拡大する写真・図版みどりさんは体調がややよくなり、娘たちと病院近くの公園に外出。一緒に遊んだ=2019年11月4日、家族提供

だいすきノート 第4話

 スキルス胃がんと診断されたみどりさんは、32歳だった2019年11月、慶応大病院で抗がん剤治療を受けていた。

 主治医の浜本康夫さん(50)は、胃がんの細胞が骨の中で広がる「骨髄がん腫症(しゅしょう)」が起きている可能性を考えていた。

 骨髄がん腫症が起きると正常な血液の細胞をつくる機能が失われ、すぐに生命に危険が及ぶ心配もあった。

 だが、みどりさんの体調は徐々に改善していった。

 モルヒネの点滴で痛みが減り、夜に眠れる時間が延びた。気分の悪さは残っていたが、胃からの出血も抑えられてきた。

 食欲が少し戻り、院内のコンビニでカップのスープを買って、口にし始めた。

 母えつこさん(60)のつくるミネストローネがおいしくて、何度も頼んだ。えつこさんはそのたび、埼玉県の自宅でつくり、病院まで運んだ。

 浜本医師は、みどりさんに「おうちに帰ろうか」と退院をすすめた。

 病院になかなか来られない、4…

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