清原和博さん次男「自分は自分。初球から振りたい」慶応4番への決意
笑ったときの目尻なんかは、やっぱり、似ている。
5年ぶりに選抜高校野球大会の切符をつかんだ慶応で、1年生ながら注目を一身に集めるのは、強打者の清原勝児(かつじ)だ。
プロ野球の西武、巨人、オリックスで活躍した和博さん(55)の次男だ。
この日、慶応大学日吉キャンパス(横浜市)にあるホールで、選手たちは座りながら吉報を待った。「慶応」の校名が呼び上げられても、歓喜の声は一つも上がらない。清原も小さな笑顔をつくっただけだった。
選ばれた率直な思いを聞かれると、「素直にうれしいという気持ちが一番あって。夢の舞台の甲子園だったので、そこでプレーできるのをうれしく思いつつ、これから、あらためてスタートする気持ちでいます」と胸の内を明かした。
父は1983年夏から5季続けて甲子園に出場して、1年夏と3年夏に全国制覇。春夏の甲子園大会の通算で、最多となる13本塁打を放った。
周囲は、親子2代での活躍を思い描く。
が、本人には個人の記録を優先する思いはさらさらない。
「そうですね、自分の思いというか、チームで日本一になるというのが自分の中で強いので、個人より、チームで勝ちたい」
「チームで『慶応日本一』のスローガンを掲げているので、このチームで優勝するのを目標にやっていきたいです」
「(本塁打への)こだわりは特にないんですけど、ない、という感じです」
昨秋の関東大会は、準決勝で好投手、平野大地を擁する専大松戸(千葉)に3―5で敗れた。公式戦で計14打点を挙げるなど4強入りに貢献はしたものの、その反省から、この冬の目標を立ててきた。
「スイングスピードが足りないと実感したので、冬はスイングスピードを上げたり、体のキレを出したりする練習を多めにしました。チームでスイングをたくさんやっていたので、(自分も)たくさんやりました」
自らの強みを聞かれると、「自分はチームを盛り上げるというのが、自分の大きな武器と思っている。甲子園ではチームを勇気づけられるプレーをしたい。攻守のどちら? すべてで盛り上げたいです」。
「盛り上げる」とは、どんなことを意味しているのだろうか。
打撃や打順へのこだわりを聞かれたとき、その真意が垣間見えた。
「チームに貢献するバッティングというのが、自分がしたいことなので、どういう形か分からないが、そういうイメージをもってやりたい」
「4番を打ちたい、というがありますし、試合を左右するのが4番だと思っているので。チームに貢献できるのが4番だと思っている」
4番といえば、父の「定位置」だった。子どものときから、父が甲子園で活躍した映像は見てきた。
ただ、あくまで冷静だ。
「お父さん、すごい活躍しているんですけど、自分は自分なので、自分のできるプレーを最大限したいです」
慶応は1916年夏、全国選手権大会の前身となる全国中等学校優勝野球大会で優勝している。
過去9回出場した選抜での最高成績は8強だ。
いまだ、つかんでいない頂点へ。
「最初から、初球から振っていきたい。一打席、一打席が勝負なので、全力でやりたい」
清原は前を向いて、語った。