拡大するフォンテンブローの森近くの自宅の庭で=7月、大原広和氏撮影
ファッションデザイナー・島田順子さんが半生を振り返る連載「自然にかっこよく、今を生きるファッション」。全4回の4回目です。
《島田さんは、パリのモンマルトルの他に、郊外のフォンテンブローの森近くにも自宅を持つ。週末などに自然の中で暮らす時間が、豊かな色柄の表現や自然体の創作にもつながってきた。出張の合間に訪ねてみた》
もともとは、娘がフォンテンブローで馬術を習っていたので、終わるまでの待ち時間を過ごす場を探していたのです。たまたま売りに出たばかりのこの家を見たら、広々としたお庭がなんだか幸福そうで心ひかれました。
日本にいる夫に相談したら、「あなたは財産を持ってないんだから、とりあえず買っとけば」と言われて。敷地もずいぶん広いのに、約35年前で5千万円ぐらいだったかしら。そのころの東京ではワンルームしか買えないと言われたような値段だった。
家は18世紀に建てられたとかで、古びていたので少しずつ改装して。庭は樹齢200年以上のマロニエの大木などはそのまま大事にしながら、アジサイやバラ、モクレンなど四季それぞれに咲く植物を育ててきた。リンゴ園もあるし、朝晩、水まきをしているんですよ。
作曲家のジュール・マスネが所有していたという家で、私の大好きな作家オスカー・ワイルドが泊まっていたこともあると聞いて感激。住んでから気付いたのですが、地下に小さな礼拝堂があって、夏でもひんやりして気持ちがいい。そこにピアノを置いて、お友達を呼んで音楽を楽しんだり食事をしたりすることも。
《屋内は現代美術やアンティークの家具、暖炉などを置き、庭には椅子やブランコなど快適に楽しく暮らす工夫が満ちている》
生きていて、仕事をしていると…