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美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う

ミシュラン一つ星「オーファリ・ブラザーズ・ビストロ」のこれまでの中東料理の枠を超えた斬新で繊細な料理

ドバイ市内の人気スポットや、郊外で大自然を体験できるアクティビティーを紹介した前編に続き、後編ではドバイの「食」にフォーカス。事前の予想をはるかに超えるレベルの高さで、ドバイを訪れた際にはぜひ足を運んでみてと、無類の食いしん坊の筆者が胸を張って言えるレストランやカフェばかりだ。

取材協力:ドバイ経済観光庁

世界の料理が集結

前編でも書いたが、世界一が集結する都市ドバイを訪れてみて、とにかく驚いたのが食だった。レストラン・飲食店の数は13,000軒以上。200以上の国籍の人々が暮らす都市の現状を反映して、伝統的なアラビア料理はもとより、世界各国の料理が集結している。昨年「ミシュランガイド・ドバイ 2024」と2024年版の「中東・北アフリカのベストレストラン50」が発表されたが、世界中から集まるトップシェフがしのぎを削って、美食を知り尽くした超富裕層を虜(とりこ)にし、食の分野でも世界一へと邁進(まいしん)しているのだ。

美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
牛肉のケバブを団子に見立てたユニークな一品。サワーチェリー、松の実、イタリアンパセリなどをトッピング(オーファリ・ブラザーズ・ビストロ)

今回、特に印象に残ったのが、モダン中東料理を提供する「オーファリ・ブラザーズ・ビストロ」だ。2024年のミシュランガイドで初の一つ星に輝き、「中東・北アフリカのベストレストラン50」でも第1位という快挙を成し遂げた。オーナーはシリア出身の3兄弟で、長男のモハマドが料理を、弟のワシムとオマールがスイーツを担当している。

美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
シリアの主要都市アレッポ出身のモハマド・オーファリ。中東初のテレビ料理番組の出演などで名を上げて、2021年に現在の店をオープン
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
ダークチョコレートケーキやチョコレートムースをサワーチェリーのグレーズで包み込んだシグニチャースイート「カラズ」(オーファリ・ブラザーズ・ビストロ)

自然光が差し込む明るい店内は、常に活気に満ちていて、高級感とカジュアルさがいい具合に共存している。スターシェフのモハマドが自らテーブルを回り、料理を紹介し、客とコミュニケーションをとる。そして運ばれて来るひとつひとつの料理が、本当に素晴らしくて、みんなが歓声を上げる。繊細でダイナミック、時にはコミカルで、目を楽しませ、舌を喜ばせるのだ。味わいは超一流にもかかわらず、アットホームで居心地もよい。一生忘れられないレストランのひとつとなった。

超高層ビル最上部、予約至難のレストラン

美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
二つの高層ビルをつなぐ“渡り廊下”の「ザ・リンク」。和久田哲也のミシュラン二つ星「Sagetsu」など八つの有名レストランが入っている=ザ・リンク提供
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
プールサイドのレストラン「タパサケ」。天井が高く、開放的な空間でコンテンポラリーな料理が楽しめる

昨年オープンしたばかりの「ワン・ザビール」は、2棟の超高層ビルを地上100mの高さで、全長230mの「ザ・リンク」がつなぐという斬新なデザインの大型複合施設。ザ・リンクの最上部にUAEで一番長い120mのインフィニティ・プールを設けたことでも話題になったが、プールサイドの「タパサケ」はすでに予約至難のレストランになっている。最近ドバイでは和食が大人気という話だが、この店の刺し身や鮨(すし)のクオリティーの高さには驚かされる。和食以外に、フレンチやコリアンなどのエッセンスを詰め込んだグローバルなメニュー構成も、いかにもドバイらしい。アルコールのラインアップも秀逸で、開放感あふれる窓から真っ青な空を眺めながら、シャンパンを片手に最高のランチタイムを過ごすことができるのだ。

美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
鮨や刺し身に使われている魚の質の高さと新鮮さに驚かされる(タパサケ)
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
和食に限らず、さまざまな国の料理が巧みにミックスされている。どれも食材の組み合わせが素晴らしい(タパサケ)

ドバイ屈指のランドマークで朝食

翌朝訪れたのは、ドバイ屈指のランドマークであり、世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファの122階、地上442メートルという世界で最も高い場所にある「アトモスフィア・レストラン&ラウンジ」。圧倒的なドバイのスカイラインとアラビア湾の絶景が楽しめる、まさに雲の上のダイニングだ。モーニングのセットメニューやアフタヌーンティーが評判とのことだが、アラカルトも豊富で、なかでもトリュフ入りの卵料理は見た目も麗しく、とにかく美味。必食の一品だ。

美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
ブルジュ・ハリファの122階からドバイの街を見渡す。窓際の席を予約すれば、ライトアップされたドバイ・ファウンテンを上空から眺めることも可能
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
シャルキュトリー、フルーツなどがアフタヌーンティーと同じスタンドで提供される「アトモスフィア」の朝食
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
世界一高い場所にあるレストランは食材も最上級。トリュフを惜しみなく使った卵料理は風味豊かでふわとろ(アトモスフィア)

五つ星の高級リゾート、ジュメイラ・アル・ナシームにある「ロックフィッシュ」は、数々の受賞歴を誇るシーフードレストラン。ディナータイムには、ハリウッド映画のシーンを思わせるゴージャスな雰囲気の中で、手打ちパスタから新鮮な魚のグリルまで、才能あふれる若きイタリア人シェフ、アンドレア・ブルニェッティが手を尽くした最高の海の幸が味わえる。それぞれの食材の魅力を最大限に引き出す、絶妙な火入れ具合は感動ものだった。

美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
新鮮な魚介を使い、サクサクとして軽やかなシーフードフリット(ロックフィッシュ)
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
サービスにも一流のスタッフをそろえ、最近のレストランでは珍しい気品と格式が漂う(ロックフィッシュ)

2024年版の「中東・北アフリカのベストレストラン50」で21位にランクインした「ジュンズ」も注目のレストラン。シェフは、カナダ生まれ、シカゴ育ちの中国系カナダ人ケルビン・チョン。キッチンで育った根っからの料理人を自称し、カナダのジャスティン・トルドー首相の料理を担当した経験も持つ。チョンの料理スタイルは、中国系民族のルーツ、北米で過ごした幼少期の思い出、そしてフランスでの修行時代の体験が、インスピレーションの源だそう。自ら地元のフィッシュマーケットや農場に足を運び、そこで仕入れた新鮮な食材を駆使して、インスピレーションをオリジナリティーあふれる料理に結実させる。最後のデザートとして運ばれた手作りのフォーチュンクッキーのメッセージもゲスト一人一人に合わせたもの。その心遣いに皆ジーンとさせられた。

美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
シェフのケルビンやスタッフが各テーブルを回り、一皿一皿に込められたストーリーをゲストに語る(ジュンズ)
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
中国やカナダ、米国の食文化に、和食やインド料理などのエッセンスも加わったまさにフュージョンスタイルの料理(ジュンズ)
美食の街、ドバイ。食も世界一へ、一流シェフが腕を競い合う
フォーチュンクッキーと3匹のクマのグミ。グミはあまりに愛らしくて食べるのも躊躇(ちゅうちょ)してしまう(ジュンズ)

飛ぶ鳥を落とす勢いのスターシェフのレストランに共通しているのは、アラブ料理という表現では一括(くく)りにできないオリジナリティーにあふれた料理。どれもユニークなストーリーに包まれ、それでいて奇をてらったものはない実直な料理ばかり。砂漠地帯にあるため、フレッシュな素材が少ないだろうという勝手な想像は見事に打ち砕かれ、野菜にしても、魚介にしても驚くほど新鮮で、種類も豊富。砂漠という厳しい自然にさらされた土地においても、人々の努力によって素晴らしい農作物が作られていることにも感心させられた。

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