ニュージーランドで「レクサス」が再発見させてくれた、クルマの旅の醍醐味
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ニュージーランドは、ドライブに向いている土地のようだ。私が先日、出かけたときも、オークランド空港でひとりの日本人男性と出合った。推定年齢60代後半のその紳士は、一人でレンタカーを借りて、ノースアイランドからサウスアイランドまでクルマの旅をする、と楽しそうに語ってくれた。
私自身、ニュージーランドでのドライブは好きだ。景色は変化に富んでいるし、道は空いていて(ヒツジの大群に遭遇することはあるけれど)、現地のひとのドライブマナーはかなり洗練されている。自分も東京では見習おうと思うのだが、つい忘れて、カリカリした運転をしてしまう。
私のドライブ経験は、北島のオークランドから南の端っこのウェリントンまで、というもの。ウェリントンには、「ウェタ・ワークショップ」という、映画『ザ・ロード・オブ・ザ・リングス』の制作に関わった映像スタジオが運営している(という)ミュージアムもあって、そこに寄れたのもいい思い出だ。
この映画の監督、ピーター・ジャクソン自身がウェリントン生まれで、ニュージーランドの美しさを語るフッテージをウェブで簡単に見つけることができる。私が2024年11月に出かけたのは、南島のクイーンズタウン。そこもたしかに、日本にはない景色が堪能できる場所だった。
舗装・ガードレールなしの道をレクサスGXで
クイーンズタウンをドライブしたのは、レクサスGXと同LBX、それにLBX Morizo RR。なかでも、GXは日本でのデリバリーがこれからで、私にとって公道で乗るのは初めての経験。Morizo RRは2024年夏に販売されたスポーツモデルだ。
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「ニュージーランドのサウスアイランドの風景は、息をのむほどの美しさにおいては世界でも有数。かつ、私たちのブランドがもっている冒険的スピリットを伝えるのにいい場所です」とは、レクサス・インターナショナルによる、同地を最新モデルのドライブのために選んだ理由。
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世界各地からジャーナリストやインフルエンサーがやってきて、ヘリコプターから雪山を見下ろすフライトツアーや、ヒツジの羊毛刈り取り見学や、川ではげしくしぶきを上げるジェットボート同乗、という余興をいっしょに、まあ、まさに子どものような気分で楽しんだのだった。
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レクサスGXでは、巨大な氷河湖であるワカティプ湖沿いを走り、そこからベン・ロモンド地域の山岳路へと入った。かつて金脈が発見されたときに開発されたエリアとのことで、道はいまも舗装なし、路肩のガードレールなし。
標高が上がっていくと、周囲を取り囲む山々の景色がじつに美しい。不安よりも景観だ。GXは、ラダーフレームに、後輪はリジッドというクロスカントリー型SUVとしては本格的な成り立ち。オフロードでの安心感が高い。
電子制御のスタビライザーもGXの強力な武器で、オフロードでは切り離されて左右のサスペンションアームがよく伸びて車輪の接地性が確保される。いっぽうオンロードでは左右をつなげるので、直進安定性が上がる。一般道での快適性もレクサスには大事、と説明されるが、そのとおりの出来と感心。
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おとなっぽい乗り味のLBX Morizo RR
LBXはレクサスのラインナップでもっともコンパクトなハッチバックだ。このクルマでは、内陸へと向かった。高い木が生えていない荒涼としたかんじの風景が広がるクラウン・レンジ・ロードを通って、ワナカへ。帰りはワインで知られるギブストンバレーを経由した。
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LBXは、コンパクトだけあって、はっきりいって2プラス2というクルマだけれど(それでいい、という都市生活者のニーズが高いようだ)、1.5リッターハイブリッドユニットはなかなか“いい仕事”をしてくれた。気持ちよく加速感と操縦性が味わえるクルマなのだ。
そしてLBX Morizo RRは、標準モデルとは似ても似つかぬ224kW(304馬力)の最高出力をもつホットハッチ(高性能ハッチバック車)だ。
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これを交通量が少なく、道も適度に屈曲しているクイーンズタウン郊外で乗れたのは僥倖(ぎょうこう)だなあと、うれしくなった。やたら速いというより、おとなっぽい乗り味で、希有(けう)な仕上がりだ。
「いまフランスではこういうエンジン車には車両と同じぐらいの高税がかかるので、日本がうらやましい」。フランスの自動車雑誌の編集長が、そう語っていた。
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自分でもまた再訪したい土地だ。そのときはクイーンズタウン近くにあるアロータウンにも泊まってみたい。1970年代の軽井沢を小さくしたような町で、英国とか東欧の現代作品などを上映しているマニアックな映画館とクラフトジン専門のマニアックなバーがくっついたいいかんじの建物があったりする。
「Lexus Empowered Adventurer Program」というのが、今回のドライブのタイトルだった。クルマで旅すると発見が多い、ということをあらためて気づかせてくれた。クルマとともに経験を提供するのがレクサスのモットーというだけある。
取材協力:Lexus International
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