ども部屋はtoolboxのもの、寝室やウォークインクローゼット、廊下は東リのもの。どちらも素材はウールで、肌触りが良いカーペットです。最近のカーペットは、素材、色、質感、金額など色々なバリエーションがあり、フローリングよりも高価なものも。使う場所や目的、予算に合わせて、選ぶことが可能です。Cさんご夫婦は、空間にメリハリをつけたいと、家中を同じものではなく、色と質感の違う2種類にしました。
また、キッチンとダイニングの床は掃除のしやすさを考えてフローリングに、洗面室や脱衣室などの水まわりは防水性があるコルクタイルにしました。
カーペットを敷いた事例がそれほど多くないので、イメージしにくいかもしれませんが、畳の暮らしを洋風に、と考えればいいでしょう。床に座ったり、寝っ転がったりする低い暮らしができるので、空間を広く感じることができます。床の素材の選択肢が増えると、家づくりの可能性が広がりますね。
間取りとリノベーションの写真(写真をクリックすると、次々とご覧いただけます)
Cさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A
Q1 リノベーションでこだわったことは?
子どもの足音など、音に関する近隣のトラブルが一番心配だったので、遮音性にはこだわりました(ご夫婦)。
家族との時間を大切にできるような間取り。全体的にゆったりとできるような抜け感がある空間にしたかったです(夫)。
家事や暮らしの動線として実用性を重視しました。また、子どもを見守れるので対面キッチンが希望でした(妻)。
Q2 リノベーションのプロセスで楽しかったことはありますか?
リノベーションをする際に、夫は空間美を重視するのに対して、私は実用性を考えていくタイプでしたので、考え方の違いについて改めて2人で何度も議論をしました。その結果、お互いの価値観を再認識でき、これからの暮らしにじっくり向き合えたことが、とても良かったです。
ブルースタジオさんに打合せに行くとき、子どもが生まれてから2人そろって出かけることが少なくなったので、新鮮な気持ちになりました。
Q3 想像していた以上のことはありましたか?
できるだけ仕切りをなくし、継ぎ目のないカーペットをリビングと隣のワークスペース兼子ども部屋に、全面敷いたことで想像以上にリビングが広く感じられます。
以前とやることは変わらないのに、休日一日家に居ることの罪悪感がなくなったのは、家の中に公園や広場のような安らげる場所があるからだと思います。何もしなくていい時間がうれしいですね。つい先日テレビが壊れてなくなったこともあり、よりゆったりとした時間が流れているように思います。